派遣社員の職歴は、派遣元・派遣先を分けて「登録」「就業」「派遣期間満了」の用語で書くのが正解です。複数の派遣先がある場合のまとめ方や、直接雇用に切り替わった場合の書き方、正社員への転職を考える人が書きたい志望動機まで、採用担当者が実際に見ているポイントとあわせて状況別の例文でひとつずつ確認できます。
派遣社員の履歴書|職歴欄の正しい書き方【結論】
派遣社員の職歴には、正社員とは違う専用のルールがあります。ここを外すと、どれだけ実績があっても採用担当者に正しく伝わりません。まずは基本の型を押さえましょう。
結論:派遣元→派遣先→業務内容の順で書く
雇用契約を結んでいるのは派遣会社(派遣元)ですが、実際に働く場所は派遣先企業です。この2つは必ず分けて、派遣元を先に記載します。給与の支払い元が派遣元であることを考えれば、この順序の理由も理解しやすいはずです。
| 行 | 記載内容 | 記入例 |
|---|---|---|
| 1行目 | 派遣元(派遣会社)への登録 | 株式会社〇〇(人材派遣会社)登録 |
| 2行目 | 派遣先企業名と就業開始 | △△株式会社へ派遣就業 |
| 3行目 | 配属部署と業務内容 | 営業部にて受発注管理・顧客対応を担当 |
| 4行目 | 契約終了の理由 | 派遣期間満了につき退職 |
使う用語一覧|「入社」「退職」は使わない
派遣社員の職歴には「入社」「退職」という言葉を使いません。正社員と同じ言葉を当てはめると、雇用形態が誤解されるだけでなく、細部への注意力を疑われる原因にもなります。
| 場面 | 正しい用語 | 避けたい表現 |
|---|---|---|
| 派遣会社に登録したとき | 登録 | 入社 |
| 派遣先で働き始めたとき | 就業/〜へ派遣就業 | 入社・着任 |
| 契約期間満了で終了したとき | 派遣期間満了につき退職 | 退職(理由なし) |
| 自分の意志で契約を更新しなかったとき | 契約更新なしのため退職 | 自己都合退職 |
基本の記載例
良い例文
2022年4月 株式会社〇〇(人材派遣会社)登録
2022年4月 △△株式会社(製造業・従業員500名)へ派遣就業
製造管理部にて生産ライン品質検査・日報作成を担当
2024年3月 派遣期間満了につき退職
NG例
2022年4月 △△株式会社 入社
2024年3月 退職
この書き方がNGな理由:派遣元の記載がなく雇用形態が不明なうえ、業務内容も一切わかりません。採用担当者はこの2年間に何をしていたのか判断できず、確認のために書類を止めます。
採用担当者は派遣社員の履歴書のどこを見ているのか
「派遣だから不利」は思い込み
派遣社員としての経歴が多いと書類選考で不利になるのではと感じる方は少なくありません。ですが採用担当者が見ているのは雇用形態ではなく、その人が何をできるかです。複数の職場を経験してきたことは、環境適応力や実務対応の幅の広さとして評価される材料にもなります。
採用担当者はここを見ている
- 派遣元・派遣先が正しく書き分けられ、雇用形態が一目でわかるか
- 職歴に不自然な空白がないか(隠していないか)
- 派遣先ごとの業務内容から、スキルや経験に一貫性が読み取れるか
問題になるのは派遣という働き方そのものではなく、何をしていたかわからない書き方です。業務内容が抽象的すぎる記載こそが、印象を悪化させる最大の原因になります。
業務内容は数字と規模感で具体的に書く
多くの応募者が業務内容を「〇〇を担当」の一言で済ませています。ここに数字と具体性を加えるだけで、書類の見え方は大きく変わります。
NG例
データ入力や電話応対を担当
この書き方がNGな理由:何件のデータを、どんな規模で対応したのかが一切わかりません。同じ業務を書く候補者との差がつかず、記憶にも残りません。
良い例文
1日平均200件のデータ入力(Excelマクロ活用)と、月間100件超の顧客電話応対を担当。入力ミスゼロを6か月間継続
数字にしづらい業務でも、部署の人数や対応した顧客数といった規模感、自分なりに工夫した点を一言添えるだけで印象は変わります。
【状況別】派遣社員の履歴書の書き方と例文
派遣社員の経歴は人によって形が異なります。以下の6つの状況から自分に近いものを選び、例文をそのまま参考にしてください。
派遣先が1〜2社の場合
もっともシンプルなケースです。派遣元と派遣先をそれぞれ1行ずつ分けて書き、業務内容を具体的に記載します。
良い例文
2022年4月 株式会社〇〇(人材派遣会社)登録
2022年4月 △△株式会社(製造業・従業員500名)へ派遣就業
製造管理部にて生産ライン品質検査・日報作成を担当(不良品検出率を前年比20%改善)
2024年3月 派遣期間満了につき退職
派遣先が3社以上・短期を繰り返した場合
派遣先が3社以上あったり、短期の派遣を繰り返していたりすると、すべてを詳細に書ききれません。このケースではまとめ記載が有効です。
良い例文(まとめ記載)
2020年4月 株式会社〇〇(人材派遣会社)登録
2020年4月〜2023年3月 事務職として複数の派遣先(5社)に就業
主な業務:データ入力・電話応対・書類管理(詳細は職務経歴書に記載)
2023年3月 派遣期間満了につき退職
まとめ記載を使うときは「詳細は職務経歴書に記載」と一言添えるのがポイントです。職務経歴書側で各派遣先の業務内容を整理しておけば、書類全体としての情報量を保てます。フォーマットに迷う場合は派遣の職務経歴書テンプレートを使うと項目の抜け漏れを防げます。
派遣元・派遣先がどちらも複数の場合
異なる派遣会社に登録し、それぞれから複数の派遣先に就業した場合は、派遣会社ごとにブロックを分けて記載します。
良い例文
2019年4月 株式会社A(人材派遣会社)登録
2019年4月 B株式会社(小売業)へ派遣就業 販売管理業務を担当
2021年3月 派遣期間満了につき退職
2021年5月 株式会社C(人材派遣会社)登録
2021年5月 D株式会社(IT業)へ派遣就業 カスタマーサポート業務を担当
2023年4月 派遣期間満了につき退職
派遣から直接雇用に切り替わった場合
紹介予定派遣や、派遣先から直接雇用(正社員・契約社員)に転換したケースは、その経緯を明確に記載します。直接雇用への切り替えは、職場に評価された事実として採用担当者にプラスに伝わります。
良い例文
2020年6月 株式会社〇〇(人材派遣会社)登録
2020年6月 △△株式会社(商社)へ紹介予定派遣として就業
営業事務として顧客管理・見積書作成を担当
2020年12月 会社の要請により直接雇用(正社員)へ転換
2023年9月 一身上の都合により退職

正社員と派遣の経験が混在する場合
正社員と派遣社員、両方の経験がある場合は時系列で記載しますが、スペースの配分に注意が必要です。
採用担当者はここを見ている
- 正社員としての職歴を優先して確認する傾向がある
- 正社員経験の業務内容・実績は詳しく、派遣経験は簡潔にまとめて記載できているか
- 派遣経験を省略せず、正社員との「スペースのメリハリ」がついているか
派遣先の会社名を書けない場合(守秘義務)
派遣元と守秘義務契約を結んでいて、派遣先の会社名を公開できないケースがあります。この場合、「某〇〇系企業」のような曖昧な書き方は避けます。
良い例文
2021年4月 株式会社〇〇(人材派遣会社)登録
2021年4月 守秘義務のため社名非開示の企業へ派遣就業(IT業界・従業員1,000名規模)
システム開発部にてテスト業務・ドキュメント作成を担当
2023年6月 派遣期間満了につき退職
守秘義務がある場合でも、業種・規模・担当業務は記載できることが多いため、書ける範囲でできるだけ具体的に記載します。記載してよいか迷ったときは、派遣元に確認しておくと確実です。
やりがちなNG例と改善ポイント
採用担当者がよく目にする、派遣社員の履歴書における典型的な失敗を3つ紹介します。心当たりがある場合は今すぐ修正してください。
NG①「入社・退職」を使ってしまう
NG例
2022年4月 株式会社〇〇(派遣会社)入社
2022年4月 △△株式会社へ出向
2024年3月 退職
「入社」「出向」「退職」はいずれも派遣には不適切な表現です。正しくは「登録」「派遣就業」「派遣期間満了につき退職」に置き換えます。
NG②派遣元と派遣先の順番が逆になっている
NG例
2022年4月 △△株式会社(就業先)にて事務担当
2022年4月 株式会社〇〇(派遣会社)登録
必ず「派遣元(雇用主)」→「派遣先(就業場所)」の順で記載します。雇用関係は派遣会社との間にあるため、逆に書くと採用担当者が雇用形態を誤解します。
NG③派遣経験を省略して空白期間に見せる
「省略した方が印象が良くなるのでは」と考える方がいますが、これは最も避けたい対応です。
- 省略した期間が「空白(無職)」に見える
- 採用担当者に「何か隠しているのでは」という印象を与える
- 入社後に発覚した場合、経歴詐称と見なされるリスクがある
書ききれない場合は前述の「まとめ記載」を活用し、必ず何らかの形で記載してください。
派遣社員から正社員への転職で履歴書に書きたいこと
派遣社員から正社員への転職を目指す場合、採用担当者は「なぜ今まで正社員ではなく派遣を選んでいたのか」を無意識に確認しています。この疑問に先回りして答えられるかどうかで、書類の印象は大きく変わります。
志望動機欄で「なぜ正社員を目指すか」を書く
志望動機欄では「スキルアップしたい」という曖昧な表現は避け、派遣経験から得た学びと、正社員として達成したい具体的な目標を結びつけて書くと説得力が増します。
良い例文(志望動機欄)
派遣社員として5年間、複数の企業で経理補助業務を経験する中で、月次締めや予算管理の実務に携わってきました。複数の現場を経験したことで業務の全体像が見えてきた今、より深い専門性を身につけ、長期的に組織へ貢献できる正社員としてのキャリアを積みたいと考え、貴社の経理部門を志望します。
雇用形態別の注意点(登録型・常用型・紹介予定派遣)
「派遣」と一括りにされがちですが、雇用形態によって職歴欄の書き方は変わります。一般的な登録型派遣では派遣会社への書き方は「登録」ですが、派遣会社と無期雇用契約を結ぶ常用型(無期雇用派遣)の場合、派遣会社への書き方は「入社」となり、退職理由の書き方も通常の退職と同様になります。自分の雇用形態がどちらかを確認したうえで、用語を使い分けてください。


転職先に合わせて用紙を選び直したい場合は転職用の履歴書テンプレート、指定がなく迷う場合は厚生労働省の規格に沿った履歴書テンプレートを選ぶと書式で迷う時間を減らせます。
まとめ
- 派遣社員の職歴は「派遣元(雇用主)→派遣先(就業場所)」の順で必ず分けて記載する
- 「入社・退職」は使わず、「登録・就業・派遣期間満了」の正しい用語を使う
- 派遣先が複数ある場合は「まとめ記載」+「詳細は職務経歴書」で対応する
- 業務内容は数字・規模感・工夫した点を加えて具体的に書く
- 派遣経験の省略は経歴詐称と見なされるリスクがあるため避ける
派遣社員としての経験は、書き方次第で正しく評価につながります。この記事の型を参考に、自分の経歴を採用担当者に正確に伝える履歴書を仕上げてください。
派遣社員の履歴書に関するよくある質問
- 派遣社員の職歴は書かなくてもいいですか?
-
いいえ、必ず記載してください。省略するとその期間が空白(無職)に見え、採用担当者に不審感を与えます。後から発覚した場合は経歴詐称と見なされるリスクもあります。派遣先が多くて書ききれない場合は「複数の派遣先に就業(詳細は職務経歴書に記載)」とまとめる方法を使ってください。
- 短期の派遣(1〜3か月)も全部書く必要がありますか?
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原則として記載が推奨されますが、短期の派遣が非常に多い場合はまとめ記載が有効です。「2020年〜2022年、事務職として5社の短期派遣に就業」のように合計期間・社数・職種をまとめて記載し、詳細は職務経歴書に委ねる方法を使ってください。
- 派遣先の会社名に守秘義務がある場合、どう書けばいいですか?
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「守秘義務のため社名非開示の企業へ派遣就業(〇〇業界・従業員〇〇名規模)」と記載します。「某〇〇系企業」のような曖昧な書き方は避けましょう。業種・規模・担当業務は記載できることがほとんどのため、できる限り具体的な情報を盛り込んでください。
- 派遣社員から正社員に転職するとき、履歴書で特に注意することは?
-
志望動機欄には「なぜ正社員を目指すのか」を具体的に書きます。派遣経験から得たスキルと、正社員として長期的に達成したい目標を結びつけて書くと説得力が増します。正社員経験がある場合は、その職歴に優先的にスペースを割き、派遣経験はコンパクトにまとめるのが効果的です。

