助産師の履歴書は、学歴・職歴欄に配属科と分娩件数を括弧書きで添え、資格欄は取得・認定・修了の動詞を使い分けるのが正解です。看護師時代のフォーマットをそのまま使い回すと専門性が伝わらず、書類選考で埋もれてしまいます。この記事では採用担当者が実際に見ているポイントと、志望動機・自己PRの例文を状況別に紹介します。
助産師の履歴書の書き方と例文【結論】
結論|看護師の履歴書と同じ書き方では通らない
助産師の履歴書で最初に押さえるべき結論は、「経験を数字と固有名詞で語れているか」です。分娩介助・妊婦健診・産後ケアの件数、配属された診療科や病棟の種類、取得した専門資格を具体的に書けているかどうかで、採用担当者の印象は大きく変わります。
看護師の履歴書と項目自体は共通していますが、助産師は「分娩をどれだけ、どの水準で担当してきたか」という専門性の証明を厳しく問われる職種です。次項から、学歴・職歴欄、資格欄、志望動機、自己PRの順に具体的な書き方を見ていきます。
学歴・職歴欄の書き方(配属科・分娩件数を括弧で添える)
学歴は高校卒業から時系列で記載します。看護専門学校・大学は正式名称を使い、「入学」「卒業」を正確に区別してください。転職活動で使う転職用の履歴書テンプレートを使うと、学歴・職歴欄の体裁を崩さずに書き進められます。
職歴欄は病院名だけでなく、配属された診療科・病棟の種類を括弧書きで添えることが助産師の場合は特に重要です。「産科病棟(分娩件数:年間約500件)」のように具体的に書くことで、どのフィールドで経験を積んできたかが一目で伝わります。
| 記載項目 | 書き方の例 |
|---|---|
| 病院名 | 医療法人〇〇会 △△病院(正式名称を使う) |
| 診療科・病棟 | 産科病棟勤務(GCU・NICU含む) |
| 分娩件数 | 年間約600件、うち帝王切開対応100件 |
| 在籍期間 | 20XX年4月〜20XX年3月(〇年〇か月) |
| 退職理由 | 一身上の都合により退職(表記は「退職」で統一) |
資格・免許欄の書き方と記載順(動詞の使い分け)
資格・免許欄は、助産師としての専門性を客観的に証明できる数少ないスペースです。助産師免許は看護師免許を取得したあとに取得する制度になっているため、記載順は取得年月順、つまり看護師免許を先に、助産師免許をそのあとに書くのが基本です。産科・助産に特化した施設であれば、助産師免許を上位に配置して専門性を強調する書き方も有効です。
- 取得年月順が基本。応募先に関連する資格は上位に記載しても可
- 動詞の使い分け:国家資格は「取得」、日本看護協会認定は「認定」、研修・講習は「修了」
- 正式名称を使う:「助産師免許」「看護師免許」の略称・通称は不可
良い例文
20XX年3月 看護師免許 取得
20XX年3月 助産師免許 取得
20XX年6月 NCPR(新生児蘇生法)プロバイダー 修了
20XX年10月 アドバンス助産師 認定
NG例
「助産師免許 所持」「看護師資格あり」
「所持」「あり」は正式な書き方ではありません。「取得」に統一してください。「NCPRプロバイダー」のような略称のみの記載も避けましょう。
医療業界向けの医療業界の職務経歴書テンプレートを職務経歴書とあわせて用意しておくと、資格欄の記載パターンを流用しやすくなります。
志望動機の書き方と例文(状況別3パターン)
助産師の志望動機で採用担当者が求めているのは、「なぜ数ある施設の中でここか」という応募先への特化した理由と、「この施設でないと実現できないキャリア目標」の2点です。転職先の施設タイプによって、書くべき内容が変わります。
良い例文(病院→地域密着型クリニックへの転職)
前職の総合病院では産科病棟に7年間勤務し、年間約600件の分娩介助に携わりました。ハイリスク管理の経験は積めましたが、産後ケアの継続が退院で途切れることに課題を感じ、地域で母子を継続支援できる環境を求めるようになりました。貴院は産後ケア事業と外来の連携を強みとしており、院内研修制度でラクテーション支援の専門知識を学べる体制があると伺いました。前職での分娩管理の経験を活かしながら、産後の母子支援まで一貫して担える助産師として貢献したいと考えております。
良い例文(病院→助産院への転職)
大学病院に5年間勤務し、正常分娩から帝王切開・ハイリスク管理まで幅広い経験を積みました。その中で、医療処置に頼らない自然な出産を希望する産婦への関わりに強いやりがいを感じるようになりました。貴院は自然分娩を大切にした助産ケアを実践しており、助産師が主体的に関わる姿勢に共感しています。正常分娩の実践力を高めながら、産婦が本来持つ力を引き出す助産師として成長したいと考え、志望いたしました。
良い例文(ブランクからの復職)
育児休業取得により3年間のブランクがありますが、復職に向けてNCPRの再講習を修了し、最新の分娩管理ガイドラインを自己学習しています。貴院は復職者向けのリフレッシュ研修プログラムを設けておられ、段階的に分娩介助に復帰できる体制があると伺いました。ブランク前は年間500件以上の分娩に携わった経験があり、復職後は早期に戦力として貢献できると考えております。子育て経験を活かした産後ケアの視点も、現場での強みになると感じています。
採用担当者はここを見ている(志望動機)
- 施設の特性・強みを事前に調べているか(リサーチ力の証明)
- 「前の職場が嫌だった」ではなく「ここで何を実現したいか」が書かれているか
- 過去の経験と今後のキャリア目標がつながっているか
- 250〜300文字の適切な量で具体的に書かれているか
自己PRの書き方と例文(経験年数別)
自己PR欄は300〜500文字が目安で、「強みの提示→具体的な実績→入職後の活かし方」の順に書くと説得力が増します。
| 要素 | 内容 | NG例 |
|---|---|---|
| ①実績 | 件数・年数・施設タイプなど数字で示す | 「経験豊富です」(数字なし) |
| ②スキル | 分娩介助・産後ケア・新生児管理など具体的に | 「さまざまなスキルがあります」 |
| ③入職後の貢献 | 応募先の施設特性とスキルをリンクさせる | 「頑張ります」のみで終わる |
良い例文(経験3〜5年)
産科病棟での4年間で、正常分娩から帝王切開・吸引分娩・胎盤用手剥離まで、年間約450件の分娩に携わりました。特に初産婦への分娩準備教育と産後のメンタルサポートに注力しており、産後うつの早期兆候をアセスメントして地域の保健師と連携した事例が複数あります。NCPR修了後は院内の新人教育担当として後輩への実技指導も担いました。貴院の産後ケア室を活用した退院後サポートの取り組みに強い関心を持っており、これまでの経験を活かして継続的なケアの充実に貢献したいと考えています。
良い例文(経験10年以上)
総合病院の産科病棟に12年勤務し、後半の5年間はリーダー業務と新人・後輩指導を担いました。年間700件規模の施設でハイリスク妊産婦管理・帝王切開対応・周産期緊急事態への対応を経験し、アドバンス助産師の認定も取得しています。管理職経験として、スタッフのシフト調整と品質管理マニュアルの改定を主導しました。貴院が推進しているチームで産婦を支えるケア体制の強化に向けて、現場経験と指導力の両面から貢献できると考えています。

採用担当者が助産師の履歴書を厳しく見る理由
即戦力かどうかを判断する基準
助産師の採用現場では、履歴書の審査が「即戦力かどうか」の一次判断材料として使われます。分娩介助の経験・取得資格・勤務した施設タイプが読み取れるかどうかで、担当者の印象は大きく変わります。証明写真も同様で、医療従事者として患者と接する職種である以上、清潔感は採用基準の前提条件です。
専門性の証明レベルが看護師より高い理由
助産師免許・看護師免許はどちらも必須記載ですが、多くの応募者がここで止まってしまいます。NCPR(新生児蘇生法)プロバイダーやアドバンス助産師の認定、NLSの修了歴などを記載しているかどうかで、採用担当者は「自己研鑽できる人材か」を判断しています。
採用担当者はここを見ている(写真・基本情報)
- 3か月以内に撮影した写真かどうか(古い写真は印象が悪い)
- 髪型・服装から「患者対応ができる人材か」を判断している
- 応募先の病院名・施設名を正確に記載しているか(誤字は一発アウト)
助産師特有の「書き方の落とし穴」
看護師時代の履歴書をそのまま使い回すと落ちる理由
助産師への転職・転科で多いのが、看護師時代に使っていた履歴書のフォーマットをそのまま流用してしまうケースです。職歴欄に「産科病棟勤務」とだけ書いて終わりにすると、分娩介助にどこまで関わってきたのかが採用担当者に伝わりません。看護師と助産師では求められる専門性の証明水準が異なるため、配属科・分娩件数・担当した処置の種類まで踏み込んで書く必要があります。
看護師としての職歴もあわせて記載する場合は、看護師の職務経歴書テンプレートを参考にすると、経験年数の書き分け方を整理しやすくなります。
分娩件数は盛って書いていいのか
「分娩件数を多めに書けば印象が良くなるのでは」と考える人もいますが、これは避けるべきです。助産師の採用面接では分娩件数の内訳(正常分娩・帝王切開・ハイリスク対応の割合)を必ず質問されます。数字の根拠を説明できないと、面接段階で一気に信頼を失います。正確な件数が分からない場合は「年間約〇件」と概数で示し、面接で内訳を説明できるように準備しておくのが安全です。
NG例
「分娩介助多数経験」「豊富な分娩実績」
数字を伴わない表現は評価につながりません。「年間約500件、うち帝王切開100件」のように、必ず数字と内訳で示してください。

写真・提出前の最終チェック
証明写真は採用担当者が履歴書を開いて最初に目を向ける箇所です。第一印象を左右するため、以下の基準を満たした写真を用意してください。
| 項目 | OK | NG |
|---|---|---|
| 撮影時期 | 3か月以内 | 数年前の古い写真 |
| 服装 | 白・淡色系のスーツ・ジャケット | カジュアルな服装・派手な柄 |
| 髪型 | すっきりとまとめる(顔周りがはっきり見える) | 前髪が目にかかる・乱れている |
| 背景 | 白・淡いグレー・淡いブルー | 自撮り・屋外・カラフルな背景 |
厚生労働省の様式を使う場合は、厚生労働省の規格に沿った履歴書テンプレートを使うと写真欄のサイズや項目の抜け漏れを防げます。提出前は以下の7項目を必ず確認してください。
- 応募先の病院名・施設名の正式名称が正確か(誤字・略称がないか)
- 資格の正式名称と取得年月が正確か
- 修正液・修正テープを使用していないか(手書きの場合)
- 日付欄に提出日と同じ日付を記載しているか
- 志望動機・自己PRが空欄になっていないか
- 捺印欄に署名・押印があるか
- コピーを1部手元に残しているか(面接対策のため)
まとめ
- 助産師の履歴書は、職歴欄に配属科・分娩件数を具体的に記載することが看護師の履歴書との最大の違い
- 資格欄はNCPR・アドバンス助産師など専門資格を記載し、動詞(取得・認定・修了)を正確に使い分ける
- 志望動機は「施設の特性+自分のキャリア目標」を結びつけた内容で書く。汎用的な表現は見抜かれる
- 分娩件数は正確な数字で示し、面接で内訳を説明できる準備をしておく
- 写真は3か月以内撮影・清潔感のある服装が前提。提出前は7項目チェックリストで最終確認する
助産師の転職活動で書類選考を通過するには、看護師と同じ書き方では不十分です。専門性・経験の具体性・施設への本気度を履歴書の各欄で伝えることが、採用担当者に会いたいと思わせる第一歩になります。

助産師の履歴書に関するよくある質問
- 助産師免許と看護師免許はどちらを先に書きますか?
-
原則として取得年月の古い順(時系列順)に記載します。助産師免許は看護師免許を取得したあとに取得する制度のため、「看護師免許 取得」を先に、「助産師免許 取得」を後に記載してください。産科・助産に特化した施設への応募では、助産師免許を看護師免許の直後に配置して専門性をアピールする書き方も有効です。
- NCPRやNLSは履歴書の資格欄に書いてもいいですか?
-
書くことを強くおすすめします。「〇〇年〇月 NCPR(新生児蘇生法)プロバイダー 修了」のように、正式名称と「修了」という動詞を使って記載してください。これらの研修資格は採用担当者に自己研鑽できる人材という印象を与え、特にNICU・GCUのある施設や助産院への応募で評価が高まります。
- ブランク(育休・離職期間)がある場合、履歴書にどう書けばいいですか?
-
ブランク期間はそのまま空欄にせず、「育児休業取得(〇〇年〇月〜〇〇年〇月)」と記載してください。ブランク中に復職準備として行ったこと(NCPR再講習・ガイドライン学習など)があれば、志望動機や自己PR欄で積極的に触れましょう。ブランクを隠すより、復職への準備と意欲を具体的に示す方が採用担当者に好印象を与えます。
- 分娩件数の正確な数字が分からない場合はどうすればいいですか?
-
前職の在籍記録や年次報告などで確認できる範囲の数字を「年間約〇件」と概数で記載してください。まったく数字を書かないよりも、概数でも記載したほうが専門性は伝わります。ただし面接では内訳(正常分娩・帝王切開・ハイリスク対応の割合)を聞かれることが多いため、事前に整理しておきましょう。

