退職願は「このたび一身上の都合により退職いたしたく、お願い申し上げます」という依頼形で書くのが正解です。退職届と混同して断定的な文言を使うと、意図せず強い印象を与えてしまうことがあります。書き方の基本から封筒の選び方、提出のタイミング、退職届との違いまで、円満退職につながるポイントを詳しくまとめました。
退職願の書き方と例文【結論】
結論:退職願はこう書く
退職願に書く内容は、退職理由・退職を希望する日付・提出日・所属と氏名・宛名の5点です。退職理由は詳細を書く必要はなく「一身上の都合」で問題ありません。文末は「退職いたしたく、お願い申し上げます」という依頼の形で締めます。
宛名は会社の代表者名(代表取締役社長など)を書きます。直属の上司ではなく会社宛てに提出する書類であることを押さえておくと、迷わず書き進められます。
手書き例文(縦書き)
良い例文
私儀
このたび一身上の都合により、来る令和〇年〇月〇日をもって退職いたしたく、ここにお願い申し上げます
令和〇年〇月〇日
〇〇部〇〇課 山田 太郎 印
株式会社〇〇 代表取締役社長 〇〇 〇〇様
縦書きの便箋では「私儀」を右上に小さく書き、本文を中央に、日付と氏名を左側に配置するのが一般的な形式です。市販の便箋には罫線や薄い枠が入っているものもあり、初めてでも整った見た目に仕上がります。
パソコン作成の例文(横書き)
良い例文
退職願
私事、このたび一身上の都合により、令和〇年〇月〇日をもって退職いたしたく、お願い申し上げます
令和〇年〇月〇日
〇〇部〇〇課 山田 太郎
株式会社〇〇 代表取締役社長 〇〇 〇〇様
横書きの場合は「退職願」というタイトルを冒頭に置き、以下は縦書きと同じ順序で構いません。パソコンで作成しても法的な効力に差はなく、会社から指定がなければ書きやすい方法を選べます。
NG例|退職届と混同した文言に注意
NG例
私事、このたび一身上の都合により、令和〇年〇月〇日をもって退職いたします
「退職いたします」は退職届で使う断定の文言です。退職願でこの表現を使うと、会社の承諾を待たずに退職を一方的に通告した形になり、引き止めの余地を残したい場面では不利に働くことがあります。
退職願と退職届の違い|何が違うのか
退職願は「お願い」、退職届は「通知」
退職願は会社に退職をお願いする書類で、承諾されて初めて退職が確定します。一方の退職届は、退職がすでに決まったことを会社に通知する書類です。この違いを理解しておくと、どちらを出すべきか迷わなくなります。
| 項目 | 退職願 | 退職届 |
|---|---|---|
| 性質 | 退職の申し出(依頼) | 退職の通知(宣言) |
| 文末表現 | 退職いたしたく、お願い申し上げます | 退職いたします |
| 撤回 | 承諾前なら可能 | 原則として困難 |
| 提出タイミング | 退職を切り出す最初の段階 | 退職が承諾された後 |
どちらを出すべきか(就業規則の確認)
一般的な流れは、まず退職願で意思を伝え、上司との話し合いを経て会社が承諾したあとに退職届を提出する、という順番です。ただし会社によっては就業規則で「退職届のみでよい」と定めている場合もあるため、迷ったときは総務や人事に確認するのが確実です。
採用担当者はここを見ている
- 退職願と退職届の役割の違いを理解しているか
- 就業規則を確認したうえで手続きを進めているか
- 会社側との話し合いを飛ばして一方的に通告していないか
退職届の作成にも便箋・封筒の選び方や書き方のルールがあります。あわせて確認しておくと、承諾後の手続きもスムーズです。

退職願を書くときに押さえるべき項目とマナー
用意するもの
特別な道具は必要ありませんが、以下を揃えておくと迷わず作成できます。
- 便箋:白無地(罫線入りでも可)
- 封筒:白無地の二重封筒、郵便番号枠なし
- 筆記具:黒の万年筆かボールペン(消せるタイプは避ける)
- 印鑑:認印(シャチハタは避ける)
書く6項目
退職願に書く項目は決まっています。順番どおりに埋めていけば書き漏れを防げます。
| 項目 | 書き方の目安 |
|---|---|
| ①表題 | 「退職願」と中央に大きく書く |
| ②起首 | 「私儀」または「私事」 |
| ③本文 | 退職理由(一身上の都合)と退職希望日 |
| ④提出日 | 実際に提出する日付 |
| ⑤所属・氏名 | 部署名・氏名を書き、押印する |
| ⑥宛名 | 会社名と代表者名(様付け) |
状況別の退職願の書き方
契約社員・パートの場合
契約社員やパートも、正社員と同じ書式で退職願を作成できます。契約期間の途中で退職を願い出る場合は、退職理由を「一身上の都合」とした上で、契約更新のタイミングか中途解約かを上司との話し合いで明確にしておくと手続きがスムーズです。
良い例文(契約社員の場合)
私事、このたび一身上の都合により、契約期間満了となる令和〇年〇月〇日をもって退職いたしたく、お願い申し上げます
会社独自の書式がある場合
会社によっては、指定の退職願用紙やフォーマットを人事部で用意していることがあります。独自書式がある場合はそちらを優先し、記載項目に不明点があれば人事担当者に確認してから提出してください。自作の書式と混在させると、受理に時間がかかることもあります。
退職願はいつ・どうやって渡す?
提出時期の目安
民法上は退職の意思表示から2週間で雇用契約を終了できますが、実務上は退職希望日の1〜3ヶ月前を目安に伝えるのが一般的です。引き継ぎや後任探しの時間を考えると、余裕を持った提出が円満退職につながります。
就業規則に「〇ヶ月前までに申し出ること」と定められている会社も多いため、退職願を書く前に一度目を通しておくと安心です。
直属の上司に手渡しする
退職願は宛名こそ会社の代表者ですが、実際に渡す相手は直属の上司です。就業時間中に個別で時間をもらい、口頭で退職の意思を伝えたうえで手渡します。周囲に人がいるタイミングでの提出や、メールだけで済ませるのは避けたい場面です。
採用担当者はここを見ている
- 提出先の順序(上司→会社)を理解しているか
- 引き継ぎ期間を考慮した逆算ができているか
- 周囲への配慮を持って手続きを進めているか
退職願を出した後によくある疑問
退職願は撤回できるのか
会社が退職を承諾する前であれば、原則として撤回が可能です。ただし上司が承諾したと受け取れる発言をした後は、撤回が認められないケースもあります。撤回する可能性が少しでもある場合は、意思表示のタイミングに慎重になっておくと安心です。
退職届は退職願より撤回のハードルが高い書類です。撤回の実務については、以下の記事でより詳しく解説しています。

受け取ってもらえない場合の対処法
上司が多忙で受け取ってもらえない、あるいは意図的に受け取りを拒む場合は、以下の順で対処すると解決しやすくなります。
- 日を改めて別のタイミングで再度申し出る
- 上司のさらに上の役職者や人事部に相談する
- 内容証明郵便で会社宛てに送付し、記録を残す
封筒での提出方法や表書きのルールも押さえておくと、いざというときに慌てずに済みます。

退職後の転職活動に向けて
退職願が受理されたら、次の職場探しの準備を並行して進めておくと、退職後の空白期間を短くできます。応募先や雇用形態に合わせて、履歴書のテンプレートを活用してください。
- 正社員として転職する場合は転職用の履歴書テンプレートが使えます
- 次の応募先が決まっていない段階では志望動機なしの履歴書テンプレートで先に骨組みだけ作っておく方法もあります
- アルバイトに切り替える場合はアルバイト用の履歴書テンプレートを参考にしてください
- パートを検討している場合はパート用の履歴書テンプレートが対応しています
- 提出先の形式に迷ったときは厚生労働省の規格に沿った履歴書テンプレートを選べば安心です
まとめ
- 退職願は「退職いたしたく、お願い申し上げます」という依頼形で書く
- 退職届(通知)とは性質が異なり、承諾前なら撤回できる
- 提出は退職希望日の1〜3ヶ月前を目安に、直属の上司へ手渡しする
正しい書き方と手順を押さえておけば、退職願の提出は難しいものではありません。就業規則を確認しながら、余裕を持って準備を進めてください。
退職願に関するよくある質問
- 退職願は必ず出さないといけませんか?
-
法律上は口頭の意思表示だけでも退職は成立しますが、多くの会社では就業規則で書面の提出を求めています。言った言わないのトラブルを防ぐためにも、書面で残しておくことをおすすめします。
- 退職願は出した後に撤回できますか?
-
会社が退職を承諾する前であれば、原則として撤回が可能です。ただし上司が承諾したと判断できる言動をした後は撤回が難しくなるため、伝えるタイミングには注意してください。
- 退職願と退職届はどちらを出せばいいですか?
-
まず退職願で退職の意思を伝え、会社の承諾を得たうえで退職届を提出する流れが一般的です。就業規則で退職届の提出のみを定めている会社もあるため、事前に確認しておくと安心です。
- 退職願はパソコンで作成しても問題ありませんか?
-
手書き・パソコンのどちらで作成しても法的な効力に違いはありません。会社の慣習や就業規則に指定がなければ、書きやすい方法を選んで問題ありません。

