退職願に有給消化の希望を書く場合は、詳しい日数を書き込まず一言添える程度にとどめるのが基本です。退職願はまだ会社の承諾前の書類のため、具体的な消化スケジュールは承諾後に詰めるほうが角が立ちません。この記事では、退職願と退職届の役割の違いをふまえた記載例と、状況別の伝え方、拒否されたときの対処法までまとめました。
退職願に有給消化はどう書く?結論と記載例
結論|有給消化の意向は一言添え、具体的な日数調整は別途行う
退職願は「退職したい」という意向を会社に伝える段階の書類で、会社の承諾を得て初めて退職の効力が生じます。この時点ではまだ退職日そのものが確定していないため、有給消化の細かい日数や期間まで書き込む必要はありません。
実務上は、退職願の本文に「残りの有給休暇を消化させていただきたく存じます」といった一文を添え、具体的な取得期間は退職日が決まったあとの退職届や、会社の有給休暇申請書で確定させる流れがスムーズです。先に希望だけ伝えておくことで、上司も引き継ぎのスケジュールを組みやすくなります。
良い例文
退職願
私儀 この度、一身上の都合により、来る令和〇年〇月〇日をもって退職いたしたく、ここにお願い申し上げます。なお、退職に際しましては残りの年次有給休暇を消化させていただきたく、詳細につきましては別途ご相談させていただきます。
NG例
私儀 この度、一身上の都合により退職いたします。有給が20日残っているので、来月1日から30日まで消化し、31日を退職日とさせていただきます。承諾前の書類で退職日と消化期間を一方的に確定させてしまっている点がNGです。
人事はここを見ている
- 有給消化の希望を早い段階で伝えているか(引き継ぎ計画が立てやすくなる)
- 退職日と消化期間を一方的に決めつけていないか(相談の余地を残す文面か)
- 業務の引き継ぎに触れているか(有給消化だけを主張していないか)
退職願と退職届、有給消化はどちらに書くべきか
退職願は「意向表明」、有給消化の最終確定は退職届や申請書で
退職願と退職届は似た言葉ですが役割が異なります。退職願は会社の承諾を必要とする「お願い」の書類で、承諾前であれば撤回もできます。一方の退職届は、退職日が確定したあとに提出する最終的な意思表示で、原則として撤回はできません。
有給消化の希望についても、この違いに沿って考えると迷いません。退職願の段階では「消化したい」という意向を伝えるにとどめ、退職日が確定した退職届の提出時に、具体的な消化期間を明記するのが自然な流れです。
参考:退職届と退職願の違いを先に確認しておくと、どちらの書類に何を書くべきかがより明確になります。

会社によっては退職願だけで手続きが完了するケースも
就業規則によっては「退職願」のみで手続きが完結し、退職届の提出を求めない会社もあります。この場合、有給消化の意向は退職願にしっかり書いておく必要があります。就業規則や社内規定を確認し、退職願だけで済む会社かどうかを事前に把握しておくと、書き直しの手間を防げます。
状況別・有給消化の希望の伝え方と記載例
残っている有給の日数や引き継ぎの状況によって、退職願に書く内容の粒度は変わります。ここでは3つの状況別に、良い例とNG例をセットで紹介します。
有給が1ヶ月以上残っている場合
良い例文
なお、退職にあたり残りの有給休暇が1ヶ月分程度ございますため、最終出社日と退職日を分けたスケジュールにてご相談させていただきたく存じます。
NG例
有給が1ヶ月分あるので、来月から全部消化して出社しません。最終出社日への言及がなく、引き継ぎの意思が伝わらないため印象を損ないます。
有給が数日〜1週間程度の場合
良い例文
残りの有給休暇(〇日)につきましては、退職日までの間で業務に支障のない範囲で取得させていただければ幸いです。
NG例
有給が少ないので触れなくていいと省略してしまうと、退職日直前になって「有給を消化したい」と言い出しにくくなります。日数が少なくても一言触れておくのが安全です。
引き継ぎ期間を確保したい場合
良い例文
退職日までの期間で、後任への引き継ぎと有給休暇の消化を両立できるスケジュールを上長とご相談のうえ決めさせていただきたく存じます。
退職願そのものの基本的な書き方や様式に不安がある場合は、退職願の書き方と例文で全体像を確認しておくと、有給消化の一文もスムーズに書き加えられます。

有給消化のスケジュールを決める前に確認すべきルール
有給消化の意向を伝える前に、自分の残日数と会社側の権利を把握しておくと交渉がスムーズです。勤続年数に応じた有給の付与日数の目安は次のとおりです。
| 勤続年数 | 付与日数の目安 |
|---|---|
| 6ヶ月 | 10日 |
| 1年6ヶ月 | 11日 |
| 2年6ヶ月 | 12日 |
| 3年6ヶ月 | 14日 |
| 4年6ヶ月 | 16日 |
| 5年6ヶ月 | 18日 |
| 6年6ヶ月以上 | 20日 |
出典:労働基準法第39条(フルタイム勤務・週所定労働日数5日以上の場合)
会社には、有給休暇の取得時季を変更できる「時季変更権」がありますが、退職日を超えて時季変更権を行使することは認められません。つまり、退職日までに消化しきれる範囲であれば、会社は原則として有給消化そのものを拒否できません。この点を理解しておくと、退職願を書く際にも落ち着いて意向を伝えられます。
実際に何日残っているかで書き方の粒度も変わるため、退職願を出すタイミングもあわせて確認しておくと、逆算したスケジュールが立てやすくなります。

有給消化を渋られた・拒否されたときの対処法
「人手が足りない」「引き継ぎが終わっていない」といった理由で、有給消化に難色を示されるケースもあります。そのようなときは、次の順序で対応を進めます。
- 引き継ぎ資料を先に用意し、「消化中も対応できる状態にした」ことを示す
- 退職日を超えない範囲での消化であることを伝え、時季変更権が及ばないことを冷静に説明する
- それでも応じてもらえない場合は、社内の人事部や労働基準監督署に相談する
人事はここを見ている
拒否された際に感情的に反論するのではなく、引き継ぎの準備状況を具体的に示せる人ほど、上長も譲歩しやすくなります。有給消化の話し合いは、権利の主張と同時に協力姿勢を見せることが円満退職の近道です。
有給消化を終えて退職した後の転職準備
有給消化の期間は、次の転職活動の準備期間としても活用できます。応募書類を早めに整えておくと、退職日を迎えたあとすぐに選考へ進めます。書類の作成には、転職用の履歴書テンプレートを使うと、必要な項目を過不足なく揃えられます。
公的機関に近いフォーマットで整えたい場合は厚生労働省の規格に沿った履歴書テンプレートが使いやすく、ハローワークでの求職活動を予定している場合はハローワーク用の職務経歴書テンプレートもあわせて確認しておくと安心です。
まとめ
- 退職願には有給消化の意向を一言添え、具体的な日数は承諾後に詰める
- 退職願と退職届は役割が違うため、消化スケジュールの確定は退職届や申請書で行う
- 時季変更権は退職日を超えて行使できないため、会社は原則消化を拒否できない
- 拒否された場合は引き継ぎの準備状況を示しながら冷静に交渉する
退職願の一文で角を立てず、有給休暇を使い切って次のステップへ進みましょう。
退職願の有給消化に関するよくある質問
- 退職願に有給消化の日数まで書いても問題ありませんか。
-
書くこと自体に問題はありませんが、退職願はまだ承諾前の書類のため、日数や期間を確定的に書くと後の調整がしにくくなります。意向を一言添え、詳細は退職日確定後に決める形が無難です。
- 会社に有給消化を拒否された場合、退職日を延ばすしかありませんか。
-
時季変更権は退職日を超えて行使できないため、退職日までの範囲であれば会社は原則拒否できません。それでも応じてもらえない場合は、人事部や労働基準監督署への相談を検討してください。
- 退職願を出したあとに有給消化の希望を追加で伝えても大丈夫ですか。
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可能です。退職願は承諾前であれば内容の相談や修正の余地があります。ただし、早めに伝えたほうが引き継ぎの調整がしやすいため、退職願提出時にあわせて一言触れておくのがおすすめです。

