病院への退職届は、提出する相手は直属の上司でも、宛名は院長にするのが正解です。一般企業と違い、指揮系統が「看護師長・科長」と「院長」に分かれているため、宛名を誰にすべきか迷う方が多くいます。この記事では、病院・クリニックならではの宛名・提出先の使い分けから、シフト勤務を踏まえた退職日の決め方、職種別の例文まで解説します。
退職届の書き方と例文|病院ならではのポイント
結論:フォーマットは同じ、違うのは宛名と提出先
退職届の書式そのものは、病院でも一般企業でも変わりません。「私儀」から始まり、退職理由・退職日・提出日・所属と氏名・宛名の順で書く形式は共通です。病院ならではの注意点は、宛名を「院長」にする一方で、実際に手渡す相手は直属の上司になるという点にあります。
- 退職理由は基本的に「一身上の都合」で統一する
- 宛名は法人名・病院名・院長名をフルネームで書く
- 提出する相手は看護師長・科長など直属の上司
病院向け退職届の例文
良い例文
退職届
私儀 このたび 一身上の都合により
令和〇年〇月〇日をもって退職いたします
令和〇年〇月〇日
〇〇科 氏名 印
医療法人〇〇会 〇〇病院
院長 〇〇 〇〇 殿
NG例
宛名を「〇〇病院 御中」とだけ書いて提出。「御中」は組織宛ての敬称であり、院長という個人に宛てる退職届では不適切です。院長の氏名まで正確に記載します。
一般企業の退職届との違い
一般企業では「株式会社〇〇 代表取締役社長 〇〇殿」のように宛名と決裁権者が一致していることがほとんどです。病院の場合、決裁権者である院長と、日々の業務を管理する看護師長や科長が別人物であるため、「誰に渡すか」と「誰宛てに書くか」を分けて考える必要があります。この違いを理解していないと、退職届を院長に直接持参してしまうなど、組織の指揮系統を無視した行動につながります。退職理由の書き方で損をしないためのポイントは、退職届の書き方|会社都合を「一身上の都合」と書くと損する理由で詳しく解説しています。

宛名は院長?提出先の正解を解説
提出先は直属の上司(看護師長・科長など)
退職届を手渡す相手は、看護師なら看護師長、医療事務なら事務長や係長など、日々の業務指示を受けている直属の上司です。いきなり院長に持参する必要はありません。まず直属の上司に退職の意思を口頭で伝え、了承を得たうえで退職届を提出する流れが一般的です。
採用担当者はここを見ている
- 組織の指揮系統を理解したうえで、順序立てて行動できているか
- いきなり院長に直談判するなど、現場を飛び越えた動きをしていないか
宛名はなぜ院長になるのか
退職届は法人・施設の代表者に対して雇用契約の終了を通告する書類です。病院の場合、雇用契約上の使用者は院長(または理事長)にあたるため、宛名は組織のトップである院長名を書くのが正式なルールになります。医療法人が運営する病院であれば、理事長宛てとする場合もあるため、就業規則や過去の退職者の書式を確認しておくと安心です。
| 項目 | 病院の場合 |
|---|---|
| 手渡しする相手 | 看護師長・科長・事務長など直属の上司 |
| 宛名に書く相手 | 院長(または理事長) |
| 敬称 | 「殿」または「様」 |
医局・法人本部がある場合の報告ルート
大学病院や大規模医療法人では、医局長や本部の人事部門を経由するケースもあります。医師であれば医局長を通じて教授に報告し、その後に病院への正式な退職届提出という流れになることも珍しくありません。単独の職場だけでなく、上位組織への報告義務があるかを事前に確認しておくと、後から「順番が違う」と指摘されるトラブルを避けられます。
病院ならではの退職日の決め方|シフトと有給消化
病院は一般企業と違い、シフト表の作成サイクルから逆算して退職日を決める必要があります。思いついたタイミングで退職日を決めてしまうと、直前でシフトが組まれてしまい、有給消化のタイミングを失うことがあります。
シフト作成のタイミングから逆算する
多くの病院では、シフト表を1〜2ヶ月先まで先に組んでいます。退職の意思を伝えるのが遅れると、すでに確定したシフトに組み込まれてしまい、希望の退職日に間に合わないことがあります。
- シフト表の締め切り日を師長に確認する
- 締め切りの前に退職の意思を伝え、退職届を出す
- 法律上は2週間前の申し出で退職できるが、就業規則で1〜3ヶ月前を求める病院が多い
有給消化との調整
夜勤や当直を含むシフト制の職場では、残った有給休暇をどこに組み込むかで退職日が変わります。最終出社日と退職日(雇用契約が終了する日)を分けて考えることで、有給消化とシフトの調整がしやすくなります。退職届には基本的に「退職日」を記載し、最終出社日は口頭や引き継ぎ資料で別途伝えます。退職届をいつまでに出すべきかの逆算スケジュールは、退職届はいつまでに出す?法律上の期限と円満退職の逆算スケジュールも参考にしてください。

【職種別】退職届の例文(看護師・医療事務・医師)
看護師の場合
良い例文
私儀 このたび 一身上の都合により
令和〇年〇月〇日をもって退職いたします
令和〇年〇月〇日
看護部 〇〇病棟 氏名 印
医療法人〇〇会 〇〇病院
院長 〇〇 〇〇 殿
看護師として次の職場を探す際は、看護師の職務経歴書テンプレートを使うと、これまでの経歴をスムーズにまとめられます。
医療事務の場合
良い例文
私儀 このたび 一身上の都合により
令和〇年〇月〇日をもって退職いたします
令和〇年〇月〇日
医事課 氏名 印
医療法人〇〇会 〇〇病院
院長 〇〇 〇〇 殿
医療事務としての転職を考えている方は、医療業界の職務経歴書テンプレートを使うと項目の抜け漏れを防げます。
医師の場合
良い例文
私儀 このたび 一身上の都合により
令和〇年〇月〇日をもって退職いたします
令和〇年〇月〇日
〇〇科 氏名 印
医療法人〇〇会 〇〇病院
院長 〇〇 〇〇 殿
採用担当者はここを見ている
- 所属欄が「〇〇病棟」「医事課」など具体的に書かれているか
- 医師の場合、医局を通す慣例があるかを事前確認しているか
病院への提出マナー|封筒・手渡しのルール
退職届は白無地の封筒に入れ、直属の上司に手渡しするのが基本です。郵送でしか渡せない事情がある場合を除き、対面で渡すことが円満退職の第一歩になります。
- 封筒の表面中央に「退職届」と書く
- 裏面左下に所属と氏名をフルネームで書く
- 手渡しの場合、封筒の宛名は不要(渡す相手が明確なため)
- 三つ折りにして封筒に入れる
面談の場で「本日付でお渡しします」と一言添えて手渡すと、慌ただしい現場でも受け取る側が状況を把握しやすくなります。応募書類を病院へ郵送する際の送付状マナーは、病院への履歴書添え状テンプレートで確認できます。

円満退職のために気をつけたいこと
病院は人手不足になりやすい職場であるため、退職の意思表示自体を歓迎されないケースもあります。しかし、伝える順番と引き継ぎへの配慮次第で、人間関係を悪化させずに退職することは十分可能です。
- 同僚より先に直属の上司へ伝える(噂で広まるのを避ける)
- 担当患者の引き継ぎ資料は退職日の1〜2週間前までに完成させる
- 後任が決まっていない場合も、業務範囲を明確にした引き継ぎメモを残す
NG例
忙しい勤務中にいきなり退職届を渡し、その場で詳しい説明をしない。面談の時間を事前に確保してもらってから伝えるほうが、相手にも心の準備ができ、話がこじれにくくなります。
まとめ
- 退職届の宛名は院長、渡す相手は直属の上司と覚えておく
- シフト表の締め切りから逆算して退職日を決める
- 医局や法人本部を経由する慣例がないか事前に確認する
宛名と提出先の使い分けさえ押さえれば、病院への退職届は難しいものではありません。落ち着いて手順どおりに準備を進めてください。転職先への応募書類は転職用の履歴書テンプレートから作成すると準備がスムーズです。
病院の退職届に関するよくある質問
- 退職届の宛名は理事長と院長どちらが正しいですか?
-
雇用契約上の使用者に宛てるのが原則のため、医療法人が運営する病院では理事長宛て、個人経営のクリニックでは院長宛てになるのが一般的です。判断に迷う場合は、就業規則や過去の退職者の書式を人事担当者に確認してください。
- 師長に伝える前に、院長へ直接退職届を出してもいいですか?
-
おすすめできません。指揮系統を飛び越えて院長に直接持参すると、直属の上司との関係が悪化しやすくなります。まずは看護師長や科長など直属の上司に口頭で意思を伝え、了承を得たうえで退職届を提出する順番を守ってください。
- シフトがすでに確定していても退職はできますか?
-
法律上は退職の申し出から2週間で契約を終了できますが、確定済みのシフトを崩すと現場に負担がかかります。師長に早めに相談し、次回のシフト作成サイクルに合わせて退職日を調整してもらうのが現実的な進め方です。

