イラストレーターの職務経歴書は、実績を「数字」と「担当した工程の範囲」で書くのが正解です。ポートフォリオが絵の実力を示す一方、職務経歴書は仕事の進め方や納期管理力を伝える書類のため、書き方を混同すると書類選考で不利になります。採用担当者が実際に確認しているポイントと、正社員・フリーランスそれぞれの記載例を紹介します。
イラストレーターの職務経歴書の書き方と例文【結論】
結論:実績は「数字」と「担当工程」で書く
「多数の案件を担当」「幅広いジャンルで制作」といった感覚的な表現では、採用担当者は業務量もスキルレベルも判断できません。制作点数・担当期間・関わった工程の範囲を具体的な数字と言葉で示すことが、書類選考を通過する職務経歴書の基本です。
企画・ラフ・線画・着色・仕上げのうち、自分がどこからどこまでを一人で完結できるのかを一文で書き添えるだけでも、読み手の印象は大きく変わります。以下の記載例を、応募先の求人内容に合わせて調整してください。
職務経歴書の記載例(正社員・会社員経験者向け)
良い例文
「スマートフォン向けゲーム開発会社にてキャラクターイラストレーターとして4年間勤務。ラフ〜仕上げまで一貫して担当し、月平均6〜8体のキャラクターデザイン・差分制作、年間累計約230点を納品しました。ディレクターとの週次進行確認に加え、外部クライアントとの直接打ち合わせも経験しています。」
NG例
「ゲーム会社でイラストレーターとして勤務し、さまざまなキャラクターを担当しました。」制作点数・担当期間・関与した工程が一切わからず、採用担当者はスキルレベルも実務経験も判断できません。
採用担当者はここを見ている
- 制作点数や担当期間が具体的な数字で示されているか
- 企画から納品までのどの工程を担当できるか明確か
- ディレクターやクライアントとのやり取りに触れているか
フリーランス・副業経験者の記載例
フリーランス期間は職歴欄に「個人事業主として活動」と記載し、勤務先欄には「フリーランス(個人事業主)」と明記します。会社員経験がない場合も、受注実績を数字で積み上げれば十分にアピールできます。
良い例文
「20XX年○月よりフリーランスイラストレーターとして独立。出版社2社、ゲーム会社1社と継続的に取引し、月平均4〜6本、累計約180点の書籍挿絵・キャラクターイラストを納品しています。うち7割はリピート発注です。」
NG例
「フリーランスとしてイラストの仕事をしています。詳しくはポートフォリオをご覧ください。」受注規模も継続性も伝わらず、事業として成立しているかを採用担当者が判断できません。
イラストレーターに職務経歴書が必要な理由|ポートフォリオとの違い
「ポートフォリオがあるのに、なぜ職務経歴書も必要なのか」と感じるイラストレーターは少なくありません。実際、絵のクオリティはポートフォリオで判断されます。職務経歴書が担う役割はそこではなく、ポートフォリオには映らない「仕事の進め方」を伝えることにあります。
どれだけ画力に優れていても、クライアントの要望を理解できなかったり納期を守れなかったりすれば、現場では機能しません。採用担当者は職務経歴書を通じて、この人と一緒に仕事ができるかどうかを判断しています。
採用担当者はここを見ている
- クライアントの要望を正確に理解して形にする力があるか
- 複数案件を並行しながら納期を守れるか
- 修正・リテイク対応を業務として円滑にこなせるか
- 業務量・関わったプロジェクト規模が応募ポジションに合っているか
「ポートフォリオのURLだけ載せて業務内容の記述を省く」応募者は珍しくありませんが、これは書類選考の入り口にすら立てないリスクがあります。職務経歴書とポートフォリオは、互いに代替できない別々の役割を持つ書類だと捉えてください。
職務経歴書 各項目の書き方(職務要約・スキル・自己PR)
職務要約の書き方と例文
職務要約は採用担当者が最初に読む箇所です。3〜5行で「どんなイラストレーターなのか」を端的に示します。経験年数・専門分野・扱える媒体・特徴的なスキルを盛り込みましょう。
職務要約の良い例文
「ゲーム会社にてキャラクターイラストレーターとして4年間勤務。スマートフォン向けRPGのキャラクター設計からイベント衣装差分まで、年間平均80〜100点の制作実績があります。ラフ〜仕上げまで一貫担当し、外部クライアントとの直接折衝経験もあります。」
スキル・使用ツール欄の書き方
ツール名を並べるだけでは、他の応募者と差がつきません。採用担当者が知りたいのは「そのツールで何ができるか」です。習熟度の目安を添えることで、即戦力かどうかの判断材料になります。
| ツール名 | 習熟度の目安 | 記載例 |
|---|---|---|
| CLIP STUDIO PAINT | 業務使用4年以上 | ラフ〜仕上げまで単独で完結 |
| Adobe Photoshop | 仕上げ処理担当 | 色調補正・マスク処理・書き出しまで担当 |
| Adobe Illustrator | 補助的に使用 | ロゴ補正・文字組みに使用 |
| Procreate | スケッチ・ラフ用途 | コンセプトスケッチ段階で使用 |
正社員向けの職務経歴書テンプレートで項目の型を確認したい場合は、転職用の履歴書テンプレートも参考にしてください。
自己PR欄の書き方と例文
自己PRは「強み+根拠となる経験+応募先での活用イメージ」の構成で書くと伝わりやすくなります。「絵が好き」という熱量だけでは書類選考を通過しにくいため、必ず実績と組み合わせましょう。
自己PRの良い例文
「前職ではゲーム会社にてキャラクターイラストレーターとして4年間勤務し、累計230点以上の制作実績を積んできました。強みはスケジュール管理と修正対応の速さで、月に最大8本の案件を並行しても納期を遅延させたことがありません。貴社の制作業務においても即戦力として貢献できると考えています。」
職務経歴書と履歴書は書く内容の役割が異なります。両方の違いを整理して押さえておきたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

書類選考で通過する人と落ちる人の違い|NG例と改善ポイント
画力の差ではなく、職務経歴書の書き方の差で書類選考の結果が分かれるケースは珍しくありません。よくある3つのNGパターンと、その改善ポイントを確認しておきましょう。
NG例① スキル・ツール名の羅列のみ
NG例
「使用ツール:Photoshop、Illustrator、CLIP STUDIO PAINT」ツール名の羅列だけでは、使いこなせるのか触る程度なのかが判断できません。
ツール名の後に「(業務使用○年・主な用途:○○)」を添えるだけで、採用担当者が読み取れる情報量は大きく変わります。
NG例② ポートフォリオのURLだけで済ませる
NG例
「詳しくはポートフォリオをご覧ください。」採用担当者は書類選考の時点でポートフォリオを必ず確認するとは限らず、職務経歴書の記述だけで通過を判断するケースも多くあります。
NG例③ 「絵が好き」という熱量だけで締める
NG例
「幼い頃から絵が好きで、その思いを仕事にしてきました。」感情的には理解できても、採用の判断材料にはなりません。熱量は実績と組み合わせて初めて説得力を持ちます。
職種は違いますが、実績を「何ができるか」まで具体化して伝える書き方は共通しています。デザイナー職の記載例も参考にしたい場合は、以下の記事も役立ちます。

実績を数字で語れない人のための書き方のコツ
「正確な数字を覚えていない」「感覚的な仕事が多く数値化しづらい」というイラストレーターは少なくありません。それでも、振り返れば数字にできる要素は必ず見つかります。
- 概算表現を使う:「月平均約○本」「年間おおよそ○点」のような概算でも問題ありません
- 制作物の種類の幅で示す:ゲームキャラクター・書籍挿絵・広告バナーなど扱った媒体の多様さを補足する
- クライアントの規模感で示す:大手・中堅・個人などの取引先規模を数字の代わりに添える
- 継続率で示す:リピート発注の割合や取引継続年数は業務品質の裏付けになる
数字がまったく出せない場合でも、ブリーフィングから納品までどの工程を担当したか、修正対応にかかった平均日数など、「仕事の進め方」に関する事実は必ず言語化できます。この視点を持てるかどうかが、書類選考での差になります。
職務経歴を整理する段階で欄が足りない、書ききれないと感じた場合は、記載の優先順位をつける方法が参考になります。

職務経歴書とあわせて履歴書も提出する場合、公的機関の規格に沿ったフォーマットを使うと安心です。厚生労働省の規格に沿った履歴書テンプレートやハローワーク用の職務経歴書テンプレートを状況に合わせて使い分けてください。
まとめ
- イラストレーターの職務経歴書は、実績を「数字」と「担当工程」で書くのが基本
- 職務経歴書はポートフォリオの補足ではなく、仕事の進め方を伝える独立した書類
- ツール名は羅列せず、使用できる範囲とレベル感を添える
- フリーランス経験者は月平均受注数・累計点数・主な取引先業種を記載する
- 数字が出せない場合は、担当工程や制作物の幅、継続率で実務経験を裏付ける
書類選考で差がつくのは画力ではなく、業務を言語化する力です。数字と担当工程を明記した職務経歴書に仕上げることが、次の選考ステップへの確実な足がかりになります。
イラストレーターの職務経歴書に関するよくある質問
- イラストレーターの職務経歴書にポートフォリオのURLを記載してもよいですか?
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記載して問題ありませんが、URLだけで業務内容の記述を省くのは避けてください。採用担当者は書類選考の時点でポートフォリオを必ずしも確認するわけではなく、職務経歴書の記述だけで通過を判断するケースも多くあります。業務内容・実績を具体的に記載したうえで、ポートフォリオURLを補足情報として添える形が理想的です。
- 正社員経験のないフリーランスイラストレーターでも職務経歴書は書けますか?
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書けます。職歴欄に「フリーランス(個人事業主)」と記載し、活動期間・主な取引先の業種・月平均受注件数・累計制作点数を記載します。正社員経験がなくても、継続した受注実績があれば業務遂行能力を伝えることは十分可能です。
- 職務経歴書の使用ツールに「Adobe Illustrator」と書くと職種名と混同されませんか?
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採用担当者がAdobe Illustratorと職種名のイラストレーターを混同することはありません。スキル欄には正式なソフトウェア名をそのまま記載してください。ただし主要ツールがCLIP STUDIO PAINTやPhotoshopの場合は、実際に業務で最も使うツールを優先して記載しましょう。
- イラストレーターの職務経歴書は何枚が適切ですか?
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一般的にはA4で1〜2枚が適切です。勤務先が1社でキャリアが3〜5年以内であれば1枚、複数社に勤務していたり10年以上のキャリアがある場合は2枚にまとめることが多いです。枚数で評価されるものではなく、読みやすく整理されているかどうかが判断基準になります。
- アピールできる「数字」が本当にない場合はどうすればよいですか?
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振り返ると、月に制作した点数・関わったプロジェクト数・担当期間などの数字は必ずあります。正確な数字がわからない場合は「月平均約○点」「年間おおよそ○本」といった概算表現でも問題ありません。それでも難しい場合は、制作物の種類の多様さやクライアントの規模感を補足情報として加えてください。

