大学院在学中のアルバイトは、履歴書の職歴欄には書かず「なし」と記入するのが基本です。厚生労働省の「応募書類の作り方」でも、学業期間中のアルバイトは通常記載しないとされています。ただし修了後のアルバイトや、応募職種に直結する経験は「アルバイト」と明記して書けます。この記事では、TA・RA・学振特別研究員の扱い、修了後や社会人院生など状況別の記載例を、採用担当者の見方とあわせて紹介します。
大学院生の履歴書|職歴欄にアルバイトは書く?【結論と記載例】
結論:在学中のアルバイトは書かず「なし」が基本
履歴書の職歴欄は、学校を出たあとの就業経歴を書く欄です。大学院生の場合、学部時代から大学院在学中までに続けてきたアルバイトは「学業期間中の就業」にあたるため、新卒として就職活動をするなら職歴欄は「なし」と書くのが正解です。
厚生労働省「応募書類の作り方」の記載方法
- 原則:学業期間中のアルバイト就業は通常記載しない
- 例外:卒業後のアルバイト、応募先の職務に関係する仕事、責任を与えられた仕事、ビジネスマナーの習得をアピールできる仕事
- 書く場合:アルバイト就業であることを明記する
出典:厚生労働省・ハローワーク「応募書類の作り方」履歴書編
院生は学部と合わせて6年以上「職歴なし」になるため、空欄のままだと社会経験が足りないと見られそうで不安になりがちです。ですが新卒採用の担当者は、職歴欄が「なし」であることを前提に書類を読んでいます。書かないこと自体が評価を下げることはありません。
職歴なしの大学院生の記載例
学歴欄の最後に大学院の「修了見込み」まで書き、1行空けて「職歴」の見出しを入れ、その下に「なし」と記入します。大学院は「卒業」ではなく「修了」を使う点に注意してください。
良い書き方(修士2年・就職活動中)
学歴
令和〇年 3月 〇〇県立△△高等学校 普通科 卒業
令和〇年 4月 〇〇大学 理工学部 機械工学科 入学
令和〇年 3月 〇〇大学 理工学部 機械工学科 卒業
令和〇年 4月 〇〇大学大学院 理工学研究科 機械工学専攻 修士課程 入学
令和〇年 3月 〇〇大学大学院 理工学研究科 機械工学専攻 修士課程 修了見込み
職歴
なし
以上
NG例
令和〇年 3月 〇〇大学院 機械工学専攻 卒業見込み
職歴
令和〇年 4月 株式会社〇〇 入社(学習塾講師)
大学院は「卒業」ではなく「修了」、研究科名の省略もNG。在学中のアルバイトを「入社」と書くと正社員の職歴と誤解され、経歴の書き方としても不正確です。
研究科・専攻・課程の正式名称や、学部からの書き方は新卒用の履歴書テンプレートの記入欄に沿って埋めると抜けを防げます。

在学中でも職歴欄に書いてよいアルバイトの条件
在学中のアルバイトでも、次のいずれかに当てはまれば職歴欄に書く価値があります。判断の軸は「応募先の仕事に関係があるか」です。
- 職務内容が応募先と重なる:研究開発職志望で企業の研究所の補助業務をしていた、教育業界志望で塾講師を数年続けた など
- 責任ある役割を任された:教室長代理、新人スタッフの教育担当、シフト管理など
- 社会人としての基本が身についた証拠になる:企業での長期インターンとして雇用契約を結び、実務を担当した など
良い書き方(応募職種に関係するアルバイト)
職歴
令和〇年 4月 株式会社〇〇 中央研究所 (アルバイト) 入社
分析装置を用いた試料測定とデータ整理を担当(週2日)
現在に至る
以上
採用担当者はここを見ている
- 雇用形態が書かれているか。「(アルバイト)」がないと正社員経験と取り違えるため、経歴の確認時に食い違いが起きる
- 仕事内容が1行で具体的に書かれているか。勤務先名だけでは、応募職種との関係が読み取れない
- 研究と両立できていたか。週の勤務日数を添えると、学業がおろそかになっていないことが伝わる
TA・RA・学振特別研究員は職歴欄に書く?雇用関係で判断する
大学院生ならではの迷いどころが、TA(ティーチング・アシスタント)やRA(リサーチ・アシスタント)、日本学術振興会の特別研究員(DC)です。判断のポイントは「どこかに雇用されて給与を受け取っていたか」。雇用されていれば就業経験、されていなければ研究活動として扱います。
| 経験 | 雇用関係 | 民間企業への新卒応募 | 書くとよい場所 |
|---|---|---|---|
| 一般のアルバイト | あり(勤務先) | 原則書かない | 自己PR・学生時代に力を入れたこと |
| TA | あり(大学の非常勤職員が一般的) | 教育・研究職志望なら書いてよい | 職歴欄(アルバイト・非常勤と明記)または自己PR |
| RA | あり(大学の非常勤職員が一般的) | 研究職志望なら書いてよい | 職歴欄(非常勤と明記)または研究内容欄 |
| 学振特別研究員(DC) | なし(研究奨励金の支給) | 職歴欄には書かない | 自己PR・研究業績・賞罰欄(指定があれば) |
| 非常勤講師(予備校・大学) | あり | 教育職志望なら書いてよい | 職歴欄(非常勤と明記) |
※TA・RAの身分や対象学年は大学ごとに異なります。雇用契約の有無は所属大学の要項で確認してください
TA・RAを書く場合の記載例
神戸大学や三重大学の要項では、TA・RAは時間単位で雇用される非常勤職員とされています。そのため職歴欄に書く場合は、所属・職名・非常勤であることをセットで記入します。大学教員や研究職の公募では、TA・RAの経歴を書く欄が様式で指定されていることがあるので、その場合は様式に従ってください。
良い書き方(TA・RA)
職歴
令和〇年 4月 〇〇大学 理工学部 ティーチング・アシスタント(非常勤) 採用
学部2年生向け材料力学実験の指導補助を担当
令和〇年 3月 任期満了により退職
令和〇年 4月 〇〇大学大学院 理工学研究科 リサーチ・アシスタント(非常勤) 採用
〇〇プロジェクトの実験データ解析を担当
現在に至る
以上
NG例
令和〇年 4月 〇〇大学 TA 入職
「TA」の略称だけでは、学外の採用担当者に仕事内容が伝わりません。「ティーチング・アシスタント(非常勤)」と正式に書き、担当内容を1行添えてください。
学振特別研究員(DC)は職歴欄に書かない
日本学術振興会の特別研究員(DC)は、博士後期課程の学生に研究奨励金を支給する制度で、受入大学に雇用される仕組みではありません。雇用関係がないため、職歴欄に書くと経歴として不正確になります。
一方で、研究計画の審査を経て採用された事実は研究力を示す材料です。自己PR欄や研究内容欄で「令和〇年度 日本学術振興会特別研究員(DC1)採用」と書くと、職歴欄を偽らずに実績を伝えられます。
【状況別】大学院生・院卒の職歴欄の書き方と例文
在学中の就活とは違い、修了したあとの期間は「学業期間」ではありません。修了後にアルバイトをしていたなら、空白期間と誤解されないよう職歴欄に書く必要があります。
修士修了後にアルバイトをしていた場合
修了後に就職せずアルバイトをしていた期間は、修了後の就業経歴として職歴欄に書きます。書かないと、修了から応募までの期間がまるごと空白に見えてしまいます。
良い書き方(修士修了後にアルバイト)
学歴
令和〇年 3月 〇〇大学大学院 経済学研究科 経済学専攻 修士課程 修了
職歴
令和〇年 5月 株式会社〇〇(アルバイト) 入社
経理部にて請求書処理・データ入力を担当(週4日)
現在に至る
以上
NG例
職歴
なし
修了後のアルバイトを「なし」にすると、空白期間があるように見えます。面接で働いていたことを話すと書類と食い違い、記載漏れを疑われる原因にもなります。
既卒として応募する場合は、職歴欄が複数行になりやすいため転職用の履歴書テンプレートのように職歴欄が広い様式を選ぶと書きやすくなります。
博士課程を単位取得退学してアルバイト・非常勤をしている場合
博士号を取らずに課程を終えた場合、学歴欄は「単位取得満期退学」と書きます。退学後の非常勤講師やアルバイトは、修了後と同じく職歴欄に記載してください。
良い書き方(博士課程単位取得退学後)
学歴
令和〇年 3月 〇〇大学大学院 文学研究科 日本史学専攻 博士後期課程 単位取得満期退学
職歴
令和〇年 4月 学校法人〇〇学園 〇〇予備校 非常勤講師 採用
高校生向け日本史の授業を担当(週3コマ)
令和〇年 4月 株式会社〇〇(アルバイト) 入社
編集部にて歴史書籍の校閲補助を担当
現在に至る
以上
「満期退学」の表記は大学によって「単位修得退学」などと異なる場合があります。修了証明書や在籍期間証明書の表記に合わせてください。

社会人院生(働きながら大学院に通った)場合
会社に在籍したまま大学院に通った場合は、学歴欄に大学院の入学・修了を、職歴欄に勤務先を書きます。期間が重なっていても、学歴と職歴はそれぞれの欄に分けて書くのがルールです。
良い書き方(社会人院生)
学歴
令和〇年 4月 〇〇大学大学院 経営管理研究科 経営管理専攻 専門職学位課程 入学
令和〇年 3月 〇〇大学大学院 経営管理研究科 経営管理専攻 専門職学位課程 修了
職歴
令和〇年 4月 株式会社〇〇 入社
営業部にて法人営業を担当
在職中に〇〇大学大学院(夜間)を修了
現在に至る
以上
職歴欄に「在職中に修了」と1行添えると、学歴と職歴の期間が重なっている理由が一目で伝わります。仕事と学業を両立した経験は、自己PRで具体的に書くと評価につながりやすい部分です。
大学院生がアルバイトに応募する場合
ここまでは就職活動の話です。大学院生がアルバイトに応募する場合は考え方が逆になり、過去のアルバイト経験を職歴欄に書いたほうが有利です。アルバイトの採用では、同じ業種の経験があるかどうかが判断材料になるためです。
良い書き方(院生がアルバイトに応募)
職歴
令和〇年 5月 〇〇珈琲 〇〇駅前店(アルバイト) 入社
接客・レジ・新人スタッフの指導を担当
令和〇年 3月 大学院進学に伴い退職
令和〇年 6月 株式会社〇〇 〇〇教室(アルバイト) 入社
中学生向け数学の個別指導を担当
現在に至る
以上
研究で平日の昼に入りにくい場合は、本人希望欄に「研究室の活動のため平日は17時以降の勤務を希望します」と理由つきで書くと、シフトの相談がスムーズです。記入欄の配置はアルバイト用の履歴書テンプレートで確認できます。
採用担当者が大学院生の職歴欄で見ているポイント
「職歴なし」でも減点されない理由
院生の書類で採用担当者が評価の中心に置くのは、研究テーマと、その過程で身についた力です。職歴欄に何行書いたかで差がつくわけではありません。
採用担当者はここを見ている
- 学歴と職歴の整合性:入学・修了の年月と職歴の年月に矛盾がないか。年号の和暦・西暦の混在もチェックされる
- 空白期間の有無:修了後から応募までに説明のない期間がないか
- 研究の伝え方:研究のすごさではなく、その研究で応募者が何をできるようになったか
- 書き方の正確さ:「修了」「修了見込み」の使い分けや研究科・専攻名の正式表記は、仕事の正確さの判断材料になる
アルバイトを職歴欄に並べて行数を増やしても、評価はほとんど変わりません。むしろ書くべきでない経験を並べると「履歴書のルールを知らない人」と受け取られるおそれがあります。
研究・アルバイト経験はどの欄で伝えるか
職歴欄に書かないアルバイトやTAの経験も、欄を変えれば十分なアピール材料になります。欄ごとの役割を分けて考えると、書く内容に迷わなくなります。
| 欄 | 書く内容 | 大学院生の例 |
|---|---|---|
| 学歴欄 | 入学・卒業・修了の事実 | 研究科・専攻・課程まで正式名称で記載 |
| 職歴欄 | 修了後・雇用関係のある就業の事実 | 新卒なら「なし」、修了後のアルバイトは明記 |
| 自己PR・学生時代に力を入れたこと | 経験から得た力と、その根拠 | TAで学部生20人の実験指導を担当し、説明の手順書を作った |
| 研究内容欄(ある場合) | 研究テーマと成果 | 学会発表・論文・学振DC採用など |
JIS規格の様式には自己PR欄が独立していないものもあるため、研究やアルバイトの経験を書く場所を確保したい場合はJIS規格に沿った履歴書テンプレートの「志望の動機、特技、好きな学科、アピールポイントなど」欄の使い方も確認しておくと書き分けやすくなります。
大学院生の職歴欄でよくあるNG例
| NG例 | 正しい書き方 | 理由 |
|---|---|---|
| 在学中のバイトを全部並べる | 新卒なら「なし」 | 学業期間中の就業は通常書かない |
| アルバイトを「入社」だけで記載 | 「(アルバイト)」を明記 | 正社員経験と誤解される |
| 学振DCを職歴欄に記載 | 自己PR・研究業績で記載 | 雇用関係がない |
| 「TA」と略称で記載 | ティーチング・アシスタント(非常勤) | 学外の担当者に伝わらない |
| 修了後のバイトを省略 | 職歴欄に記載し「現在に至る」 | 空白期間に見える |
| 大学院「卒業見込み」 | 大学院「修了見込み」 | 大学院は「修了」を使う |

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研究科・専攻・課程まで書くと、大学院生の学歴欄は手書きでは書き損じやすい長さになります。職歴を「なし」にするか、修了後のアルバイトを書くかで迷って手が止まっているなら、入力しながら書式を整えられるツールで下書きを作ると、提出前の見直しに時間を回せます。
まとめ
- 在学中のアルバイトは書かない:新卒で就活する大学院生の職歴欄は「なし」が基本
- 応募職種に関係する経験は例外:「(アルバイト)」「(非常勤)」と雇用形態を明記して書く
- TA・RAは雇用関係あり、学振DCはなし:DCは職歴欄ではなく自己PRや研究業績で伝える
- 修了後・退学後のアルバイトは必ず書く:省略すると空白期間に見える
- 社会人院生は学歴と職歴を分けて書く:期間が重なる理由を職歴欄に1行添える
職歴欄は事実を正確に書く欄、研究やアルバイトで得た力は自己PRで伝える欄と分けると、院生の履歴書は書きやすくなります。
大学院生の履歴書の職歴・アルバイトに関するよくある質問
- 大学院生の履歴書で、職歴が「なし」だと不利になりますか?
-
新卒で応募する場合は不利になりません。厚生労働省の「応募書類の作り方」でも学業期間中のアルバイトは通常記載しないとされており、採用担当者も院生の職歴欄が「なし」であることを前提に書類を読んでいます。研究やアルバイトで得た力は、自己PR欄や学生時代に力を入れたことの欄で伝えてください。
- TAやRAは履歴書の職歴欄に書いてもいいですか?
-
TA・RAは大学に非常勤職員として雇用されるのが一般的なため、応募職種に関係する場合は職歴欄に書いて問題ありません。「ティーチング・アシスタント(非常勤)」のように正式名称と雇用形態を書き、担当内容を1行添えます。民間企業の新卒採用で職種と関係が薄い場合は、自己PRで触れるほうが伝わりやすくなります。
- 学部時代から大学院まで続けたアルバイトは書くべきですか?
-
新卒の就職活動では、在学中ずっと続けたアルバイトでも原則として職歴欄には書きません。ただし応募先の仕事と内容が重なる場合や、教育担当などの責任ある役割を任されていた場合は、「(アルバイト)」と明記したうえで記載できます。アルバイトに応募する場合は、職歴欄に書いたほうが経験者として評価されやすくなります。
- 大学院を修了してからアルバイトをしています。職歴欄はどう書けばいいですか?
-
修了後のアルバイトは学業期間中の就業ではないため、職歴欄に書きます。「株式会社〇〇(アルバイト)入社」と雇用形態を明記し、担当業務を1行添え、続けている場合は「現在に至る」で締めてください。省略すると修了後の期間が空白に見え、面接での説明と書類が食い違う原因になります。

