サウンドクリエイターの職務経歴書は、作品名を出せなくても担当範囲と成果の粒度を具体化すれば十分に伝わります。NDAや守秘義務で「実績をどう書けばいいのか」と悩む方に向けて、フリーランス・インハウス別の例文と、採用担当者が実際に見ているポイントを、良い例・NG例を交えて解説します。
サウンドクリエイターの職務経歴書の書き方と記載例
結論:作品名より「担当範囲」と「成果の粒度」を書く
作品名やクライアント名を出せない場合でも、担当した工程・使用技術・成果を数値や具体的な言葉で書くことで、採用担当者は制作力を判断できます。守秘義務を理由に空欄にするのではなく、「非公開」と明記したうえで書ける範囲を最大限具体化することが通過のポイントです。
基本のフォーマットに迷う場合は、転職用の履歴書テンプレートを土台にしつつ、職務経歴書側でクリエイティブ職特有の実績を補うと書きやすくなります。
【フリーランス・受託制作の場合】記載例
良い例文
2021年4月〜現在 フリーランス(業務委託契約)
ゲームアプリ・CM向け楽曲制作(NDAのため案件名は非公開)
- ソーシャルゲーム3タイトルのBGM・効果音を制作(累計42曲)
- クライアントとの打ち合わせから納品まで一貫して担当し、納期遵守率100%を維持
- 使用DAW:Cubase Pro/Pro Tools
NG例
フリーランスとして音楽制作をしていました。いろいろな案件でBGMや効果音を作り、クライアントにも喜んでもらえたと思います。「いろいろ」「喜んでもらえた」は主観的な感想で、実務スキルが伝わらないため評価されにくくなります。
採用担当者はここを見ている
- 制作曲数・案件数など、実務量が数字で示されているか
- 納期管理やクライアント対応まで担当したか、制作のみか
- 使用DAWや制作環境が具体的に書かれているか
【ゲーム会社インハウスの場合】記載例
良い例文
2019年4月〜2024年3月 株式会社〇〇(ゲーム開発) サウンド部
コンシューマー向けRPGタイトルのBGM・効果音制作(開発中のため作品名は非公開)
- メインテーマを含む楽曲30曲以上を担当し、シナリオに合わせた曲調設計を提案
- 実装後のユーザーテストでBGMの評価項目が前作比15pt向上
- プランナー・エンジニアと連携し、実装後の音量バランス調整も担当
NG例
サウンド部でBGMや効果音の制作を担当していました。チームで協力しながら作業を進め、無事にリリースまでこぎつけました。「チームで協力」だけでは自分の役割が不明で、評価対象になりません。
採用担当者はここを見ている
「チーム全体の実績」と「自分個人が担当した範囲」が区別されているかを必ず確認します。楽曲数・担当工程・評価指標のように、自分だけの貢献が読み取れる書き方を意識してください。

採用担当者が職務経歴書のどこを見ているか
サウンドクリエイターの採用では、応募者の多くが感覚的な言葉で実績を書きがちです。書類選考を通過するには、制作フローの理解度と数字で語れる実績の両方を示す必要があります。厚生労働省の規格に沿った履歴書テンプレートを使う場合も、職務経歴書側でスキルと実績を具体的に補うことが欠かせません。
採用担当者はここを見ている
- 楽曲・効果音・MA(音声編集)のどこまで担当したか
- ジャンル(ゲーム/CM/映像/アニメ)と制作規模
- 納期・クライアント対応など、制作以外の業務経験
- ポートフォリオや音源サンプルへのリンクの有無
とくにポートフォリオの有無は、書類選考の初期段階で大きな差になります。リンクを貼るだけでなく、代表曲を3〜5曲に絞って提示すると、担当者が短時間で実力を判断しやすくなります。

作品名を明かせない時の対処法(NDA・守秘義務)
ゲームや広告の音楽制作は、未発表タイトルはもちろん、リリース済みの案件でも社名やプロジェクト名の公開を禁じる契約が一般的です。作品名を書けないからといって職務経歴書を空欄にする必要はなく、「非公開」と明記したうえで業務内容を具体化するのが正しい対応です。
| 書けない項目 | 避けるべき書き方 | 代わりの書き方 |
|---|---|---|
| 案件名・作品名 | 空欄のまま | 「NDAのため非公開」と明記 |
| クライアント名 | 実名を記載 | 業種・規模(例:大手ゲーム会社/中堅広告代理店) |
| 売上・再生数 | 正確な数値を記載 | 「前年比〇%向上」など相対値で表現 |
面接で作品名を聞かれた場合も、同様の考え方で対応できます。「守秘義務契約の都合上、具体的なタイトル名はお伝えできませんが、想定されている規模感・テイストの案件とお考えください」と伝えれば、誠実さとプロ意識の両方を示せます。
採用担当者はここを見ている
守秘義務を守る姿勢は、むしろプロとしての信頼性を示す材料になります。逆に、契約上明かせないはずの案件名や数値を無自覚に記載していると、情報管理への意識の低さと受け取られるため注意してください。
案件ジャンル別に見る職務経歴書のポイント
サウンドクリエイターの活躍分野はゲーム・CM・映像・アニメと幅広く、ジャンルによって評価されるポイントも変わります。応募先の求人内容に合わせて、以下の観点を職務経歴書に反映してください。
| ジャンル | 重視される経験 | 書き方の例 |
|---|---|---|
| ゲーム音楽 | 実装・仕様変更への対応力 | 「シーン数〇件のBGM実装・仕様変更に対応」 |
| CM・広告音楽 | 短納期・クライアント折衝力 | 「制作期間〇日の案件を月〇本ペースで対応」 |
| アニメ・映像音楽 | 映像との同期・演出理解 | 「絵コンテに合わせた劇伴〇曲を制作」 |
| 効果音・MA | 収録から編集までの一貫対応力 | 「収録〜整音〜納品まで一貫して担当」 |
複数ジャンルの経験がある場合は、応募先の求人で求められているジャンルを職務経歴書の上位に配置し直すだけでも、書類の見え方は大きく変わります。志望動機なしの履歴書テンプレートを併用する場合は、その分職務経歴書側で実務経験を厚く記載してください。
スキル欄の書き方(DAW・MIDI・MA)
スキル欄はソフト名を並べるだけでは評価されません。どの工程でどのレベルまで使えるかを添えることで、実務で即戦力になるかどうかが伝わります。
| スキル分類 | 代表的なツール・技術 | 記載のポイント |
|---|---|---|
| DAW | Cubase Pro/Pro Tools/Logic Pro | 作曲・編曲・ミックスのどこまで担当したか |
| 音声編集・MA | Pro Tools/Nuendo | 台詞収録・整音・映像同期の経験有無 |
| MIDI・音源 | サンプラー、外部音源 | 使用音源の種類と得意なジャンル |
| 音楽理論 | 楽典・和声・編曲技法 | 作編曲でどう活かしたか具体例を添える |
未経験からの転職やポートフォリオが少ない場合は、エンジニアの職務経歴書テンプレートのようにスキルを「経験年数」「習熟度」で区分する形式を参考にすると、実務レベルが伝わりやすくなります。
ポートフォリオの添え方と注意点
サウンドクリエイターの選考では、職務経歴書とあわせて音源サンプルの提示を求められることが多くあります。守秘義務のある案件は避け、公開可能な自主制作曲やデモ音源をまとめて提示してください。
良い例文
ポートフォリオ:SoundCloud(自主制作曲5曲・ジャンル:ゲーム風BGM/シネマティック)
視聴用パスワードは不要。曲ごとに使用DAWと制作時間を記載しています。
NG例
ポートフォリオあります(面接時にご説明します)とだけ記載し、リンクを貼らない。書類選考の段階で確認できないポートフォリオは評価対象外になりやすいため注意してください。

まとめ
- 作品名が書けなくても、担当範囲・使用技術・成果の粒度を具体化すれば実績は伝わる
- NDA・守秘義務は「非公開」と明記し、書ける範囲を最大限具体化する
- 応募先のジャンル(ゲーム・CM・アニメ・映像)に合わせて経験の見せ方を変える
- ポートフォリオは書類選考の段階で視聴できる状態にしておく
職務経歴書は制作実績そのものではなく、実績を採用担当者に翻訳して伝えるための資料です。数字と具体性を意識して書き進めてください。
サウンドクリエイターの職務経歴書に関するよくある質問
- サウンドクリエイターの職務経歴書に資格は必要ですか?
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必須の資格はありません。実務経験とポートフォリオでの実力提示が中心になります。MIDI検定やDTM関連の資格を持っている場合は、スキル欄に補足として記載すると評価材料の一つになります。
- 未経験からサウンドクリエイターに転職する場合はどう書けばいいですか?
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実務経験がない場合は、自主制作曲や副業・コンテスト応募などの制作実績を職歴に準じて記載します。使用DAWや制作本数、参加コンテストの結果など、客観的に確認できる情報を優先してください。
- ポートフォリオの曲数が少ない場合はどうすればいいですか?
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曲数の少なさより、1曲ごとの完成度と制作意図の説明を重視してください。使用DAWや制作にかけた工程、想定した使用シーンを添えると、少ない曲数でも実力が伝わりやすくなります。
- 職務経歴書と一緒にデモ音源を提出してもいいですか?
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提出可否は求人票や応募先の指示に従ってください。指定がない場合も、視聴用リンクを職務経歴書に添えておくと、採用担当者が短時間で実力を確認でき、通過率の向上につながります。

