実績は「課題→行動→結果」の流れで書くのが正解です。数字がある場合はもちろん、数字にできない業務でもこの型に当てはめれば、採用担当者に伝わる実績になります。この記事では、実績の基本的な組み立て方から、実績が見つからないときの探し方、営業・事務・エンジニアなど職種別の例文まで、採用担当者の視点で解説します。
実績の書き方【結論】数字がなくても通る組み立て方
結論:「課題→行動→結果」の順で書く(STAR法)
実績欄で評価されるのは、数字の大きさではなく「どんな課題に対し、どう考えて行動し、何を得たか」という一連の流れです。この構造を整理するためのフレームワークが、S(状況)・T(課題)・A(行動)・R(結果)の頭文字を取ったSTAR法です。
- S(Situation):どんな状況・背景だったか
- T(Task):何を解決する必要があったか
- A(Action):自分がとった具体的な行動
- R(Result):その結果どうなったか
良い例文
受注後の納期遅延が月に5〜6件発生し、顧客クレームが続いていた(S・T)。各部署の進捗を一元管理するシートを作成し、週次の進捗確認ミーティングを設置した(A)。3か月後に納期遅延が月1件以下に改善し、顧客満足度調査のスコアが前期比12ポイント向上した(R)。
NG例
納期遅延の改善に取り組み、顧客満足度を向上させた。「何をしたか」と「どれくらい改善したか」が書かれていないため、採用担当者には規模感も再現性も伝わらない。
数字がある場合の書き方
数字を使うときは「何に対しての数字か」を必ず明記してください。「売上1億円達成」だけでは、目標が1億円だったのか2億円だったのかが伝わらず、評価の基準になりません。
- 達成率:目標比120%達成
- 前年比・前月比:前年比15%増
- 件数・金額:月間50件対応、売上3,000万円
- 時間削減:作業時間を月10時間短縮
数字がない場合はプロセスと工夫で語る
事務職・接客業・クリエイティブ職など、業務内容によっては数字で成果を示しにくいケースが多くあります。そのような場合も、先ほどのSTAR法で「課題→行動→結果」を言葉にすれば、数字がなくても採用担当者に伝わる実績になります。
採用担当者が実績で本当に見ているポイント
実績というと「営業目標150%達成」のような数字の話だと思いがちですが、採用担当者が実績欄に求めているのは、輝かしい数字そのものではありません。知りたいのは「あなたがどんな仕事の仕方をする人か」です。
定量的な成果(数字)があれば説得力は増しますが、定性的な成果(プロセス・工夫・周囲への影響)も立派な実績です。「大した実績がない」と感じている方は、この視点で過去の業務を見直してみてください。
採用担当者はここを見ている
- 数字よりも「なぜそれができたか」のプロセスを重視している
- 同じような成果を自社でも再現できるか(再現性)を確認している
- 成果の規模より、課題に対して適切な思考と行動ができる人かを判断している
採用担当者が実績欄を読むときに確認しているポイントは、主に次の3点です。「どの実績を書くか」だけでなく「どう書くか」が実績欄の本質になります。
| チェックポイント | 判断したいこと |
|---|---|
| 再現性 | 自社でも同じように成果を出せるか |
| 論理性 | 課題→行動→結果の流れが一貫しているか |
| 自走力 | 指示を待たず、自分で考えて動ける人か |
「実績がない」と感じたときの見つけ方3ステップ
「転職が初めてで実績らしきものがない」「地道な仕事ばかりで自慢できることがない」と感じている方ほど、実績の書き方に悩みます。しかし多くの場合、実績がないのではなく気づいていないか、言語化できていないだけです。
ステップ1:今までの業務を洗い出す
これまで担当してきた業務・プロジェクト・役割をすべて書き出してみてください。「工夫したこと」「自分が主体的に動いた場面」「トラブルに関わった場面」に注目すると実績の候補が見えてきます。
- 担当した業務の種類・規模(担当顧客数・チーム人数・取引金額など)
- 自分が主体的に動いた場面
- トラブル対応・改善・効率化に携わった場面
- 他の人が担当したがらない仕事を引き受けた場面
ステップ2:工夫・改善・貢献を言語化する
数字がなくても、「工夫したこと」「改善したこと」「誰かの役に立ったこと」は実績として使えます。次のような行動があれば、課題→行動→結果の形で言語化してみてください。
- 非効率だった業務フローを改善した
- マニュアルやFAQを整備して後輩のミスが減った
- 顧客や取引先との関係改善に貢献した
- チームのボトルネックを発見し解消した
ステップ3:上司や同僚からの評価を思い出す
過去の評価面談やフィードバック、日常の会話の中で「助かった」「よくやってくれた」と言われた場面はなかったでしょうか。他者からの評価は自己評価と違って客観性があるため、「上司から評価されたこと」を実績として使うのは有効な手法です。
採用担当者はここを見ている
採用担当者は「派手な実績」より、地道な業務の中から自分の役割を正確に振り返れているかどうかを見ています。洗い出した業務の中から等身大の実績を選べる人ほど、面接での受け答えにも一貫性が出ます。
【職種別】実績の書き方と例文
ここまで説明してきた書き方ルールを、職種別の具体的な例文で確認します。自分の職種に近い例文を参考に、書き方を組み立ててみてください。
営業職の場合
営業職は数字で示せる実績が多い職種ですが、「なぜ達成できたか」のプロセスを書かないと採用担当者の印象に残りません。テンプレートを使って職歴欄を整理したい場合は、営業の職務経歴書テンプレートも参考にしてください。
良い例文
法人向けルート営業を担当。顧客訪問の優先順位を取引継続年数×購入単価でスコアリングし、重点顧客への訪問頻度を月2回から月4回に引き上げた結果、担当顧客の解約率が前年比40%減少し、売上は個人目標比118%を達成。
NG例
毎月目標を達成し続けた。チームメンバーにも指導を行った。数字がなく何をどうしたかが不明なため、採用担当者には規模感も再現性も伝わらない。
事務・経理職の場合
数字で示しにくい職種の代表格ですが、「業務効率化」「ミス削減」「コスト削減」の観点で振り返ると数字になる要素が見つかることも多いです。事務の職務経歴書テンプレートや経理の職務経歴書テンプレートを使うと、職歴欄と実績欄を整理しやすくなります。
良い例文(数字あり)
総務部にて備品管理・契約書管理を担当。Excelで個別管理していた備品台帳をクラウドツールへ移行し、在庫確認にかかる時間を従来の1/3に短縮。備品の紛失件数もゼロ件を継続中。
良い例文(数字なし)
経理部にて月次決算補助を担当。前任者のメモをもとに独自の作業手順書を整備し、チェック漏れが発生しやすいポイントを可視化した。後任者のOJT期間短縮に貢献し、上長から「引き継ぎが速い」との評価を受けた。
エンジニア・技術職の場合
技術的な成果を書く際は、「何の課題を解決したか」と「その結果どんな影響があったか」を非エンジニアにも伝わる言葉で書くことが求められます。エンジニアの職務経歴書テンプレートも職歴欄の整理に役立ちます。
良い例文
Webサービスの表示速度に関するユーザークレームが月10件以上発生していた問題に対し、データベースのクエリ最適化とキャッシュ戦略の見直しを実施。ページ読み込み速度を平均3.2秒から0.9秒に改善し、クレーム件数が月1件以下に減少。
採用担当者はここを見ている
- 社内用語・技術用語に補足説明が付いているか
- 技術の詳細より「何を解決したか・どんな影響を出したか」が伝わるか
販売・接客・サービス職の場合
日々の接客・販売業務は数字が出にくいように見えますが、客単価・リピート率・クレーム対応件数など、振り返ると数字になる要素が見つかることがあります。
良い例文
アパレル店舗にて販売スタッフとして勤務。来店履歴をもとにパーソナライズした声がけを実施した結果、担当常連顧客の購買点数が前年比1.4倍に増加し、店舗の月商目標達成に貢献した。
管理職・マネジメント経験者の場合
マネジメント経験のある方は、「チームの成果」と「自分の貢献」を明確に分けて書くことが特に重要です。チームとしての成果を書くこと自体は問題ありませんが、「あなた個人が何をしたか」が見えないと採用担当者には評価されません。
良い例文
8名の営業チームのマネージャーとして、月次目標の振り返りと個別1on1ミーティングを導入。各メンバーの強みに応じた担当顧客の再配置を行った結果、チーム全体の目標達成率が前年度比20%改善。メンバー3名が翌年度に昇格した。
採用担当者はここを見ている
- 「チームの成果」と「自分がとった具体的な行動」が分けて書かれているか
- 育成・評価・組織設計など数字以外のマネジメント実績も盛り込めているか


採用担当者が見ているNGパターンと落とされる理由
どれだけ実績があっても、書き方を間違えると採用担当者の評価は上がりません。採用担当者が「読んでいてひっかかる」NGパターンを3つ解説します。
NG①:数字だけ羅列してプロセスが見えない
NG例
売上目標130%達成。新規顧客100社獲得。解約率10%以下維持。「なぜ達成できたか」が全く見えないため、採用担当者には判断材料にならない。
数字はあくまで結果であって、採用担当者が判断したいのは思考と行動のプロセスです。数字の後に「何をしたからその数字が出たか」を1〜2文で添えてください。
NG②:チーム実績で自分の貢献が不明
NG例
チーム全体でプロジェクトを成功させた。部署目標を達成した。「あなた個人が何をしたか」が全く見えないため、評価のしようがない。
採用担当者はあなたを採用したいのであって、前の職場のチームを評価しているわけではありません。「チーム〇名でプロジェクトを推進し、〇〇の役割を担当した」のように、自分の役割と貢献を分けて書いてください。
NG③:実績を盛りすぎて面接で破綻する
自分を良く見せたい気持ちから実績を誇張しすぎると、面接でその実績を深掘りされたときに説明できなくなります。採用担当者は「書いてある内容を面接で確認すること」を想定してチェックしています。
安全な目安
面接の場で「なぜそうなったのか」「具体的にどうやったのか」を5分間話せる実績だけを書いてください。説明に詰まりそうな実績は、書き方を変えるか別の実績に差し替えましょう。

履歴書の自己PR欄と職務経歴書の実績欄の使い分け
実績は職務経歴書だけでなく、履歴書の自己PR欄にも書けます。ただし同じ内容を繰り返すのではなく、書類の役割に合わせて情報量と切り口を変えることが大切です。
| 書類 | 役割 | 書き方の目安 |
|---|---|---|
| 履歴書の自己PR欄 | 人柄・強みの第一印象を伝える | 最も印象的な実績を1つに絞り、150〜200文字程度で簡潔に |
| 職務経歴書の実績欄 | 職歴ごとの成果を詳しく証明する | 職歴・プロジェクトごとにSTAR法で複数記載 |
履歴書の自己PR欄はスペースが限られているため、最も印象的な実績を1つに絞り、職務経歴書の補足として機能する書き方がおすすめです。
採用担当者はここを見ている
履歴書と職務経歴書で同じ実績を一言一句同じ書き方で載せていると、「使い回し」の印象を与えます。自己PR欄は結論、職務経歴書は詳細というように、粒度を変えて書けているかを採用担当者は見ています。
まとめ
- 採用担当者が実績に求めているのは「数字」ではなく「再現性・論理性・自走力」
- 数字がある場合は「何に対しての数字か」を明記し、なぜ達成できたかのプロセスも添える
- 数字がない場合はSTAR法(課題→行動→結果)の構造で書くと伝わる実績になる
- 「実績がない」と感じても、業務の洗い出しと言語化で素材は必ず見つかる
- 数字の羅列・チーム実績で個人貢献が不明・実績の盛りすぎは評価を下げる
実績は「書くもの」より「伝えるもの」です。採用担当者に再現性を示せる書き方ができれば、書類選考の通過率は変わります。
実績の書き方に関するよくある質問
- 実績は職務経歴書にしか書けませんか?
-
履歴書の自己PR欄にも実績を書くことができます。ただし自己PR欄はスペースが限られているため、最も印象的な実績を1つに絞り、職務経歴書の補足として機能する書き方がおすすめです。
- 数字で表せる実績が一つもありません。それでも書けますか?
-
数字がなくても実績は書けます。「課題→自分の行動→その結果」の流れを文章で示すことで、採用担当者に伝わる実績になります。業務の改善や誰かへの貢献など、日常業務の中に実績の素材は必ず存在します。
- 転職回数が多い場合、実績はどう書けばいいですか?
-
職歴ごとに1〜2つの実績に絞り込み、応募先に関連する実績を優先してください。すべての職場の実績を羅列するより、「どの実績を選んだか」の基準が見えるほうが印象は良くなります。
- 実績の文字数はどのくらいが適切ですか?
-
1つの実績の記述は150〜250文字程度を目安にしてください。それ以上長くなる場合は内容を詰め込みすぎている可能性があります。「課題・行動・結果」の3要素を簡潔にまとめることを意識してください。
- アルバイト経験の実績も書いて良いですか?
-
新卒の場合はアルバイト経験も実績として使えます。中途転職の場合は社会人としての職歴の実績を優先してください。ただしチームリーダーや売上への顕著な貢献があった場合は、補足として記載しても問題ありません。

