ビジネス文書の送付状は、日付・宛名・差出人・表題・挨拶・同封書類の9項目を上から順に並べれば完成します。決まった様式はなく、凝った文章も必要ありません。この記事では、そのまま使えるテンプレートと請求書・契約書・応募書類の場面別例文、頭語や時候の挨拶の選び方、相手に雑な印象を与えるNG例までまとめました。
送付状の書き方は9項目を順に並べるだけ【テンプレート付き】
結論:送付状に書く9項目
送付状に法律で決められた書式はありません。ただし、ビジネス文書としてほぼ定着している並び順があります。この順番どおりに埋めていけば、それだけで形式は整います。
- 送付年月日(右上)
- 宛名(左上・会社名/部署名/担当者名)
- 差出人情報(右・会社名/住所/氏名/連絡先)
- 表題(中央・「請求書送付のご案内」など)
- 頭語(拝啓)と時候の挨拶
- 本文(何を送るか)
- 結語(敬具・右寄せ)
- 記書き(中央に「記」/同封書類と部数)
- 「以上」(右寄せ)
迷いやすいのが8と9です。「記」と「以上」は必ずセットで使います。「記」だけ書いて締めの「以上」がない送付状は、文書として途中で終わっている状態になります。
そのまま使える基本テンプレート
汎用の型がこちらです。角括弧の部分を差し替えれば、ほとんどの場面に対応できます。
良い例文(基本テンプレート)
2026年7月16日
株式会社〇〇
営業部 〇〇 〇〇 様
株式会社△△
〒000-0000 東京都〇〇区〇〇1-2-3
担当 △△ △△
TEL:00-0000-0000 MAIL:xxx@xxx.co.jp
請求書送付のご案内
拝啓 盛夏の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、下記の書類をお送りいたしますので、ご査収くださいますようお願い申し上げます。
敬具
記
1.請求書(2026年6月分) 1部
以上
本文は3行で足ります。「何を送るか」「なぜ送るか」「どうしてほしいか」だけを書き、それ以外は記書きに逃がすのが読みやすい送付状の作り方です。
項目別の書き方と注意点
| 項目 | 書き方のポイント |
|---|---|
| 送付年月日 | 作成日ではなく投函日を書く。西暦か和暦は社内文書に合わせて統一 |
| 宛名 | 会社宛は「御中」、個人宛は「様」。併用は誤り。部署名までは省略しない |
| 差出人 | 連絡先を必ず入れる。不備があったとき相手が最初に見る場所 |
| 表題 | 「〇〇送付のご案内」が無難。開封前に用件が伝わる言葉にする |
| 挨拶文 | 拝啓+時候の挨拶+日頃の御礼。3文以内で切り上げる |
| 記書き | 書類名と部数を必ず併記。部数の記載が同封物の確認票になる |
とくに部数の記載は軽視されがちです。部数が書いてあれば、相手は開封した瞬間に不足の有無を判断できます。送付状が「挨拶」ではなく「確認票」として機能するのはこの一行があるからです。
【場面別】ビジネス送付状の例文
差し替えるのは表題・本文の1文・記書きの3箇所だけです。送る書類ごとに使い分けてください。
請求書に添える場合
良い例文(請求書)
拝啓 盛夏の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、2026年6月分の請求書をお送りいたします。お手数ですがご査収のうえ、お支払い手続きをお願い申し上げます。
記/1.請求書(2026年6月分) 1部/以上
支払期日が近い場合は、本文に「お支払期日は2026年7月31日でございます」の一文を足します。催促の色は出さず、事実として添えるだけにとどめます。
見積書・契約書に添える場合
良い例文(契約書)
拝啓 平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、先日ご相談いただきました業務委託契約書を2部お送りいたします。ご確認のうえ、2部ともご捺印いただき、1部を同封の返信用封筒にてご返送くださいますようお願い申し上げます。
記/1.業務委託契約書 2部/2.返信用封筒 1枚/以上
契約書のように相手に作業を求める書類ほど、送付状の価値が上がります。捺印して返送するのか、確認だけでよいのか。相手に何をしてほしいのかを1文で明示してください。ここが曖昧だと、書類は相手の机で止まります。
応募書類(履歴書・職務経歴書)に添える場合
応募書類に添える送付状は「添え状」と呼ばれますが、書き方は同じです。取引先向けとの違いは、宛名が採用担当者になる点と、応募職種を明記する点だけです。
良い例文(応募書類)
拝啓 貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
このたび、貴社の営業職の求人に応募させていただきたく、下記の書類をお送りいたします。前職では法人向けの新規開拓を5年間担当し、貴社の事業拡大に貢献できると考えております。ご多用のところ恐縮ですが、ご検討のほどよろしくお願い申し上げます。
記/1.履歴書 1通/2.職務経歴書 1通/以上
採用担当者はここを見ている
- まず同封物と部数が一致しているか。送付状は最初に読む「確認票」として扱われます
- 応募職種が1枚目でわかるか。複数職種を募集している企業では、ここが不明だと選考の振り分けが止まります
- 氏名と連絡先がすぐ見つかるか。書類に不備があったときの連絡先はここで確認されます
- 履歴書の志望動機と食い違っていないか。送付状で熱意を語るほど、矛盾は目立ちます
応募書類は封筒の書き方や折り方まで含めて評価が決まります。投函前の全体の流れは履歴書を郵送するときの封筒・折り方・添え状のまとめで確認できます。

封筒表面に赤字で入れる「履歴書在中」の書き方は、位置と囲み方のルールを押さえておくと迷いません。

送付状でやりがちなNG例
形式が整っていても、中身で損をしている送付状があります。よく見かける3つのパターンです。
NG例①:同封書類の部数がない
記/1.請求書/2.納品書/以上
部数がないと、相手は同封物が揃っているか確認できません。送付状の一番の役割を捨てている状態です。「請求書 1部」「納品書 1部」と部数まで書きます。
NG例②:本文が長い
拝啓 このたびは弊社の新サービスにご興味をお持ちいただき誠にありがとうございます。弊社は創業以来〇〇の理念のもと…(10行続く)
送付状は読ませる書類ではありません。伝えたい内容が本文の量を必要とするなら、それは提案書として別に用意すべき情報です。送付状は1枚に収めます。
NG例③:「〇〇株式会社御中 △△様」
宛名に御中と様を併用しています。敬称は1つだけです。担当者名がわかっているなら「〇〇株式会社 営業部 △△様」、わからないなら「〇〇株式会社 営業部 御中」とします。
もう1つ、送付状を書き損じたときに修正テープや二重線で直すのは避けてください。1枚しかない文書の訂正跡は、それだけで雑な印象を与えます。印刷し直すほうが早く、確実です。
頭語・結語と時候の挨拶の選び方
ここで手が止まる方が多い部分です。ただ、覚えることは多くありません。通常のビジネス送付状は「拝啓」と「敬具」だけで足ります。
| 頭語 | 結語 | 使う場面 |
|---|---|---|
| 拝啓 | 敬具 | 一般的なビジネス文書。基本はこれ |
| 謹啓 | 謹白・敬白 | 目上・改まった相手への案内状など |
| 前略 | 草々 | 挨拶を省く場面。取引先への送付状には不向き |
前略は「挨拶を省略します」の意味です。急ぎの連絡では使いますが、請求書や応募書類に添える送付状で使うと礼を欠きます。迷ったら拝啓を選んでください。
月別の時候の挨拶
拝啓の直後に置く一言です。ビジネスでは漢語調(「〇〇の候」)を使います。
| 月 | 時候の挨拶 | 月 | 時候の挨拶 |
|---|---|---|---|
| 1月 | 新春の候 | 7月 | 盛夏の候 |
| 2月 | 立春の候 | 8月 | 残暑の候 |
| 3月 | 早春の候 | 9月 | 初秋の候 |
| 4月 | 陽春の候 | 10月 | 秋冷の候 |
| 5月 | 新緑の候 | 11月 | 晩秋の候 |
| 6月 | 初夏の候 | 12月 | 師走の候 |
時候の挨拶を省き、「拝啓 貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます」と続けても問題ありません。毎月やり取りする取引先への請求書では、こちらのほうが自然です。
送付状のビジネスマナー
送付状の基本ルール
- サイズ:A4が基本。同封書類とサイズを揃える
- 枚数:1枚に収める。2枚になる時点で内容が多すぎる
- 封入順:送付状が1枚目。開封して最初に目に入る位置に置く
- 作成方法:PCで作成し印刷するのが一般的
- 整合性:記書きの部数と実際の同封物を投函前に照合する
手書きかPCかで迷う方もいますが、ビジネス文書ではPC作成が標準です。応募書類に添える場合の判断基準は送付状を手書きにすべきかどうかの解説にまとめています。

封筒の宛名に使うペンにも決まりがあります。消せるボールペンは配送中の熱で文字が消えることがあるため使いません。詳しくは封筒に使うペンの選び方をご覧ください。

送付状が不要なケース
送付状は必須の書類ではありません。次の場面では付けないほうが自然です。
- 手渡しする場合:その場で口頭説明できるため、挨拶と通知の役割が重複します
- メールで送る場合:メール本文が送付状の役割を果たします
- 電子帳票サービスを使う場合:システム側が通知を担います
- 企業から不要と指定された場合:指定に従います
メールで応募書類を送る場合、送付状を別ファイルで添付する必要はありません。メール本文に同じ内容を書けば足ります。メールで送るときの件名と本文の例文を参考にしてください。

まとめ
- 送付状は9項目を順に並べれば完成する。独自の工夫は不要
- 記書きには書類名と部数を必ず書く。ここが同封物の確認票になる
- 頭語は拝啓、結語は敬具で足りる。前略は取引先には使わない
- A4・1枚・PC作成・封筒の1枚目。この4点でマナーは満たせる
- 相手に何をしてほしいのかを1文で明示する
送付状の出来で取引や選考の結果が決まることはありません。相手が中身を確認しやすい状態で届けば、それで役割は果たせています。
送付状の書き方に関するよくある質問
- 送付状と添え状・送り状の違いは何ですか?
-
役割はほぼ同じで、呼び方が場面で変わるだけです。ビジネス文書では「送付状」、応募書類に添えるものは「添え状」と呼ばれることが多く、「送り状」は宅配便の伝票を指す場合もあります。書き方に違いはありません。
- 送付状は手書きとPCどちらで作るべきですか?
-
ビジネス文書ではPCで作成して印刷するのが一般的です。手書きが評価されるのは、相手との関係性が近い場合や一部の業界に限られます。読みやすさを優先してください。
- 「記」と「以上」は必ず必要ですか?
-
記書きを使う場合はセットで必要です。「記」を中央に、「以上」を右寄せに配置します。同封書類が1点だけで本文に書ききれる場合は、記書き自体を省略しても問題ありません。
- 時候の挨拶は省略できますか?
-
省略できます。毎月やり取りする相手への請求書などでは、「拝啓 貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます」と続けるほうが自然です。初めて書類を送る相手や改まった場面では入れておくと丁寧な印象になります。
- 送付状は封筒のどこに入れますか?
-
同封書類の一番上、開封して最初に目に入る位置に入れます。クリアファイルを使う場合も送付状を先頭にします。書類の向きは、封筒から出したときにそのまま読める向きに揃えてください。

