退職願の日付が決まっていないときは、空欄のまま提出するより「〇月末を目途に」と暫定日を書くのが正解です。転職先が未定、有給消化の調整がまだ、上司にまだ切り出せていないなど、日付を確定できない理由は人によって異なります。この記事では、日付が決まらない具体的な状況別の対処法と、上司や人事から見て信頼される書き方を解説します。
退職願の日付が決まっていないときの書き方|結論は空欄より暫定日
結論
退職願の本文中に書く日付(退職希望日)が確定していない場合、完全な空欄のまま提出するのは避けたほうが無難です。空欄が許容されるのは、上司に事前相談したうえで「日付は追って相談して決めましょう」と合意が取れているケースに限られます。まだ相談していない段階なら、「〇年〇月末を目途に」など、現時点で見込める範囲の暫定日を書いておくほうが、退職の意思がはっきり伝わります。
暫定日はあくまで目安であり、後日上司と話し合って変更することも可能です。退職願は退職届と違い、承認前であれば日付の変更や撤回を相談できる余地が残っています。この性質を踏まえると、「決まっていないから書けない」ではなく「決まっていないからこそ暫定日で意思を示す」という考え方が現実的です。
【記載例】日付未定のときの書き方
良い例文
退職願
株式会社〇〇 代表取締役社長 〇〇〇〇様
私儀 この度一身上の都合により、来る令和8年10月末日を目途に退職いたしたく、ここにお願い申し上げます。なお、退職日につきましては業務引き継ぎの都合上、ご相談のうえ確定させていただければと存じます。
令和8年9月2日
〇〇部〇〇課 〇〇〇〇 印
NG例
本文中の退職希望日を「未定」「追って連絡」とだけ書いて提出する。あるいは日付欄をそのまま空欄にして、上司への事前相談もなく提出してしまう。上司側は「いつ辞める気があるのか分からない」と受け取り、引き継ぎ計画を立てられません。
採用担当者はここを見ている
- 暫定日であっても「〇月末を目途に」など具体的な範囲が示されているか
- 「ご相談のうえ確定させていただきたい」など、話し合う姿勢が文面に表れているか
- 提出日(署名前の日付)は明確に書かれているか
なぜ「とりあえず空欄」がリスクなのか|人事・上司が困る理由
退職願の日付欄を空欄にしたまま提出すると、受け取った上司や人事担当者は次に何をすればよいか判断できません。退職の意思自体は伝わっても、いつまでに後任を探すか、いつから引き継ぎを始めるかという実務判断が止まってしまうためです。
空欄提出で起きやすいトラブル
- 後任の採用・異動計画が組めず、上司から日付の催促が繰り返される
- 引き継ぎ期間が確保できず、退職直前に業務が集中する
- 「本気で辞める気があるのか」と疑われ、話し合いが長引く
一方で、暫定日と一言の添え書きがあれば、上司側は「その時期を目安に調整すればよい」と判断できます。日付を確定させる自信がなくても、目安を示すだけで受け取り手の負担は大きく変わります。
状況別|退職願の日付が決まらない4つのケースと対処法
日付が決まらない理由は人によって異なります。自分の状況に近いケースを確認しておきましょう。
転職先がまだ決まっていない場合
次の就職先が未定のまま退職願を出す場合は、退職希望日を早めに固定しすぎないほうが安全です。内定日から逆算できないため、就業規則の申出期限と有給消化に必要な期間を基準に、暫定日を設定します。転職活動と並行して応募書類も整えておくと、退職日が決まった直後から動き出せます。転職用の履歴書テンプレートを使えば、応募先が決まってから慌てて書式を探す手間を省けます。
有給消化の日数が確定していない場合
残っている有給休暇の正確な日数が分からない状態では、最終出社日と退職希望日を混同しやすくなります。まずは人事や給与明細で有給残日数を確認し、それを踏まえたうえで暫定日を設定してください。有給消化分を差し引かずに退職希望日を書いてしまうと、後から「有給が消化しきれない」と交渉し直すことになりかねません。
上司にまだ切り出せていない場合
退職の意思を口頭でまだ伝えていない段階で日付を確定させるのは現実的ではありません。この場合は、退職願を提出する前に口頭で意思を伝え、退職希望時期のおおまかな相談を済ませてから日付欄を埋める順番が基本です。書類の提出が先行すると、口頭での相談機会を失い、話し合いがこじれる原因になります。
引き継ぎのめどが立っていない場合
担当業務の引き継ぎに必要な期間が読めない場合は、業務量の多い部署ほど余裕を持った暫定日を設定してください。引き継ぎ資料の作成期間や後任の教育期間を考慮せずに日付を書くと、退職間際に業務が集中し、円満退職から遠ざかります。
退職希望日の決め方|民法と就業規則から逆算する3ステップ
民法627条の2週間ルール(正社員/有期雇用の違い)
期間の定めのない雇用契約(正社員など)であれば、退職の申し入れから2週間が経過すれば、会社の承諾がなくても雇用契約は終了します(民法627条1項)。就業規則に「1カ月前までに申し出ること」と定められていても、法律上は2週間で退職が成立する点は変わりません。
一方、契約期間が定められている有期雇用契約(契約社員・パートなど)は、原則として契約期間中の一方的な退職ができません。次の契約更新時からの退職か、病気やケガなどやむを得ない事情がある場合の即時解除に限られます。自分がどちらの契約形態かを、まず確認しておく必要があります。
就業規則・有給消化・引き継ぎ期間から逆算する手順
法律上は2週間で退職できても、実務上はもっと早く動くのが一般的です。次の手順で退職希望日を逆算すると、暫定日を決めやすくなります。
- 就業規則で退職の申出期限(1〜3カ月前が多い)を確認する
- 残っている有給休暇の日数を確認する
- 引き継ぎに必要な期間を見積もる
- 最終出社日を仮決めし、有給消化分を足して暫定の退職希望日を出す
この手順で出した日付はあくまで目安ですが、「何となく決められない」状態から「根拠のある暫定日」に変わります。退職を切り出すタイミング自体で迷っている場合は、退職願を出すタイミングの正解|早すぎ・遅すぎで損する前に徹底解説もあわせて確認すると、暫定日の目安を組み立てやすくなります。

日付が決まったら|書き直し・追記の正しい対応
暫定日を書いて提出したあと、上司との相談で退職日が正式に確定したら、その時点で退職願を書き直すのが原則です。修正テープでの訂正や、暫定日の上から手書きで書き足すような対応は避けてください。
良い例文
暫定日で提出した退職願について、上司との話し合いで日付が確定した段階で、確定した日付を本文に記載した退職願を新たに作成し直して再提出する。旧書類は破棄する。
NG例
暫定日のまま提出した書類を放置し、確定した日付を口頭だけで伝えて済ませてしまう。書面と口頭の情報がずれると、後日「言った・言わない」のトラブルにつながります。
提出日と退職希望日をどの位置に書き分けるか、和暦・西暦の統一など基本の書式に不安がある場合は、退職願の日付の書き方|提出日と退職希望日の書き分けを徹底解説で書く位置ごとのルールを確認しておくと、書き直しの際に迷いません。退職願全体の構成をあらためて見直したい場合は、退職願の書き方と例文|退職届と間違えると後戻りできない理由を徹底解説も参考になります。


退職後の転職活動に向けて書類を整えておきたい場合は、様式に迷わない厚生労働省の規格に沿った履歴書テンプレートや、ハローワーク経由での応募を想定したハローワーク用の職務経歴書テンプレートを使うと、応募準備を早く始められます。
まとめ
- 退職願の日付が決まっていないときは、空欄より「〇月末を目途に」といった暫定日を書くほうが伝わりやすい
- 空欄提出は上司の引き継ぎ計画を止め、疑念を招きやすい
- 転職先未定・有給消化未確定・未相談・引き継ぎ未定のどのケースかで対処法が異なる
- 退職希望日は民法の2週間ルールと就業規則の申出期限、有給消化・引き継ぎ期間から逆算して決める
- 日付が確定したら、暫定日のまま放置せず書き直して再提出する
日付が決まらない理由を整理し、暫定日と一言を添えるだけで、退職願は十分に意思の伝わる書類になります。
- 退職願の日付は完全な空欄で提出してもいいですか?
-
上司に事前相談し「日付は追って決める」と合意できている場合を除き、おすすめできません。空欄のまま提出すると、上司側が引き継ぎや後任の計画を立てられず、催促や不信感につながります。目安の日付を一言添えて提出してください。
- 暫定日を書いた後、実際の退職日が変わっても問題ありませんか?
-
問題ありません。退職願は退職届と違い、会社の承認前であれば日付の変更を相談できる余地があります。ただし、確定した時点で書類を書き直し、口頭だけで済ませないようにしてください。
- 転職先が決まっていない場合、退職希望日はどう決めればいいですか?
-
内定日から逆算できないため、就業規則の申出期限と有給消化に必要な期間を基準に暫定日を設定します。転職活動の進み具合に応じて、上司と相談しながら日付を調整していく方法が現実的です。
- 上司にまだ退職の意思を伝えていません。先に退職願を出してもいいですか?
-
先に口頭で意思を伝えるほうが望ましいです。書類の提出が先行すると、口頭での相談機会を失い、日付や引き継ぎ内容の調整が難航しやすくなります。まずは直属の上司に口頭で伝え、そのうえで退職願を作成してください。

