保険営業の職務経歴書は、契約件数や達成率だけでなく「継続率」と「紹介件数」を書くのが通過の近道です。数字が弱いと感じる方も、書き方次第で信頼性を伝えられます。この記事では採用担当者の視点から、職務要約・実績欄・自己PRの具体的な書き方と、経験年数・所属先別の例文、成績が振るわなかった時期の対処法まで解説します。
保険営業の職務経歴書の書き方と例文【結論】
結論:契約件数より「継続率・紹介件数」を書くのが通過の近道
保険営業の職務経歴書で採用担当者が最初に確認するのは、契約件数や達成率の大きさではありません。その数字が「顧客からの信頼」でできているかどうかです。契約件数はノルマの設定水準次第で意味が変わりますが、継続率(解約されずに続いている割合)と紹介件数(既存客が新しい客を連れてきた件数)は、社内基準に関係なく本人の信頼構築力をそのまま映します。
実績欄には「顧客層・取扱商品・営業チャネル」の3点も明記します。「生命保険の営業をしていました」では何も伝わりませんが、「30〜50代の個人顧客に終身保険・医療保険を紹介型で提案していました」まで書けば、採用担当者は自社のターゲット層と照合できます。
職務要約の例文(良い例・NG例)
良い例文
大手生命保険会社にて5年間、30〜50代の個人顧客を対象に終身保険・医療保険・変額保険を提案してきました。継続率93%・紹介件数は年間平均12件を維持し、3年連続で支社内トップ3に選出されました。顧客との長期的な信頼関係の構築を強みとしています。
NG例
生命保険会社に勤務し、営業を担当していました。お客様のニーズに合わせた提案を行い、顧客満足を大切にして働いてきました。「何を・誰に・どんな結果を出したか」が一切伝わらないため、採用担当者は次を読む理由を失います。
自己PRの例文
自己PRは「職務経歴欄で証明した事実」を踏まえ、転職先でどう再現できるかを語る場所です。具体的な行動→結果→転職先での再現イメージの三段構成にすると、採用担当者が読み進めやすくなります。
良い例文(自己PR)
保険営業5年間を通じて、顧客との長期的な信頼関係の構築を最大の強みとして磨いてきました。毎月の定例フォロー面談と年4回の保障内容見直し提案を習慣化した結果、継続率94%・紹介件数年18件を維持できました。貴社が注力する既存顧客の深耕営業においても、この顧客維持の仕組みを応用できると考えています。
採用担当者が保険営業の職務経歴書で見ている3つのポイント
採用担当者が保険営業の職務経歴書を手に取るとき、最初の数十秒で「この人と面接したいか」をほぼ判断しています。書類の枚数や文字数よりも、冒頭の印象で大多数がふるいにかけられているのが実態です。保険営業の書類審査では「何を売っていたか」より「誰に・どう売り・その後どうなったか」を重視するのが一般的な営業職との違いです。
①顧客層・取扱商品・営業チャネルの3点セット
採用担当者が最初に確認するのは「どんな保険を・誰に・どのルートで売っていたか」です。この3点が書かれていない書類は、読み進める前に判断が止まります。
採用担当者はここを見ている
- 顧客層:個人向け(BtoC)か法人向け(BtoB)か、年齢層・職業・資産規模
- 取扱商品:生命保険・医療保険・損害保険・変額保険など、種別と単価感
- 営業チャネル:直販(飛び込み・テレアポ)・紹介型・来店型・代理店経由など
法人向け保険(団体保険・事業保険)の経験がある場合は、顧客企業の規模(従業員数・売上規模)も合わせて記載します。これだけで「法人営業経験者」として扱われ、評価の土台が変わります。
②契約件数だけでなく継続率・紹介件数
件数や達成率は、ノルマの設定水準によって意味が変わります。一方で継続率は「お客様が解約しなかった」という事実そのものであり、紹介件数は「既存客が新しい客を連れてきてくれた」という信頼の可視化です。この2つは採用担当者が特に重視する数字です。
| 数値の種類 | 何を証明するか | 採用担当者の判断基準 |
|---|---|---|
| 契約件数・達成率 | 営業活動量・目標達成力 | ノルマ水準次第で評価が変わる |
| 継続率 | 顧客との関係維持力 | 同期・社内平均との比較で評価される |
| 紹介件数・紹介率 | 顧客満足度・信頼関係 | 「保険は信頼で売れる」ことの証明 |
| MDRT・社内表彰 | 同業者の中での相対的な位置 | 客観的な実力指標として評価しやすい |
③職務要約の書き出しで第一印象が決まる
採用担当者が書類を見る順番は「職務要約→実績数字→資格欄」です。職務要約の冒頭1〜2文で「この人がどんな保険営業だったか」がつかめないと、残りを丁寧に読まれません。「何年・どんな会社で・誰に・何を売り・どんな実績を出したか」の5点を150〜200文字でまとめると、1回読むだけで人物像をつかめる書類になります。
職務経歴欄・資格欄・自己PRの書き方
保険営業の職務経歴書は「職務要約・職務経歴・スキル・自己PR」の4ブロックで構成します。それぞれの書き方と保険営業特有の注意点を解説します。
職務経歴欄の書き方
職務経歴欄は「期間・会社概要・業務内容・実績」の順で書きます。保険営業に特有の記載ポイントは以下の3つです。
- 担当エリアと顧客規模を書く:「担当エリア:○○県内、担当顧客数:約150件」のように具体化する
- 取扱商品を列挙する:「定期保険、終身保険、医療保険、がん保険、変額保険(個人年金型)」のように種別を全て明記する
- 業務フローを書く:新規開拓→ニーズ分析→提案書作成→クロージング→アフターフォローの流れで、自分がどのフェーズを特に担っていたかを明示する
実績欄は数値化が原則ですが、数字だけでは不十分です。「何をしたから、その数字になったか」を1文添えると、採用担当者は「この人なら再現できる」と判断します。
実績欄の書き方(数字+背景をセットで)
- 月平均契約件数:4.2件(支社平均3.1件)→ 毎週の既存客へのフォローコールを標準化し、紹介を起点にした新規獲得サイクルを構築した結果
- 継続率:94%(同期平均を上回る水準)→ 契約後3・6・12か月のフォロー面談を徹底し、保障内容の見直し提案を習慣化した結果
- 年間紹介件数:18件 → 既存顧客20名との定期的な対話の場を設け、「紹介したくなる」長期関係を構築した結果
保有資格・スキル欄の書き方
保険営業で取得した資格は、すべて記載します。採用担当者は資格の有無を「専門知識の深さ」の指標として使います。特に生命保険募集人資格は課程別の正式名称で記載することが重要です。
| 資格名 | 優先度 | 補足 |
|---|---|---|
| 生命保険募集人(一般〜大学課程) | 必須 | 取得済み課程をすべて正式名称で記載 |
| 損害保険募集人(基礎・商品単位) | 必須 | 有効期限内のもののみ記載 |
| FP技能士2級・1級 | 高評価 | 証券外務員と並びアピール度が高い |
| MDRT達成(会員・COT・TOT) | 高評価 | 達成年数・会員種別まで記載 |
| 証券外務員一種・二種 | 強み | 変額保険取扱には必須のため評価される |
生命保険募集人資格の課程別の正式名称と記載例については、以下の記事で詳しく解説しています。

損害保険を扱っていた方は、正式名称の記載ルールも確認しておくと安心です。

自己PRの書き方
自己PRは「職務経歴欄で証明した事実」を踏まえ、「なぜそれが転職先で活かせるか」を語る場所です。保険営業出身者が陥りやすいのは「数字の羅列で終わる」か「精神論だけになる」かのどちらかです。採用担当者が評価する自己PRは「①具体的な行動 ②その結果 ③転職先での再現イメージ」の三段構成です。
【状況別】保険営業の職務経歴書 例文集
保険営業の経験年数・キャリアステップ・在籍した会社の種類によって、職務経歴書の重点の置き方は変わります。自分の状況に近い例文を参考にしてください。
経験1〜3年・若手の場合
経験が浅い場合は「数字の絶対値」よりも「成長の軌跡」と「業務習得のスピード感」を伝えます。採用担当者は若手の場合、「今後伸びるか」を見ているからです。
職務要約の例文(経験1〜3年)
大手生命保険会社にて2年間、20〜40代の個人顧客に対し医療保険・定期保険・学資保険の提案営業を担当しました。入社1年目は月1.8件ペースでしたが、先輩のアプローチ方法を分析してトークスクリプトを自作した結果、2年目後半は月平均3.8件まで改善しました。直近6か月は連続で月次目標を達成しています。
若手の場合は「なぜその結果になったか」の行動プロセスが特に重要です。件数の数字が低くても「どんな工夫で伸ばしたか」を1〜2文添えると、採用担当者の目が止まります。
経験5年以上・チームリーダー経験者の場合
中堅以降は「個人実績」に加え、「チームへの関与」と「後輩育成」の実績が評価されます。マネジメント候補として評価されるためです。チームリーダーの期間が短くても、関与した内容を具体的に書きます。
職務要約の例文(経験5年以上)
生命保険会社にて7年間、個人・法人両面の保険提案営業に従事し、3年目からはチームリーダーとして4名のメンバーを統括しました。個人実績では4年連続でMDRTを達成。チームでは、半期の支社業績で2期連続1位を実現しました。個人の営業力に加え、数値管理と1on1コーチングで組織全体の底上げを図ってきた経験が強みです。
保険代理店・生保レディ出身の場合
保険代理店出身者は「複数社商品を扱える中立性」と「少人数での多役割経験」が強みになります。採用担当者が「代理店=小規模・経験浅い」と誤解することがあるため、扱った商品種別・担当顧客数・チーム規模を明示します。生保レディとして働いていた方も、営業経験として正式に評価されるため、担当顧客数や継続率は必ず数値化して記載してください。
職務要約の例文(代理店・生保レディ出身)
独立系保険代理店にて15年間、生命保険・損害保険・医療保険の複合提案営業を担当し、後半8年間は店長としてスタッフ8名の育成・マネジメントを担いました。担当顧客数は累計320名超。複数社の商品からニーズに最適なプランを設計する提案力と、スタッフの定着率向上施策(離職率45%→18%に改善)が主要実績です。
採用担当者が落とすNG例と改善パターン
保険営業の職務経歴書には、業界特有の「通らない書き方」のパターンがあります。採用担当者が実際に落とす書類の特徴を2パターン挙げ、改善方法とセットで解説します。
NG例①「保険営業として勤務」で終わる説明
最もよくある失敗は、業務内容の説明が「保険営業をしていました」で終わるパターンです。採用担当者の目線では、これは「何も言っていない」に等しい記述です。
NG例
○○生命保険株式会社にて、保険営業として勤務していました。お客様のニーズを丁寧にヒアリングし、最適なプランをご提案することを心がけていました。「何を・誰に・どんな数字を出したか」が一切書かれていないため、採用担当者は評価のしようがありません。
改善後
○○生命保険株式会社(20XX〜20XX年)にて、30〜60代の個人顧客200名超を担当し、医療保険・終身保険・個人年金を月平均3.5件ペースで提案しました。継続率92%、年間紹介件数は平均10件を維持しています。
NG例②数字はあるが信頼の証拠がない
「件数と達成率だけを書いた書類」も落とされやすいパターンです。これらの数字だけでは「顧客から信頼されているか」が見えないため、採用担当者は「典型的な保険営業」と判断して終わります。
改善後(信頼の証拠を追加)
- 月間契約件数:4件(支社平均2.8件)
- 年間保険料収入:1,200万円(前年比115%)
- 継続率:91%(支社内でも上位水準)
- 年間紹介件数:14件(新規獲得の40%が既存客からの紹介)
- →毎月の定例フォロー面談と保障見直し提案を継続した結果
成績が低い時期・短期在籍の書き方
「成績が振るわなかった時期がある」「1〜2年で退職している」という場合、多くの人が数字を省きたくなります。しかし数字を省くと採用担当者が空白に余計な不信感を持ちます。対処法は「伸び率」で代替するか、正直に書いたうえで「その後どう改善したか」を添えるかです。
成績が低い時期・短期在籍の書き方例
- 伸び率で代替:「入社1年目は月1.8件でしたが、商品知識とアプローチを見直した結果、2年目後半は月3.5件まで向上しました」
- 短期在籍の説明:「1年半での退職は、組織変更による営業体制の変更(担当エリア縮小)によるものです。担当顧客との関係は良好で、退職後も紹介をいただいています」
- ブランク期間の説明:「退職後6か月間はFP2級の取得準備にあて、転職後の提案力強化に備えました」
実績に自信が持てない場合は、保険業界に限らない一般的な営業職の職務経歴書の書き方もあわせて確認すると、表現の幅が広がります。

保険営業のスキルを他業種転職でどう伝えるか
保険営業から他業種への転職では「保険知識は他では使えない」という誤解を自分で解く必要があります。採用担当者に「業界が変わっても同じ力が発揮できる」と納得させるには、スキルを業界依存でない言葉に翻訳することが前提です。
業務プロセス単位でスキルを翻訳する
保険営業で培ったスキルを他業種に翻訳するとき、「提案力がある」「コミュニケーション能力が高い」という表現では通じません。採用担当者は「具体的に何ができるのか」を見ているからです。翻訳のコツは、業務プロセスを分解してスキルを言語化することです。保険営業の業務を「アポ獲得→ニーズ分析→提案書作成→クロージング→アフターフォロー」に分解し、各フェーズで何を工夫していたかを言語化します。
転職先業種別の表現変換
| 転職先業種 | 保険営業スキルの翻訳ポイント | 職務経歴書での表現例 |
|---|---|---|
| 法人営業(メーカー・IT等) | 法人向け保険提案の経験がある場合、予算規模・関係者調整をアピール | 「法人顧客30社への保障設計提案を担当。財務担当・経営層・総務の3者合意形成を経て契約」 |
| 不動産・住宅ローン関連 | FP知識と資産設計の経験を活用 | 「FP2級を活用したライフプランシミュレーション提案で、購買前の不安解消を担当」 |
| 証券・銀行・資産運用 | 変額保険・個人年金の提案経験を明示 | 「変額保険の提案を月平均○件担当。リスク許容度の確認と運用シミュレーションを習慣化」 |
| SaaS・IT営業 | 「無形商品の価値を言語化して売る力」として翻訳 | 「目に見えない保障価値を顧客に可視化する提案書作成力(A4・2ページで意思決定を促す構成)」 |
職務経歴書とあわせて提出する履歴書のテンプレートが必要な方は、転職用の履歴書テンプレートもあわせて活用してください。
職務経歴書自体のフォーマットが必要な場合は、営業の職務経歴書テンプレートから作成すると効率的です。ハローワークの求人に応募する場合は、ハローワーク用の職務経歴書テンプレートも参考にしてください。
まとめ
- 採用担当者は「顧客層・取扱商品・チャネル」の3点セットを職務要約で最初に確認する
- 件数・達成率に加え、継続率と紹介件数を必ず書くことで信頼性が証明できる
- 実績数字は「数字+なぜその結果になったか」をセットで書く
- 成績が低い時期は省かず「伸び率」や「その後の改善」で補完する
- 他業種転職では「業界依存のスキル名」ではなく「業務プロセス単位」でスキルを翻訳して伝える
保険営業の職務経歴書に関するよくある質問
- MDRTの達成がない場合、実績欄は何を書けばいいですか?
-
MDRTは実績の一つでしかありません。継続率・紹介件数・目標達成率・担当顧客数・在籍期間中の伸び率など、数値化できる実績はすべて記載してください。「月平均○件、支社平均○件」という比較表現も有効です。数字の絶対値が低くても「在籍期間中に○%改善した」という伸び率での表現は採用担当者に伝わります。
- 保険の知識・資格は他業種でアピールできますか?
-
できます。ただし「保険の知識がある」ではなく、「FP資格を活用してライフプランに基づく提案ができる」「無形商品の価値を言語化して意思決定を促せる」のように業界依存でない形で表現することが重要です。特にSaaS営業・不動産・銀行・証券などは保険営業出身者のスキルを評価する傾向があります。
- 保険代理店や生保レディの経験は、正社員の保険営業と同じように評価されますか?
-
雇用形態にかかわらず、営業実績として正式に評価されます。直販の大手生命保険会社との違いが伝わりにくいため、「複数社商品を扱う中立的な立場で提案していた」「担当顧客数・継続率・スタッフ数」を具体的に記載することが重要です。少人数で多役割を担うことが多いため、業務設計力もあわせてアピールするとプラスに評価されます。
- 職務経歴書は自分で書くべきですか、転職エージェントに添削してもらうべきですか?
-
まずは自分で書いたうえで、転職エージェントに添削してもらうことを勧めます。特に保険業界から他業種への転職では「スキルの翻訳」が最も難しい部分で、業界外の視点からのフィードバックが書類通過率を上げます。無料で添削が受けられる転職エージェントを複数活用し、表現を磨いていくとよいでしょう。

