病院に提出する履歴書は、「貴社」を「貴院」、「入社」を「入職」に言い換えるのが正解です。一般企業向けの書類をそのまま使い回すと、採用担当者に見抜かれて書類選考で不利になることがあります。この記事では、職歴欄・志望動機の記載例から、職種による違い、封筒の郵送マナーまで、病院提出用の履歴書の書き方をまとめました。
病院の履歴書の書き方【結論】貴社→貴院、入社→入職への言い換えが必須
結論:一般企業向けの履歴書をそのまま使うと選考で不利になる
病院・クリニックなどの医療機関に提出する履歴書は、用紙のフォーマット自体は一般企業向けと同じもので構いません。違うのは言葉遣いと一部項目の書き方です。「貴社」ではなく「貴院」、「入社」ではなく「入職」を使うこと、病院名を運営法人から正式名称で書くこと。この2点を押さえるだけで、採用担当者に与える印象は大きく変わります。
- 病院名を運営法人から正式名称で書いているか
- 「貴社・御社」ではなく「貴院・御院」を使っているか
- 「入社・退社」ではなく「入職・退職」を使っているか
履歴書の用紙は市販のものやテンプレートを使って問題ありません。手書き・パソコン作成のどちらでも選考への影響はほとんどないとされていますが、求人票に指定がある場合は必ず従ってください。
病院向け履歴書の記載例
実際の記載例で確認しましょう。職歴欄から志望動機の書き出しまで、病院提出用の書き方をまとめました。
良い例文
20〇〇年〇月 医療法人社団〇〇会 △△病院 入職
外来看護師として内科・外科を担当
20〇〇年〇月 一身上の都合により退職(現在に至る)
志望動機:貴院は地域の急性期医療を担う中核病院として、救急医療の体制強化に力を入れていらっしゃいます。前職の病棟勤務で培った急変対応の経験を活かし、貴院の医療体制に貢献したいと考え志望いたしました。
NG例
20〇〇年〇月 △△病院 入社
看護師として勤務
20〇〇年〇月 一身上の都合により退社
志望動機:貴社の理念に共感し、志望いたしました。前職での経験を活かして頑張ります。
病院・医療機関特有の言葉遣い一覧
職歴欄・志望動機で使う言葉は、一般企業向けと病院向けで置き換える必要があります。以下の表で正しい使い分けを確認してください。
| 場面 | 一般企業(NG) | 医療機関(正解) |
|---|---|---|
| 就職したとき | 入社 | 入職 |
| 辞めたとき | 退社 | 退職 |
| 書類上の施設の呼び方 | 貴社 | 貴院 |
| 口頭での施設の呼び方 | 御社 | 御院 |
| 自己都合退職の表現 | 一身上の都合により退社 | 一身上の都合により退職 |
| 従業員の呼び方 | 社員 | 職員 |
採用担当者は履歴書のどこで「使い回し」を見抜いているのか
病院向けの履歴書で不採用が続く場合、多くは書き方そのものではなく「一般企業向けの書類を使い回している」ことが原因です。採用担当者は毎日何十通もの履歴書に目を通しているため、細部の言葉遣いから使い回しかどうかを一瞬で判断しています。
採用担当者はここを見ている
- 他社応募用の履歴書データをそのまま流用し、「貴社」「入社」の表記が残っている
- 志望動機がテンプレート文のままで、病院名を入れ替えただけとわかる内容になっている
- 職歴欄の病院名が略称のみで、運営法人や診療科が確認できない
多くの応募者がここでつまずくのは、履歴書の「内容」ばかりに気を配り、「言葉遣い」の見直しを後回しにしてしまうためです。職歴欄と志望動機欄を書き終えたら、提出前に履歴書全体を通読し、「貴社」「御社」「入社」「退社」という単語が残っていないか確認してください。1箇所でも残っていると、複数の応募先に同じ書類を使い回している印象を与えます。
病院の履歴書|項目別の書き方と注意点
ここでは、履歴書の各記入欄について、病院への応募で知っておくべきポイントを解説します。一般的な書き方と異なる部分を中心に確認してください。
写真・日付・氏名の書き方
履歴書の冒頭にある項目は、内容よりも丁寧さが見られます。日付は提出日当日の日付を記入し、和暦か西暦かを決めたら履歴書全体で統一してください。写真は3ヶ月以内に撮影したものを使用し、スーツまたは白やライトグレーなど清潔感のある服装を選びましょう。医療職は患者と接する職業として清潔さが特に重視されるため、髪の乱れや暗い表情の写真は避けてください。
病院によっては履歴書の指定様式がない場合もあります。その際は厚生労働省の規格に沿った履歴書テンプレートを使うと、どの病院に提出しても違和感のない書式になります。
資格・免許欄は正式名称で
資格欄は、正式名称で書かないと「この業界の基本を理解していない」と判断されることがあります。よく使われる通称と正式名称を一覧で確認しましょう。
| 通称・略称 | 履歴書での正式な書き方 |
|---|---|
| 看護師 | 看護師免許 取得 |
| ケアマネ | 介護支援専門員実務研修受講試験 合格 |
| 薬剤師 | 薬剤師免許 取得 |
| PT(理学療法士) | 理学療法士免許 取得 |
| 医療事務(メディカルクラーク) | 医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)合格 |
運転免許は「普通自動車第一種運転免許」が正式名称です。「普通免許」だけでは不正確なため、取得年月日と合わせて正式名称で記入しましょう。
職歴欄の書き方と職務経歴書の準備
職歴欄は、医療職特有の書き方ルールが特に多い項目です。入職・退職の表記に加えて、院内異動や産休・育休の記載方法など、一般企業と異なる点を把握しておく必要があります。詳しい記載パターンは以下の記事で解説しています。

職歴欄だけでは伝えきれない実務経験は、職務経歴書で補うと採用担当者に伝わりやすくなります。医療業界の職務経歴書テンプレートを使うと、担当した診療科や業務内容の項目で迷わず作成できます。
本人希望欄の書き方
本人希望欄は、書きすぎると落とされる項目のひとつです。特に病院への応募では、記入内容に注意が必要です。
NG例
「残業なし希望」「土日休み希望」「夜勤なし希望」など、条件面を並べすぎると「うちに合わないかもしれない」と判断される原因になります。病院・クリニックはシフト制・夜勤のある職場が多く、条件の多さが選考上のリスクになります。
良い例文
「貴院の規定に従います」と記載するのが最も無難です。どうしても希望がある場合は「できる限り貴院の規定に従います。〇〇については相談させていただけますと幸いです」のように、柔軟さを示しながら一点のみ伝える書き方が適切です。
新卒で本人希望欄の書き方に迷う場合は、以下の記事で「貴院の規定に従います」で問題ない理由を詳しく確認できます。

病院への志望動機の書き方と例文
採用担当者が書類選考で最も時間をかけて読む項目が志望動機です。医療職の採用では、「なぜ医療の仕事をしたいのか」と「なぜこの病院でなければいけないのか」の2点が軸になります。どちらか一方だけでは、どの病院にも使い回せるテンプレートと判断されます。
採用担当者はここを見ている
- 「なぜ医療職を志したか」の原点があるか。具体的なエピソードが書かれているか
- 「なぜこの病院を選んだのか」が明確か。理念や診療科目を調べた形跡があるか
- 長く働いてくれそうな姿勢が伝わるか。具体的なキャリアビジョンがあるか
志望動機の文字数の目安は200〜400文字です。記入欄の8割以上を埋めることが理想で、欄がほぼ空白のままでは意欲が感じられないと判断されます。
経験者・転職の場合
良い例文
前職の△△病院では、内科病棟で3年間看護師として勤務し、在院日数の短縮に取り組むチームの一員として業務にあたってまいりました。貴院が力を入れている地域包括ケアの分野で、これまでの急性期看護の経験を活かしたいと考え志望いたしました。
NG例
「貴院の理念に共感し、志望いたしました。前職での経験を活かして頑張りたいと思います。」「頑張りたい」だけでは根拠が示されておらず、どの病院にも当てはまる文面になっています。
転職での応募には、職歴欄のスペースが確保された転職用の履歴書テンプレートを選ぶと書きやすくなります。
未経験・第二新卒の場合
良い例文
医療事務は未経験ですが、前職の受付業務で培った正確な事務処理と、患者様に近い距離での接客経験を、貴院の窓口業務に活かせると考えています。医療事務の資格取得に向けて学習を進めており、入職後も知識を深めてまいります。
NG例
「医療事務に興味があります。貴院で働きたいと思い応募しました。未経験ですが頑張ります。」前職の経験と応募先の業務内容がどうつながるかが説明されていません。
新卒や第二新卒で医療機関を目指す場合は、学歴欄が広めに設計された新卒用の履歴書テンプレートが適しています。
職種によって変わる病院志望動機のポイント
病院に応募するのは看護師や医療事務だけではありません。清掃・受付・設備管理など、直接の医療行為を伴わない職種で病院に応募する人も多くいます。この場合、採用担当者が見ているポイントは看護師や医療事務とは少し異なります。
医療職以外で応募する場合の視点
- 専門的な医療知識ではなく、患者や来院者と接する場面での配慮や丁寧さを重視される
- 「医療現場を支えたい」という言葉だけでなく、前職の業務経験が病院内のどの業務に活かせるかを具体的に書く
- 感染対策など病院特有のルールを守れる姿勢があるかも見られている
病院の種類によっても、採用担当者が重視するポイントは異なります。志望動機に盛り込む内容を応募先に合わせて調整しましょう。
| 病院の種類 | 採用担当者が重視するポイント | 志望動機に盛り込む内容 |
|---|---|---|
| 大学病院・特定機能病院 | 専門性・研究への関心 | 専門領域を深めたい、最新の医療に携わりたいという姿勢 |
| 総合病院(200床以上) | チームワーク・多科対応力 | 内科・外科など複数の診療科で経験を積みたい、チーム医療に貢献したいという姿勢 |
| クリニック・診療所 | 患者との長期的な関係・地域貢献 | 患者様一人ひとりと向き合う医療がしたいという姿勢 |
| 訪問看護・在宅医療 | 自律性・生活への視点 | 患者様の生活の場を支えたいという姿勢 |
志望動機が思いつかない場合
志望動機が思いつかない場合は、先に職歴欄や資格欄など書きやすい項目から埋めてしまう方法があります。志望動機なしの履歴書テンプレートを使うと、他の項目を先に仕上げてから志望動機欄にじっくり取り組めます。
転職回数が多い・ブランクがある場合の書き方
転職・職歴が複数ある場合
転職回数が多い場合、採用担当者は「またすぐ辞めるのでは」という懸念を持ちやすくなります。職歴欄には事実を正確に、すべての職歴を記載してください。意図的な省略はかえって信頼を損ないます。退職理由は「一身上の都合により退職」で統一し、詳細は面接で聞かれてから答える形で問題ありません。
志望動機では、各職場で積んだ経験のポジティブな側面をまとめ、貴院でこのキャリアを活かしたいという流れにつなげましょう。転職回数を責められることを恐れて、職歴を隠したり省略することは避けてください。採用後に発覚した場合、経歴詐称として問題になることがあります。
育休・ブランク期間がある場合
育休・産休やブランク期間は、書き方ひとつで印象が変わります。隠そうとするよりも、正直に記載しながら前向きな一言を添えることで、採用担当者の受け止め方が変わります。
| 状況 | 職歴欄での書き方 | 志望動機での補足 |
|---|---|---|
| 産休・育休取得後に復帰 | 産前産後休業・育児休業取得(〇年〇月〜〇年〇月) | 育休中も学習を継続し、復帰後はスキルアップを目指している |
| 育休から現在まで未復職 | 育児のため休職中、期間を明示 | 子育てが一段落した今、改めて医療の現場に戻りたい |
| 疾病や介護によるブランク | 療養のため休職、詳細は書きすぎない | 現在は健康を回復し、就業に支障はない旨を一言添える |
病院側が懸念するのは、ブランクの長さよりも「またすぐ離れるのでは」という点です。貴院で長期的に働きたいという意思を具体的に示すことで、ブランクに対する懸念を和らげられます。
提出前チェックリストと封筒・郵送マナー
書き終えた履歴書は、提出前に必ず見直しを行いましょう。封筒の書き方や郵送時のマナーも、採用担当者の目に触れる書類の一部です。
提出前セルフチェック
提出前に確認するポイント
- 職歴欄に「入職・退職」と書かれているか(「入社・退社」になっていないか)
- 志望動機・本人希望欄に「貴社」「御社」が残っていないか
- 資格名が正式名称で書かれているか
- 日付の和暦・西暦が全体で統一されているか
- 写真が3ヶ月以内撮影のものか
- 志望動機欄が欄の8割以上埋まっているか
封筒の書き方と郵送マナー
封筒は白無地の角形2号(A4サイズが折らずに入るもの)を使い、宛名は病院名に「御中」、採用担当者名がわかる場合は「様」を用います。郵送時は普通郵便または特定記録郵便で問題なく、速達は不要です。応募書類一式を角2封筒で送る場合、重量に応じて定形外郵便(規格内)の料金がかかり、50gまでは140円、100gまでは180円が目安です(2024年10月改定後の現行料金)。
| 項目 | 正しい書き方 | よくある間違い |
|---|---|---|
| 封筒の表書き | 「応募書類在中」と赤字で明記 | 何も書かない |
| 書類の重ね方 | 送付状→履歴書の順に重ね、クリアファイルに入れる | クリアファイルなしで直接入れる |
| 宛名の敬称 | 病院名+「採用担当者 御中」 | 「採用担当者様」(二重敬語) |
封筒の宛名の書き方や「御中」「様」の使い分けは、以下の記事で詳しく確認できます。

まとめ
- 「貴社・入社」ではなく「貴院・入職」を使う
- 病院名は運営法人から正式名称で記載し、資格名も正式名称で書く
- 志望動機は「なぜ医療職か」「なぜこの病院か」の2点を軸にする
- 提出前に一般企業向けの表現が残っていないか通読して確認する
病院への履歴書で書類選考を通過するためのポイントは、医療業界の言葉遣いを正確に押さえた上で、なぜこの病院かが伝わる志望動機を書くことに尽きます。職歴欄と志望動機を書き終えたら、封筒・送付状のマナーも確認してから提出してください。
病院の履歴書に関するよくある質問
- 病院に提出する履歴書は手書きとパソコン作成のどちらがいいですか?
-
どちらでも問題ありません。多くの病院では手書き・パソコン作成を問わず選考されます。ただし手書きの場合は文字の丁寧さがそのまま印象に直結します。求人票に指定がある場合は必ずその指示に従ってください。
- 病院の履歴書の志望動機はどのくらいの文字数で書けばいいですか?
-
200〜400文字が目安です。記入欄の8割以上を埋めることが理想で、半分以下では意欲が伝わりにくくなります。長すぎても読みにくくなるため、要点を絞って具体的なエピソードで書き進めてください。
- 看護師や医療事務以外の職種で病院に応募する場合も「貴院」を使いますか?
-
はい。清掃・受付・設備管理など、直接の医療行為を伴わない職種で病院に応募する場合も「貴院」「入職」を使うのが正解です。応募先が病院である以上、言葉遣いのルールは職種を問わず共通です。
- 病院名の正式名称がわからない場合はどうすればいいですか?
-
在職時に受け取った給与明細や健康保険証の被保険者証に記載されている法人名を確認する方法が最も確実です。あわせて病院の公式サイトの「病院概要」ページでも運営法人を確認できます。

