履歴書の封筒は会社・部署宛てなら「御中」、担当者名があるなら「様」、返信用の「行」は二重線で消して書き換えるのが正解です。3つを同時に使うと二重敬称になり、役職の直後に様を付けるのも誤りです。判断の分岐、記載例、法人格ごとの宛名、送付状やメールとの揃え方まで整理します。
結論:御中・様・行の使い分け一覧
結論:組織は御中、個人は様、行は消す
履歴書の宛名で使う3語は、会社・部署など組織なら「御中」、担当者の個人名なら「様」、返信用に印刷された「行」は二重線で消して御中か様に直すで決まります。国立国語研究所の解説でも、御中は団体・機関・組織宛て、様は個人に対する一般的な敬称と整理されています。1つの宛名に御中と様を重ねると二重敬称です。迷ったときは「この行の末尾は組織か、一人の名前か」だけを見ます。
3語の比較表
| 語 | 読み | 使う相手 | 履歴書での典型 |
|---|---|---|---|
| 御中 | おんちゅう | 会社・部署・係など組織 | 株式会社○○ 人事部 御中 |
| 様 | さま | 個人名、採用ご担当者 | 株式会社○○ 人事部 山田太郎 様 |
| 行 | ぎょう | 自分側があらかじめ付ける謙遜の語 | 返信用封筒の「行」を消し、御中または様へ |
良い書き方(分岐)
求人票の送付先を見て、個人名があるかだけ確認する。
個人名あり → 会社名・部署名・氏名の順で書き、末尾は様。
個人名なし・部署あり → 部署のあとに御中。
返信用封筒 → 行を二重線で消し、上と同じ規則で御中か様を足す。
NG例
株式会社○○ 御中 人事部 山田太郎 様
御中と様が1通に共存している宛名です。個人名がある時点で御中は外し、様だけにします。
御中の書き方(会社・部署・係)
御中は「その組織の中の人へ」という意味です。個人名を書かないときに使い、付ける位置は宛名の末尾1か所だけです。会社名と部署名の両方に御中は付けません。
部署・係がある場合
良い書き方(部署宛て)
株式会社○○ 人事部 御中
株式会社○○ 採用係 御中
学校法人○○学園 人事課 御中
部署名も不明な場合
良い書き方(会社宛て)
株式会社○○ 御中
送り先の部署が求人票に無いときの最小形です。分かる範囲で人事部や採用担当部署を足したほうが届きやすいです。
NG例
株式会社○○ 御中 人事部 御中
御中が2つある宛名です。御中は最後の組織名のあと1回だけです。
中途で部署宛てに出す前に、中身の社名表記も正式名称へ揃えます。転職用の履歴書テンプレートの社名欄と、封筒の宛名で略称が食い違わないよう同じ表記にします。

様の書き方(担当者名・ご担当者)
様は個人に付ける敬称です。氏名が分かっているなら、部署名のあとに氏名を書き、末尾は様だけにします。「部長様」「採用担当御中」は使い方を誤っています。連名なら役職の上の人を先に書き、名前ごとに様を付けます。2人を1つの様でまとめる書き方は使いません。
氏名が分かっている場合
良い書き方(個人名)
株式会社○○ 人事部 採用担当 山田太郎 様
役職を書くなら「人事部長 山田太郎 様」とし、役職の直後に様は付けない。
「採用ご担当者様」を使う場合
個人名は不明でも、役割として一人に宛てたいときは「採用ご担当者様」が使えます。ハローワークの応募書類案内でも、担当者名が不明なら部署+御中、または採用ご担当者様でよいとされています。御中とどちらが正しいかで止まらず、組織に出すか個人に出すかを先に決めます。
良い書き方(ご担当者)
株式会社○○ 人事部 採用ご担当者様
NG例
人事部長様
山田太郎 御中
役職+様、個人名+御中はどちらも誤りです。役職は肩書、御中は組織専用です。
新卒の学校推薦で担当教員名が案内に入っている場合も、末尾は様です。封筒の前に中身を揃えるときは、新卒用の履歴書テンプレートの提出日と宛名の社名を同じ表記にします。
「行」の消し方と書き換え
「行」は、送り主が自分の名前のあとに付ける謙遜の語です。受け取った側がそのまま返すと、相手へ謙遜の語を向けたままになります。返信用封筒や往復はがきでは、必ず消して敬称へ直します。「宛」も同じ扱いです。企業から届いた封筒に自分の住所が印刷されている場合も、敬称だけ直して中身を入れます。住所を書き直す必要はありません。
- 縦書きなら「行」に縦の二重線、横書きなら横の二重線
- 消した近くに、組織なら御中、個人なら様を書き足す
- 修正液・修正テープ・訂正印は使わない
- 「採用担当 行」は担当者個人なので、行を消して「採用ご担当者様」
- 「人事部 行」は部署なので、行を消して「人事部 御中」
良い書き方(行の訂正)
印刷:株式会社○○ 人事部 行
訂正:行を二重線で消し、右または下に「御中」
完成:株式会社○○ 人事部 御中
NG例
「行」を残したまま投函する。または行の上から修正液を塗り「様」と書く。謙遜の語を相手に返したままになるか、塗った跡が残る処理です。二重線が見える訂正が正式です。

担当者名がわからないときの分岐
名前が無いときに無理に「様」だけを足すと、誰宛てか分からなくなります。分かっている情報の粒度で、御中か様かを選びます。
| 分かっている情報 | 使う語 | 記載例 |
|---|---|---|
| 会社名だけ | 御中 | 株式会社○○ 御中 |
| 部署・係まで | 御中 | 株式会社○○ 人事部 御中 |
| 「採用担当」とだけある | 様 | 株式会社○○ 採用ご担当者様 |
| 氏名がある | 様 | 株式会社○○ 人事部 山田太郎 様 |
| 担当が2名 | 様を各自に | 役職の上の人を先に書き、名前ごとに様 |
採用担当者はここを見ている
- 求人票に書いた担当者名の漢字が違うと、届く前から印象が落ちます
- 部署名のあとにもう一度会社名+御中を足すと、どこ宛てか迷います
- アルバイト応募でも敬称の規則は同じです。店長名があるなら様、店舗宛てなら御中です
店舗提出のアルバイト履歴書でも、郵送に切り替わった瞬間に敬称が必要になります。アルバイト用の履歴書テンプレートで中身を整えたあと、封筒だけ会社・店舗のどちら宛てかを求人票で再確認します。
二重敬称と書き直しのNG
丁寧に見せようとして語を足すと、逆にマナー違反になります。履歴書の封筒で起きやすい重ね方を先に潰します。
| やってしまいがちな宛名 | 何が重なっているか | 直した形 |
|---|---|---|
| 株式会社○○ 御中 山田様 | 御中+様 | 山田太郎 様(部署を残してよい) |
| 人事部 御中 採用ご担当者様 | 御中+様 | 人事部 御中、または採用ご担当者様 |
| 人事部長様 | 役職+様 | 人事部長 山田太郎 様 |
| 関係者各位様 | 各位+様 | 履歴書の封筒では使わない |
| 山田太郎 行 のまま返送 | 謙遜の語を相手に返す | 行を消し、様または御中 |
良い書き方(書き損じ)
投函前に敬称を間違えたら、二重線で直さず新しい封筒に書き直す。返信用封筒の「行」だけは、印刷済みなので二重線訂正が正式。
NG例
自分で書いた「御中」を二重線で消して「様」に直し、そのまま出す。自分で書いた宛名の訂正は雑に見える処理です。行の訂正以外は新品の封筒にします。
敬称を直したあと、切手と必着日の確認が残っています。送り方全体を見るときは郵送手順の記事へ進みます。
投函後に気づいたとき
すでに出した封筒の敬称を取り消す手段はありません。軽微な「ご担当者様」と「御中」の取り違いは、到着後に電話で詫びる必要は薄いです。氏名の漢字を間違えた、別会社の宛名を書いた、という誤りは、気づいた時点で正しい封筒を再送し、メールで先に誤りと再送日を伝えます。

法人格・学校・店舗での宛名パターン
敬称の3語は変わりません。変わるのは、組織名の正式表記です。前株と後株、医療法人、学校法人、店舗名を略すと、御中を正しく付けても届かないことがあります。求人票の会社概要と、登記上の表記が違うときは、採用ページの表記に合わせます。
| 宛先の種類 | 組織名の書き方 | 敬称 |
|---|---|---|
| 前株の株式会社 | 株式会社○○ | 部署があれば御中、氏名があれば様 |
| 後株の株式会社 | ○○株式会社 | 同上 |
| 有限会社・合同会社 | 略さず正式名称 | 同上 |
| 医療法人 | 医療法人○○会 ○○病院 | 人事課なら御中。師長名なら様 |
| 学校 | 学校法人○○学園 ○○高等学校 | 事務室なら御中。担当教諭名なら様 |
| 店舗アルバイト | ○○株式会社 △△店 | 店宛てなら御中。店長名なら様 |
良い書き方(法人格)
○○株式会社 人事部 御中
医療法人○○会 ○○病院 人事課 御中
○○株式会社 渋谷店 店長 鈴木花子 様
NG例
(株)○○ 渋谷店 御中 鈴木店長様
略称と御中と様が同時に起きている宛名です。店舗組織なら御中、店長個人なら様の一方にします。
送付状・メールと敬称を揃える
封筒の宛名だけ正しくても、送付状の冒頭が食い違うと開封直後に目立ちます。封筒が「人事部 御中」なら、送付状の宛名も同じ組織にします。封筒が「山田太郎 様」なら、送付状も個人名です。片方だけご担当者様にする必要はありません。
| 媒体 | 御中 | 様 | 行 |
|---|---|---|---|
| 封筒の表 | 部署・会社宛て | 氏名・ご担当者 | 返信用だけ消し書き |
| 送付状の冒頭 | 封筒と同じ組織 | 封筒と同じ個人 | 使わない |
| メール本文 | 担当不明のとき可 | 氏名が分かればこちら | 使わない |
| メール件名 | 入れない | 入れない | 入れない |
各位・殿は履歴書の封筒では使わない
各位は「一人一人へ」という意味で、文書の宛名には使えますが、封筒の表書きには使いません。「各位様」は二重敬称です。殿は公用文や辞令で残っています。応募封筒では様に揃えます。
縦書きと横書きで付ける位置
縦書きの角形封筒では、会社名・部署名の下(または左)に御中、個人名の下に様を置きます。横書きなら末尾の右隣です。行を消す線の向きも、本文の向きに合わせます。縦の宛名に横二重線だけを引くと、消し方が雑に見えます。
良い書き方(媒体を揃える)
封筒:株式会社○○ 人事部 御中
送付状:株式会社○○ 人事部 御中
メール件名:履歴書送付の件(氏名/応募職種)
メール本文冒頭:株式会社○○ 人事部 御中
NG例
封筒は人事部御中、送付状は採用ご担当者様、メールは山田様。同じ荷物なのに宛先の粒度が3つに割れている状態です。求人票の送付先を1つ決めて、3媒体を同じ語に揃えます。
まとめ
- 組織は御中:会社・部署・係の末尾に1回だけ付ける
- 個人は様:氏名または採用ご担当者の末尾。役職の直後には付けない
- 行は消す:返信用の謙遜語。二重線のあと御中か様へ書き換える
- 重ねない:御中と様、各位と様、役職と様を同居させない
- 自分で書いた宛名は書き直す:行の訂正以外は新しい封筒を使う
求人票の送付先に個人名があるかだけ先に見れば、3語のどれを使うかはそこで決まります。
履歴書の御中・様・行に関するよくある質問
- 履歴書の封筒は御中と様のどちらですか?
-
部署や会社だけを宛先にするなら御中、担当者の氏名があるなら様です。どちらも書く必要はなく、片方だけ使います。
- 採用担当者名がわからないときは御中ですか?
-
部署名があるなら「人事部 御中」で足ります。役割として一人に宛てたいなら「採用ご担当者様」でも失礼ではありません。両方は使いません。
- 返信用封筒の「行」はそのまま送ってよいですか?
-
そのまま返すのはマナー違反です。行を二重線で消し、組織なら御中、個人なら様を書き加えます。修正液は使いません。
- 「御中」と「様」を両方書くとどうなりますか?
-
二重敬称です。個人名があるなら様だけ、組織だけなら御中だけに直します。投函前なら新しい封筒に書き直します。
- メールの宛名でも御中を使いますか?
-
本文冒頭の宛名では使えます。件名に御中は入れません。担当者名が分かっているメールは様だけにします。

