退職願の添え状は、退職届と同じく縦書きが基本ですが、言葉遣いは「お願い」の姿勢を保つのが正解です。退職届のような断定的な表現をそのまま流用すると、唐突で一方的な印象を与えかねません。退職願ならではの書き方の違いと、そのまま使える例文をあわせて紹介します。
退職願の添え状の書き方【結論】|そのまま使える例文
結論:添え状は退職願に合わせて縦書き・柔らかい言葉遣いが基本
退職願を郵送する際に同封する添え状は、退職願本体が縦書きなら添え状も縦書きに揃えるのが基本のマナーです。加えて退職願は会社に退職の許可を「お願いする」文書のため、添え状の文面も「ご査収のほど、何卒よろしくお願い申し上げます」のような依頼調で締めるのが自然です。退職届のように「退職いたします」と断定的に言い切る書き方をそのまま当てはめると、添え状だけ強い印象になってしまいます。
迷ったときは「本体の書式に合わせ、文面はお願いの姿勢を崩さない」と覚えておくと判断に困りません。
良い例文(退職願用の添え状)
良い例文
拝啓 貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
私儀、この度一身上の都合により退職いたしたく、退職願を同封させていただきました。ご査収のうえ、何卒ご承認賜りますようお願い申し上げます。
敬具
令和八年九月吉日
営業部 山田太郎
NG例
NG例
「一身上の都合により9月末で退職いたします。退職願を同封しましたのでご確認ください」のように、算用数字と断定調の言い切りが混ざると、依頼文書としての添え状には不釣り合いな印象になります。頭語「拝啓」だけを書いて結語「敬具」を省略するのも避けたい書き方です。
上司・総務はここを見ている
上司・総務はここを見ている
- 「お願い申し上げます」「ご査収ください」など、依頼調で締められているか
- 頭語と結語がペアで揃っているか(拝啓なら敬具、謹啓なら謹白)
- 算用数字が混ざらず、漢数字で統一されているか

退職願の添え状が退職届と違う理由|「お願い」の姿勢を保つ言葉遣い
退職願と退職届は法的性質が違う
退職願は法律上「労働契約の合意解約を会社に申し込む」書類にあたり、会社が承諾するまでは撤回できる余地が残ります。一方の退職届は労働者側からの一方的な意思表示にあたり、提出した時点で効力が生じ、原則として撤回できません。この違いが、添え状の言葉遣いにもそのまま表れます。
退職願の添え状は「会社に判断を委ねる」立場で書くため、通知ではなく依頼の姿勢を最後まで崩さないことが、退職届との一番の違いです。
添え状の言葉遣いの違い(比較表)
| 書類 | 文書の性質 | 添え状の結びの言葉遣い |
|---|---|---|
| 退職願 | 合意解約の申し込み(撤回可能) | 「ご承認賜りますようお願い申し上げます」 |
| 退職届 | 一方的な意思表示(撤回不可) | 「ご査収のほど、よろしくお願い申し上げます」 |
退職届の添え状でも丁寧な表現は使いますが、退職願ではさらに一歩踏み込んで「承認を求める」ニュアンスを残す点が異なります。

添え状で守るべき5つのルール
縦書きの添え状には、横書きの文書にはない独自の作法があります。次の5点を押さえておけば、書き上げた後に迷う場面が減ります。
- 数字は漢数字を使う:「9月」ではなく「九月」、「3点」ではなく「三点」と表記する
- 句読点は「、」「。」を使う:横書きの「,」「.」ではなく縦書き用の句読点を用いる
- 頭語・結語をペアで使う:「拝啓」で始めたら必ず「敬具」で締める
- 結びは依頼調にする:「ご承認賜りますよう」「ご査収のほど」など、お願いの姿勢を残す
- 日付は「〇年〇月吉日」の形式で書く:提出日または投函日を記載する
格式ばった賞状などでは句読点自体を使わない伝統もありますが、添え状のレベルでは読みやすさを優先して句読点を使って差し支えありません。数字表記の統一と結びの言葉遣いさえ守れていれば、細部にとらわれすぎる必要はありません。
状況別|退職願の添え状の例文集
円満退職・感謝を伝える場合
次の勤務先が決まっているなど円満に退職する場合は、お世話になった感謝を一言添えると丁寧な印象になります。
良い例文
拝啓 貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
私儀、この度一身上の都合により退職いたしたく存じます。在職中は大変お世話になり、心より御礼申し上げます。つきましては、退職願を同封いたしましたので、ご査収のうえご承認賜りますようお願い申し上げます。
敬具
急な退職でお詫びを伝える場合
体調不良や家庭の事情などで急に退職を決めた場合は、直接伝えられないことへのお詫びを一言添えると印象が和らぎます。
良い例文
拝啓 貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
このたびは急な申し出となり、直接ご相談できませんでしたこと、深くお詫び申し上げます。一身上の都合により退職いたしたく、退職願を同封いたしました。何卒ご承認くださいますようお願い申し上げます。
敬具
契約社員・パート・アルバイトが提出する場合
雇用形態にかかわらず添え状の書式は変わりませんが、契約期間の途中で退職を願い出る場合は、契約への配慮を一言加えると丁寧です。
良い例文
拝啓 貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
私儀、一身上の都合により契約期間中ではございますが、退職いたしたく存じます。ご迷惑をおかけいたしますこと、深くお詫び申し上げます。退職願を同封いたしましたので、ご検討のほどよろしくお願い申し上げます。
敬具
NG例
状況に関わらず「退職願を同封します。よろしくお願いします」とだけ書く事務的すぎる一文で済ませてしまうと、最後の印象がそっけないものになります。円満退職なら感謝を、急な退職ならお詫びを、一言添えるひと手間で受け取る側の印象が変わります。

添え状づくりでよくある疑問
パソコンで作成してもいい?
添え状はパソコンで作成しても失礼にはあたりません。縦書き対応のワープロソフトを使えば、手書きと同様の見た目に仕上げられます。文面を整えたうえで、署名部分だけ手書きにする方法も広く使われています。
添え状を省略したらどうなる?
添え状を省略しても退職願の効力自体には影響しません。ただし郵送の場合、添え状がないまま退職願だけが届くと唐突で一方的な印象を与えやすくなります。手渡しであれば省略しても問題ありませんが、郵送するなら同封しておくと安心です。
退職後の転職準備も並行して進める
退職願の提出後は、転職活動の準備も同時に進めておくと動き出しがスムーズです。応募先が決まっていない段階でも、転職用の履歴書テンプレートを用意しておけば、退職日が確定してから慌てずに済みます。
応募書類の様式に迷う場合は、厚生労働省の規格に沿った履歴書テンプレートのように公的な基準に準拠したものを選ぶと安心です。企業から様式を指定される場合はJIS規格に沿った履歴書テンプレートも候補に入れておきましょう。
職務経歴書もあわせて提出するケースでは、ハローワーク用の職務経歴書テンプレートを使うと記載項目の抜け漏れを防げます。
まとめ
- 添え状は退職願本体の書式に合わせ、縦書きなら縦書きに揃えるのが基本
- 退職願は「お願い」の文書のため、結びは依頼調で締める(退職届の断定調をそのまま流用しない)
- 漢数字表記・句読点「、」「。」・頭語結語のペアを守る
- パソコン作成でも問題なく、郵送するなら添え状の同封が安心
添え状のルール自体は難しいものではありませんが、退職願ならではの言葉遣いを外すと印象を損ねてしまいます。今回の例文を土台に、状況に合わせて一言添えれば、丁寧な印象で退職願を送り出せます。
退職願の添え状に関するよくある質問
- 添え状は必ず縦書きにしなければいけませんか?
-
必須ではありません。退職願本体を横書きで作成する場合や、会社が指定したフォーマットに従う場合は添え状も横書きで問題ありません。退職願が縦書きであれば添え状も縦書きに揃えるのが一般的なマナーです。
- 退職願の添え状と退職届の添え状はテンプレートを使い回してもいいですか?
-
書式は使い回せますが、結びの言葉遣いはそのまま流用しないほうが安心です。退職願は会社の承諾を求める文書のため「ご承認賜りますよう」など依頼調で締め、退職届の断定的な結びをそのまま当てはめないようにしましょう。
- 添え状の便箋はどんな種類を選べばいいですか?
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白無地の便箋、または縦書き用の罫線が入った便箋を使うのが一般的です。派手な柄や色付きの便箋は避け、退職願と同じ用紙サイズに揃えると封筒に収まりやすくなります。
- 添え状の日付は退職日と提出日のどちらを書きますか?
-
添え状に記載する日付は、退職願を提出する日(郵送の場合は投函日)です。退職を希望する日は添え状ではなく退職願本体に記載するため、両者を混同しないようにしましょう。

