履歴書の職歴は原則すべて書きます。書ききれないときは会社を省かず、用紙の選び方と行のまとめ方で欄に収めます。入社後の社会保険手続で在籍が分かると、書いていない社は隠した職歴に見えます。裏面へ続ける処理は別の話なので、先に1枚へ収める順番を示します。部署や業務の詳細は職務経歴書へ移し、履歴書には社名と年月を残します。

履歴書の職歴が書ききれないときの結論と記載例
結論:会社は省かない。収める順番を先に決める
短い在籍でも、試用期間で辞めていても、入社した会社は職歴欄に残すのが原則です。行が足りないときに消してよいのは、部署名・業務の詳細・学歴の古い行です。会社そのものを消すのは別問題です。
収める順番は次の4段階です。上から試し、まだ溢れるときだけ次へ進みます。
- 職歴欄の行数が多い用紙に替える
- 学歴を高校以降に短縮する
- 1社を1行にまとめ、入社と退社を同じ行に書く
- 「現在に至る」と「以上」を1行に寄せ、詳細は職務経歴書へ回す旨を末尾に書く
1社を1行にまとめた記載例
入社行と退社行を分けると、5社で10行近く使います。社名と期間が分かれば、履歴書としては足ります。部署や担当業務は職務経歴書側に移します。
良い例文
職歴
平成30年 4月 株式会社〇〇商事 入社 / 令和2年 3月 一身上の都合により退社
令和2年 4月 株式会社△△製作所 入社 / 令和4年 6月 一身上の都合により退社
令和4年 7月 株式会社□□企画 入社 / 現在に至る 以上
詳細は職務経歴書に記載
NG例
平成30年 4月 株式会社〇〇商事 入社
令和2年 4月 株式会社△△製作所 入社
令和4年 7月 株式会社□□企画 入社 現在に至る
途中の会社を行数節約のために消している書き方です。在籍の事実がなくなるため、省略ではなく欠落です。
採用担当者はここを見ている
- 社数が多くても、年月の切れ目がないかを先に見る
- 短い在籍を消すと、離職理由より「隠した」印象が残る
- 履歴書は社名と期間、職務経歴書は仕事の中身、という役割分担を歓迎する
職歴を省略すると詐称に見える理由
履歴書の職歴は自己申告ですが、入社後は雇用保険や健康保険の加入記録が会社に渡ります。書いていない事業所名が出ると、採用時の書類と記録が食い違います。
短い在籍を見られたくない気持ちは分かります。それでも、消した会社より「書いてあるが短い」ほうが説明できます。面接で聞かれるのは、隠した事実より先に、辞めた理由の整理です。
| 書いてよい省略 | 書いてはいけない省略 |
|---|---|
| 中学以前の学歴 | 社会保険に入った会社そのもの |
| 部署名・拠点名・担当業務の詳細 | 試用期間で辞めた会社 |
| 異動・昇進のすべて | 在籍期間が短いという理由だけの削除 |
| 履歴書末尾で職務経歴書へ詳細を振る | 履歴書にも職務経歴書にも社名がない |
学生時代の単発アルバイトなど、記録が残りにくい短期は、職歴欄の都合で外す判断が残ります。正社員・契約社員・派遣など、加入記録がある勤務は行を減らす対象ではありません。出向は所属元の在籍が続いているなら、履歴書では所属元の入退社だけでも足ります。休職は退社ではないため、会社の行を消す理由にはなりません。
「見栄えが悪い社を消す」判断は、採用担当者より先に入社後の労務担当へ届きます。短い在籍の説明は面接で足せますが、書いていない社名の説明は、発覚してからになります。行を減らす工夫と、社名を消す判断は別物です。合併や社名変更がある会社は、当時の名称に「現〇〇株式会社」を括弧で足すと1行で足ります。別会社として2行に分ける必要はありません。
欄に収める順番|用紙・学歴短縮・1行化・職務経歴書
1. 職歴欄が多い用紙に替える
JIS寄りの用紙は学歴・職歴の行が少なめです。転職回数が多いなら、最初に用紙を変えると、記載の省略に手を付けずに済みます。転職用の履歴書テンプレートは職歴の行が取りやすく、社名を並べる用途に向きます。
ハローワーク経由で様式を揃えるときは、厚生労働省の規格に沿った履歴書テンプレートでも、学歴を短くすれば職歴の行が残ります。用紙を変えずに文字を小さくする対応は、読みにくさが先に立ちます。
2. 学歴を高校以降に短縮する
社会人の履歴書では、中学卒業まで書く必要は薄いです。高校の入学・卒業から始め、大学・専門学校を続けます。これだけで2行前後空きます。
良い書き方(高校以降)
学歴
平成26年 4月 〇〇県立〇〇高等学校 入学
平成29年 3月 〇〇県立〇〇高等学校 卒業
平成29年 4月 〇〇大学 工学部 機械工学科 入学
令和3年 3月 〇〇大学 工学部 機械工学科 卒業
NG例
学歴をすべて消し、職歴だけを書く
最終学歴が分からない履歴書は不自然です。高校以降は残すのが下限です。
3. 1社を1行に入退社をまとめる
「〇年〇月 入社」「〇年〇月 退社」の2行を、スラッシュや読点で1行にします。在職中の最終社は「現在に至る」を同じ行の末尾に置きます。
良い例文
令和3年 4月 株式会社〇〇 入社、令和5年 3月 一身上の都合により退社
NG例
令和3年〜令和5年 数社勤務
社名がないまとめ方は、どの会社にいたか分からないため省略の範囲を超えます。
4. 「現在に至る」と「以上」を1行にし、詳細は職務経歴書へ
最終行で「現在に至る」と「以上」を分けていると、1行余分です。右寄せで同じ行に置くと、社名用の行が残ります。それでも溢れるときは、履歴書末尾に「詳細は職務経歴書に記載」と書き、社名と年月は履歴書側に残します。
良い例文(末尾)
令和6年 4月 株式会社〇〇 入社 現在に至る 以上
詳細は職務経歴書に記載
職務経歴書側は、部署・担当・実績を書く場所です。履歴書で社名を省き、職務経歴書だけに全部書くやり方は、書類の役割が逆転します。書式の見本はハローワーク用の職務経歴書テンプレートで、時系列の社名一覧を先に置けます。

部署・業務の詳細は職務経歴書へ回す
履歴書で溢れる原因の半分は、1社ごとに配属・異動・担当を書き過ぎていることです。履歴書は「いつ、どの会社にいたか」が分かれば足ります。仕事の中身は職務経歴書で会社ごとに箇条書きにします。
良い書き方(履歴書は社名だけ)
令和2年 4月 株式会社〇〇工業 入社 / 令和5年 3月 一身上の都合により退社
NG例(履歴書に業務を詰め込む)
令和2年 4月 株式会社〇〇工業 入社
営業部第一課に配属、東日本エリアの新規開拓、既存店フォロー、月次レポート作成、社内研修の運営を担当し、令和3年に主任へ昇格したのち、令和4年に関西支店へ異動して既存代理店の窓口を担当
1社で欄の半分を使うため、後の会社が書ききれなくなります。詳細は職務経歴書へ移します。
やってはいけない省略と「裏面に続く」
1枚に収めようとして会社を消すより、行のまとめ方を先に試します。それでも物理的に裏面へ進む場合の「続き」の位置や「以上」の置き方は、別記事の手順に従います。この記事では、まず表面1枚で社名を残すことを優先します。
採用担当者はここを見ている
- 社名の欠落は、転職回数の多さより先に信頼の問題になる
- 退職理由を履歴書で長文にすると、職歴の行がさらに足りなくなる
- 自己都合は「一身上の都合により退社」で足りる
退職理由の文言で行を増やしたくなったときは、理由欄の書き方だけ切り分けます。

手書きとパソコンで行数が変わるときの整え方
同じ社数でも、手書きは1行に入る文字数が少なく、パソコンは詰められます。手書きで溢れたから会社を消す、という判断は早いです。先に用紙を変え、それでも溢れるなら1社1行に切り替えます。
- 手書きで社名が2行に割れるなら、用紙を職歴多めに替える
- パソコンでも文字サイズを極端に下げない
- 「(株)」への略称で行を稼がない。正式名称を残す
良い書き方(手書きで長い社名)
令和3年 4月 株式会社東日本〇〇ホールディングス 入社/令和5年 3月 退社
社名を途中で改行せず、入退社を同じ行に寄せます。略称の「東日本HD」は使いません。
NG例
令和3年 4月 (株)東日本HD 入社
行は減りますが、登記上の名称と一致しないため、在籍確認で手間が増えます。
指定用紙が手書き必須で行が足りないときは、学歴を高校以降に落とす、1社1行、末尾に職務経歴書参照、の順です。指定用紙のマスをはみ出して裏面へ書く判断は、1枚で社名が残るか試したあとにします。
職歴を思い出せないときの確認順
社名の一部しか覚えていない状態で欄を埋めると、後から記録とずれます。思い出せない会社があること自体は珍しくありません。先に記録を見てから、履歴書の行を確定します。
| 確認先 | 分かること |
|---|---|
| 雇用保険の加入記録 | 事業所名、資格取得日、喪失日 |
| 年金の加入記録 | 厚生年金の加入期間と事業所名 |
| 源泉徴収票・給与明細 | 社名と勤務した年 |
| 雇用契約書・辞令 | 入社日、雇用形態 |
記録に出た事業所は、短い在籍でも行に残します。「主な職歴だけ書けばよい」と自己判断すると、記録側に残っている社が履歴書から消えます。逆に、記録にない単発の手伝いまで全部足す必要はありません。
良い例文(年月だけ先に埋める)
平成31年 4月 株式会社〇〇 入社 / 令和2年 1月 一身上の都合により退社
令和2年 2月 株式会社△△ 入社 / 令和3年 8月 一身上の都合により退社
社名は記録どおりに書き、担当業務は空欄のままで問題ありません。中身は職務経歴書で足します。
NG例
平成31年〜令和3年 数社で営業職
社名も退社月もないため、職歴をまとめたように見えて中身が消える書き方です。
採用担当者はここを見ている
- 年月の切れ目と、次の入社月がつながっているか
- 「主な職歴」と書いた行の前後に、空白の年がないか
- 職務経歴書の社名一覧と、履歴書の社名が同じか
職務経歴書にだけ正確な社名を書き、履歴書は要約するやり方は避けます。採用担当者は履歴書を先に開き、社数と期間だけを追うことが多いです。そこで欠けている社は、詳細書類を見る前に「書いていない」と判断されます。
5社以上を1枚に収めた記載例
学歴を高校以降にし、1社を1行にすると、職歴6社でも表面に収まります。退職理由は「一身上の都合により退社」で揃え、会社都合だけ文言を変えます。業務内容は一切入れません。
良い例文(6社・1行化)
学歴
平成24年 4月 〇〇県立〇〇高等学校 入学
平成27年 3月 〇〇県立〇〇高等学校 卒業
職歴
平成27年 4月 株式会社A 入社/平成29年 3月 一身上の都合により退社
平成29年 4月 株式会社B 入社/平成30年 8月 一身上の都合により退社
平成30年 9月 株式会社C 入社/令和2年 2月 会社都合により退社
令和2年 4月 株式会社D 入社/令和3年 12月 一身上の都合により退社
令和4年 1月 株式会社E 入社/令和5年 6月 一身上の都合により退社
令和5年 7月 株式会社F 入社 現在に至る 以上
詳細は職務経歴書に記載
NG例
直近3社のみ記載。それ以前は省略。
古い会社ほど社保記録が残っていることがあります。直近だけ残すと、空白の年が履歴書上に生まれます。
6社すべてに配属と実績を足すと、再び溢れます。履歴書は上の見本で止め、職務経歴書でA社から順に担当を書きます。派遣の現場が続く場合も、この記事では一般の転職と同じく「登録先の会社名を残す」を優先し、現場名の列挙で行を使い切らないようにします。看護師や医療職のように病棟名が必要な職種は、別の欄のルールがあるため、一般職の転職では社名と年月を先に残します。現場名は職務経歴書側の担当説明に回します。
履歴書の職歴が書ききれないときのまとめ
- 職歴は原則すべて書く。会社の省略は入社後の社保記録で発覚しやすい
- 収める順番は、用紙変更→学歴を高校以降に短縮→1社1行→末尾を1行+職務経歴書へ詳細
- 部署・業務の詳細は履歴書から外し、職務経歴書に移す
- 裏面へ続ける処理は、1枚で社名を残す工夫のあとで判断する
行を減らす対象は「会社」ではなく「説明の行」です。社名と年月が残っていれば、履歴書の役割は果たしています。見本どおりに1社1行へ寄せても溢れるときは、裏面へ続ける前に職務経歴書の社名一覧と突き合わせ、履歴書側に抜けがないかを確認します。抜けを残したまま裏面へ進むと、2枚とも信用を落とします。裏面の位置や「以上」の置き方は続け方の記事に任せ、この記事では表面で社名を残す順番だけを確定します。社名が揃ってから裏面を検討します。職務経歴書の社名と履歴書の社名は、順番も表記も揃えます。片方が略称、片方が正式名称、というずれも避けます。提出セットで見比べるのが早いです。ずれがあれば履歴書側を正式名称に直してから、セットで提出し、社名の抜けをなくします。
履歴書の職歴が書ききれないときに関するよくある質問
- 数ヶ月で辞めた会社も書きますか?
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社会保険に入った勤務は書きます。短いことより、書いていないことが後から分かったときの印象のほうが重いです。理由は面接で短く答えられるよう整理します。
- 履歴書に主要な会社だけ書いて、残りは職務経歴書でもよいですか?
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履歴書から社名を消すやり方は避けます。履歴書には社名と年月を残し、部署や実績だけを職務経歴書へ移します。
- 職歴を思い出せないときはどうしますか?
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雇用保険の加入記録や年金の加入期間から事業所名を確認できます。あいまいな社名で埋めるより、記録を見てから書くほうが安全です。
- 文字を小さくして全部1枚に収めますか?
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極端な縮小は読みにくさが先に立ちます。用紙を替える、学歴を短くする、1社1行にする、の順で余白を作ります。
- 出向中の会社は別行にしますか?
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所属元の在籍が続いているなら、履歴書は所属元の入社と退社だけで足ります。出向先の部署名は職務経歴書に書きます。籍が移った転籍は、社名が変わるため別行にします。

