履歴書の職歴欄は、自己都合なら「一身上の都合により退職」と1行で書くのが基本です。詳しい事情は職務経歴書と面接で伝え、会社都合・契約満了・解雇は定型を書き分けます。退職予定の書き方ではなく、すでに退職した職歴の記載ルールを状況別の例文で確認できます。書きすぎて落ちるパターンと、離職票と食い違わない書き分けもあわせて整理します。
履歴書の退職理由の書き方と正しい記載例
結論:自己都合なら「一身上の都合により退職」
履歴書の職歴欄に書く退職理由は、自己都合なら「一身上の都合により退職」の1行で足ります。転職、転居、結婚、人間関係、労働条件など、自分の判断で辞めた場合はすべてこの定型に収めます。
採用担当者は履歴書で事情の細部まで知りたいわけではありません。職歴の区切りが「自己都合か、会社都合か、契約の終了か」さえ分かれば、次の書類と面接に進めます。事情を職歴欄に書き込むほど、読みにくさとマイナス印象が残りやすくなります。
基本の記載例
職歴は「入社」と「退職」を別行にします。会社名は正式名称で書き、部署名を添える場合も1行に収めます。用紙は転職用の履歴書テンプレートの職歴欄に合わせると、行数が足りなくなる失敗を減らせます。
良い書き方(自己都合)
令和3年 4月 株式会社〇〇 入社
令和7年 3月 一身上の都合により退職
NG例
令和7年 3月 上司との関係悪化と残業の多さにより退職
事情を職歴欄に書くと、不満で辞めた印象だけが残ります。
採用担当者はここを見ている
- 退職の区分が一目で分かるか(自己都合/会社都合/契約満了)
- 職歴の年月と会社名が抜けていないか
- 前職への不満が、書類の段階で滲み出ていないか
「退職」と「退社」の使い分け
履歴書では「退職」を使います。「退社」は当日の退勤も含む日常語なので、雇用契約の終了を示す公的な書類では避けます。複数社ある場合も表現を揃え、「一身上の都合により退職」「会社都合により退職」のように末尾をそろえてください。
自己都合・会社都合・契約満了の書き分け
書き分けの基準は、辞めた理由の感情ではなく雇用が終わった区分です。迷ったら離職票の離職理由を確認し、履歴書の表現と矛盾させないことが先です。ハローワークが最終的に判定する区分と、履歴書の1行は目的が違いますが、事実の食い違いは後から発覚します。
| 区分 | 職歴欄の定型 | 当てはまる例 |
|---|---|---|
| 自己都合 | 一身上の都合により退職 | 転職、転居、結婚、介護、労働条件、人間関係 |
| 会社都合 | 会社都合により退職 | 倒産、事業所閉鎖、整理解雇、退職勧奨 |
| 契約満了 | 契約期間満了により退職 | 契約社員・派遣の期間終了(満了まで働いた場合) |
| 在職中 | 現在に至る | 退職日が未定、または退職理由を書く段階ではない |
離職票の区分と履歴書の表現は揃える。在職中の「退職予定」は別の書き方です。
自己都合の書き方
自分から退職を申し出た場合は、理由の中身にかかわらず「一身上の都合により退職」が基本です。「自己都合により退職」でも通じますが、履歴書で使う頻度が高いのは「一身上の都合」です。
良い書き方(自己都合)
令和4年 4月 株式会社〇〇 営業部 入社
令和8年 2月 一身上の都合により退職
NG例
令和8年 2月 キャリアアップのため、より裁量の大きい環境を求めて退職
前向きでも職歴欄には長いです。志望動機や面接に回してください。
会社都合の書き方
倒産、事業所の閉鎖、整理解雇、退職勧奨など、会社側の事情で雇用が終わった場合は「会社都合により退職」と書きます。「一身上の都合」に置き換えると、自分から辞めたように読まれます。入社後に離職票を求められたとき、記載が食い違うと説明が長くなります。
良い書き方(会社都合)
平成31年 4月 株式会社〇〇 入社
令和6年 9月 会社都合により退職
補足する場合:令和6年 9月 会社都合により退職(事業所閉鎖のため)
NG例
令和6年 9月 一身上の都合により退職
会社都合なのに自己都合の定型を使うと、後から矛盾します。
契約満了・派遣の書き方
契約社員や派遣で期間の終わりまで働いた場合は、「契約期間満了により退職」または「派遣期間満了により退職」とします。期間が残っているうちに自分から辞めた場合は自己都合なので、「一身上の都合により退職」に戻します。
良い書き方(契約満了)
令和5年 4月 株式会社〇〇 契約社員として入社
令和7年 3月 契約期間満了により退職
派遣の場合:令和7年 3月 派遣期間満了により退職
採用担当者はここを見ている
- 有期契約なのに「一身上の都合」だけだと、途中退職に見える
- 更新を希望したのに雇止めになった場合も、履歴書は「契約期間満了により退職」で足りる
- 詳細な経緯は面接で、1〜2文に圧縮して話す準備をしておく

ネガティブな退職理由の言い換え方
厚生労働省の雇用動向調査では、離職理由として職場の人間関係や労働条件が上位に来る年があります。だからといって、履歴書にそのまま書く必要はありません。職歴欄は定型、面接は言い換え、という役割分担が実務の型です。
| 本音 | 履歴書 | 面接での言い換え |
|---|---|---|
| 上司と合わなかった | 一身上の都合により退職 | チームで成果を出す進め方を希望し、転職を決めた |
| 残業が多かった | 一身上の都合により退職 | 限られた時間で成果を出す働き方に移りたかった |
| 給与が低かった | 一身上の都合により退職 | 経験を正当に評価される仕事内容と条件を探した |
| 仕事内容が違った | 一身上の都合により退職 | 募集時に想像していた業務と実態が分かれ、適性を見直した |
| 評価制度に不満 | 一身上の都合により退職 | 目標と評価が連動する環境で力を伸ばしたかった |
職歴欄に書いてはいけない本音
書類で落ちる書き方の共通点は、前職の批判が残ることです。採用担当者は「自社でも同じ言い方をする人」と読み替えます。職歴欄はラベル、面接はストーリー、と分けてください。
良い書き方(言い換え後)
令和2年 4月 株式会社〇〇 入社
令和6年 8月 一身上の都合により退職
面接で話す場合:「前職では業務量が特定の時期に集中し、品質を保つ進め方を見直す必要がありました。御社では担当範囲が明確なため、同じミスを繰り返さないと考えています。」
NG例
令和6年 8月 パワハラとサービス残業が常態化していたため退職
事実でも職歴欄に書くと、選考の入口で印象が固定されます。
採用担当者はここを見ている
- 書類と面接で話が食い違っていないか
- 辞めた理由だけで終わり、次の職場で何をしたいかが欠けていないか
- 複数社の退職理由が、全部同じ不満の繰り返しになっていないか
解雇・倒産・早期退職の書き方
自分に非がない離職を「一身上の都合」に隠すと、かえって疑われます。会社側の事情なら会社都合と書き、補足が必要なら括弧で1語足す程度にします。厚生労働省の規格に沿った履歴書テンプレートでも、職歴欄は事実を短く書く前提です。
倒産・事業所閉鎖・整理解雇
良い書き方(倒産・閉鎖)
令和元年 4月 株式会社〇〇 入社
令和5年 12月 会社都合により退職(会社倒産のため)
事業所閉鎖:令和5年 12月 会社都合により退職(事業所閉鎖のため)
人員整理:令和5年 12月 会社都合により退職(事業縮小のため)
NG例
令和5年 12月 会社が傾いたため退職
口語と評価が混ざると、事実確認の書類に見えません。
普通解雇と懲戒解雇
会社から労働契約を解除された場合も、履歴書上は「会社都合により退職」が基本です。面接で経緯を聞かれたときに、事実を短く話せる準備は必要です。懲戒解雇の場合は隠さず「懲戒解雇により退職」と書くのが原則です。隠して入社後に発覚すると、経歴詐称として扱われることがあります。
良い書き方(解雇)
普通解雇:令和6年 6月 会社都合により退職
懲戒解雇:令和6年 6月 懲戒解雇により退職
NG例
令和6年 6月 一身上の都合により退職(※実際は懲戒解雇)
離職票や前職照会で判明したときの信頼低下の方が大きいです。
早期退職制度を使った場合
早期退職の募集に応じた場合は、雇用保険上は自己都合になることが多く、履歴書も「一身上の都合により退職」が基本です。会社側の制度だと伝えたいときは、括弧で「早期退職制度利用のため」と足します。
良い書き方(早期退職)
平成28年 4月 株式会社〇〇 入社
令和7年 3月 一身上の都合により退職(早期退職制度利用のため)
採用担当者はここを見ている
- 会社都合を自己都合に言い換えていないか
- 括弧の補足が1語で、事情の長文になっていないか
- 懲戒解雇を空白や「一身上の都合」で消していないか

職歴欄に理由を足した方がよいケース
基本は定型1行です。ただし、空白や短期離職だけが目立つと、採用担当者は先に不安を持ちます。補足は「事実+いま働ける状態」までにとどめ、病名や家庭の事情の細部は書きません。
在籍が短い・空白期間がある
良い書き方(転居・介護・療養)
配偶者の転勤:令和6年 3月 配偶者の転勤に伴い退職
介護:令和6年 3月 家族の介護のため退職(令和7年4月より勤務に支障なし)
療養:令和6年 3月 療養のため退職(令和7年1月現在、就業に支障なし)
NG例
令和6年 3月 適応障害(〇〇病院通院中、週1回カウンセリング)により退職
病名と治療の細部は職歴欄の情報量を超えます。
結婚・出産で退職した場合
結婚や出産も自己都合です。職歴欄は「一身上の都合により退職」で足ります。「結婚のため」と書くと、就業継続への先入観を持たれることがあります。面接で聞かれたときに、いま働ける体制を1文で添えれば足りる場合が多いです。
良い書き方(結婚・出産)
令和3年 4月 株式会社〇〇 入社
令和6年 9月 一身上の都合により退職
試用期間中・1ヶ月での退職
試用期間中でも雇用契約は成立しています。雇用保険や源泉徴収の記録が残ることも多く、短期間だからと省略すると経歴詐称に近い扱いを受けることがあります。職歴欄は事実を書き、理由は定型のままで構いません。
良い書き方(短期離職)
令和7年 4月 株式会社〇〇 入社
令和7年 5月 一身上の都合により退職
採用担当者はここを見ている
- 短い在籍を消していないか
- 空白期間の説明が、職歴欄で長文になっていないか
- 「いま働ける」と書ける状態なら、その一言があるか
アルバイト・パートと複数社の書き方
正社員以外でも、履歴書に載せた職歴には退職の1行を付けます。雇用保険に入っていた期間は、入社後の手続きで残ることが多いです。載せると決めた職歴を、理由だけ空欄にするのは避けてください。
アルバイト・パートの退職
良い書き方(パート・アルバイト)
令和4年 4月 株式会社〇〇 パートタイマーとして入社
令和6年 3月 一身上の都合により退職
契約期間がある場合:令和6年 3月 契約期間満了により退職
NG例
令和6年 3月 シフトが合わず店長と揉めたため退職
雇用形態が変わっても、職歴欄に不満は書きません。
転職回数が多いときの揃え方
社数が増えるほど、職歴欄は定型で揃えた方が読みやすくなります。1社だけ「キャリアアップのため退職」、次は「一身上の都合」、その次は「家庭の事情」とばらつくと、採用担当者は理由の中身より「書き方が安定しない人」を見ます。自己都合はすべて「一身上の都合により退職」に統一し、事情の差は面接の順番で説明してください。
| 社数 | 職歴欄 | 面接で足すこと |
|---|---|---|
| 2社 | 定型1行で足りる | 直近1社の理由を中心に話す |
| 3社以上 | 自己都合は表現を揃える | 転職の軸が1つあることを先に示す |
| 短期が混ざる | 省略せず年月を書く | 短い期間で得た担当範囲と、次で続ける理由 |
採用担当者はここを見ている
- 社数が多くても、退職の言葉が揃っているか
- 同じ不満が社名を変えて繰り返されていないか
- 直近の退職だけ、急に長い説明になっていないか
詳細は職務経歴書と面接で伝える
履歴書は経歴の見出し、職務経歴書は中身です。退職理由の詳細、担当業務、数字の実績は職務経歴書側に置きます。職歴欄を埋めたあと、ハローワーク用の職務経歴書テンプレートで職務要約と退職の位置づけを整えると、面接での説明が短くなります。
職務経歴書に書く範囲
- 担当業務と成果(人数、件数、金額など、確認できる数字)
- 退職の位置づけは1文まで(例:事業再編に伴い退職し、営業職へ転換)
- 応募先で使う経験に結びつく理由だけを残す
良い書き方(職務経歴書側の1文)
在籍中は既存顧客20社を担当し、年間売上3,200万円を維持しました。事業所閉鎖に伴い退職し、以後は法人営業として新規開拓の比重が高い環境を希望しています。
NG例
上司の指示が二転三転し、評価も不透明だったため退職を決意しました。職務経歴書でも批判は不要です。事実と次の希望だけ残します。
在職中・退職予定との違い
いま在籍している会社の行末は「現在に至る」です。退職日が決まっている場合の書き方は、退職理由の定型とは別問題です。日付の入れ方や未定のときの表現は、退職予定の記事側で確認してください。JIS規格の用紙を使う場合も、職歴欄の行数は限られるので、JIS規格に沿った履歴書テンプレートで行の収まりを先に見てから清書します。
面接で聞かれたときの話し方
面接では履歴書の1行を読み上げるだけでは足りません。順序は「区分 → 事実1つ → 次の職場で続けること」です。前職の批判で終わると、自社でも同じ会話をする人と見なされます。
良い書き方(面接用の3文)
自己都合:「前職は一身上の都合で退職しました。担当していた既存営業では数字は維持できていましたが、新規開拓の比重を増やしたく、御社の募集に応募しました。」
会社都合:「事業所閉鎖に伴う会社都合で退職しました。閉鎖までの半年間は顧客引き継ぎを担当し、担当20社を欠かさず移管しています。」
NG例
「人間関係がひどくて、誰が聞いてもおかしい環境でした。」聞き手は前職の同僚ではなく、次の雇用側です。
| いまの状態 | 職歴欄の末尾 | この記事で扱うか |
|---|---|---|
| すでに退職した | 一身上の都合により退職 など | 扱う |
| 在職中で退職日未定 | 現在に至る | 扱わない(退職予定の記事へ) |
| 退職日が決まっている | 現在に至る(〇年〇月〇日 退職予定) | 扱わない(退職予定の記事へ) |

まとめ
- 自己都合は「一身上の都合により退職」の1行が基本
- 会社都合・契約満了・解雇は定型を書き分け、離職票と矛盾させない
- 人間関係や残業などの本音は職歴欄に書かず、面接で言い換える
- 短期離職や空白は隠さず、補足は「事実+就業に支障なし」まで
- 詳細と実績は職務経歴書へ。在職中・退職予定は別の書き方
職歴欄は定型1行、事情は職務経歴書と面接。離職票と食い違わない書き分けを先に決めてから清書してください。
履歴書の退職理由に関するよくある質問
- 「一身上の都合により退職」だけで足りますか?
-
自己都合なら、職歴欄はこの1行で足ります。詳しい事情は職務経歴書と面接で伝えます。会社都合や契約満了の場合は、それぞれの定型に書き換えてください。
- 会社都合なのに「一身上の都合」と書いてよいですか?
-
避けてください。倒産や整理解雇を自己都合の定型にすると、離職票や入社手続きで矛盾します。「会社都合により退職」と書き、必要なら括弧で「事業所閉鎖のため」など1語を添えます。
- 在職中の履歴書に退職理由は書きますか?
-
在職中は「現在に至る」で終わります。退職日が決まっている場合の書き方は、退職予定の記事で扱っています。この記事は、すでに退職した職歴の書き方です。
- 1ヶ月で辞めた職歴は省略できますか?
-
雇用保険や源泉徴収の記録が残ることが多く、省略はリスクがあります。入社と退職の年月を書き、理由は「一身上の都合により退職」で構いません。試用期間中でも雇用契約は成立しています。
- 懲戒解雇はどう書けばよいですか?
-
「懲戒解雇により退職」と事実を書いてください。「一身上の都合」に置き換えると、後から発覚したときの信頼低下が大きくなります。面接では経緯を短く話し、再発防止と今後の働き方まで続けます。

