職務経歴書に書くホテルの事業内容は、「ホテル・旅館事業」に業態と客室数を添えて1〜2行にまとめれば十分です。ただ、ホテル勤務の場合は「ホテル名と運営会社の名前が違う」「客室数や売上を書いてよいのか分からない」といった、ほかの業界にはない迷いどころがあります。業態別の例文、運営形態ごとの書き分け方、採用担当者が事業内容のどこを見ているかまで、順番に紹介します。
ホテルの職務経歴書の事業内容の書き方と例文【結論】
結論:「ホテル・旅館事業」に業態と規模を添えて1〜2行で書く
事業内容は、職歴欄の会社名のすぐ下に書く「勤めていた会社が何をしているか」の説明です。ホテルの場合は、次の3点が入っていれば読み手に伝わります。
- 事業の種類:ホテル・旅館事業、宿泊事業、ホテルの運営受託事業など
- 業態:シティホテル、ビジネスホテル、リゾートホテル、温泉旅館など
- 規模:客室数、運営施設数、宴会場やレストランの数など
「ホテル業」の一言だけだと、採用担当者は300室規模のシティホテルなのか、30室の旅館なのかを判断できません。業態と客室数が書いてあるだけで、あなたが扱ってきた客層や業務量が一気に伝わります。
基本の記載例とNG例
良い書き方(基本形)
20××年4月〜現在 株式会社〇〇ホテルズ
事業内容:シティホテルの経営・運営(首都圏で3施設、総客室数約800室)
資本金:〇億円 売上高:〇〇億円(20××年3月期) 従業員数:〇〇〇名
NG例
20××年4月〜現在 〇〇ホテル
事業内容:ホテル業
ホテル名だけで会社名がなく、業態も規模も分かりません。同業の採用担当者でも、どの程度の規模のホテルで働いていたのかを読み取れない書き方です。
事業内容とあわせて書く項目一覧
事業内容の前後には、会社の規模を示す項目を並べるのが一般的です。ホテルならではの項目もあるので、表で整理します。
| 項目 | 書き方の目安 | 確認先 |
|---|---|---|
| 会社名 | 「株式会社」まで含めた正式名称 | 雇用契約書・給与明細 |
| 事業内容 | 事業の種類+業態を1〜2行 | 会社の公式サイトの会社概要 |
| 資本金・売上高 | 公表されている数字と時点 | 会社概要・決算公告 |
| 従業員数 | 会社全体の人数 | 会社概要・採用ページ |
| 客室数 | 勤務したホテルの客室数 | ホテル公式サイトの施設概要 |
| 宴会場・料飲施設 | 宴会部門・料飲部門の経験者は記載 | ホテル公式サイト |
資本金や売上高が公開されていない会社では、無理に書く必要はありません。その場合は客室数や施設数など、ホテルの規模が分かる数字で補ってください。
【業態別】ホテルの事業内容の例文5パターン
同じ「ホテル」でも、業態によって添えるべき情報が変わります。自分の勤務先に近いものを選び、〇〇の部分を書き換えて使ってください。
シティホテルの場合
宿泊・宴会・料飲の3部門をもつシティホテルは、客室数に加えて宴会場やレストランの数を書くと、部門の幅広さが伝わります。
良い書き方(シティホテル)
株式会社〇〇ホテル
事業内容:シティホテルの経営(宿泊・宴会・婚礼・レストラン)
客室数:〇〇〇室 宴会場:〇室 レストラン・バー:〇店舗 従業員数:〇〇〇名
ビジネスホテル(チェーン)の場合
チェーン展開しているビジネスホテルは、全国の施設数と、自分が勤務した店舗の客室数を分けて書きます。会社全体の数字だけだと、現場の規模が伝わりません。
良い書き方(ビジネスホテル)
株式会社〇〇
事業内容:ビジネスホテルチェーンの運営(全国〇〇施設)
勤務先:〇〇ホテル〇〇駅前(客室数〇〇〇室、主な客層は出張利用の法人客)
リゾートホテルの場合
リゾートホテルは、立地と客層を添えると業務の特徴が伝わりやすくなります。インバウンド客の比率が高いホテルなら、語学を使う場面が多かったことの裏付けにもなります。
良い書き方(リゾートホテル)
株式会社〇〇リゾート
事業内容:リゾートホテルの経営(〇〇県〇〇市、全〇〇〇室)
宿泊客の多くがファミリー層と海外からの観光客で、年間を通じてレジャー需要が中心の施設
旅館の場合
旅館は、客室数が少なくても料理・接遇まで一体で担う業態である点を書くと、一人あたりの業務の幅が伝わります。旅館業法の営業種別は2018年の改正で「旅館・ホテル営業」にまとめられていますが、事業内容欄は「旅館の経営」と書けば問題ありません。
良い書き方(旅館)
有限会社〇〇
事業内容:温泉旅館の経営(客室数〇〇室、日帰り入浴・宴会プランあり)
従業員数:〇〇名
外資系ブランドホテルの場合
外資系ブランドのホテルは、ブランドを持つ会社と、日本で運営する会社、建物を所有する会社が別々であるケースが少なくありません。会社名は雇用主、ブランド名は補足という順番で書きます。
良い書き方(外資系ブランドホテル)
〇〇ホテルマネジメント株式会社
事業内容:国際ブランドホテルの運営受託
勤務先:〇〇(ブランド名)東京(客室数〇〇〇室、ラグジュアリー価格帯)
採用担当者はここを見ている
- 業態:シティホテル出身なら宴会・婚礼、ビジネスホテル出身なら少人数でのマルチタスクなど、業態から経験の中身を推測している
- 規模:客室数から1日のチェックイン件数や現場の慌ただしさを想像し、自社の現場に近いかを見ている
- 客層:法人・観光・インバウンドなど、自社の顧客と重なるかを確認している
運営会社とホテル名が違うときの書き分け方
ホテル勤務の人がいちばん手を止めやすいのが、この部分です。普段は名札にもメールの署名にもホテル名を使っているため、会社名をあらためて書こうとすると「どれが正しいのか」分からなくなるという人は少なくありません。
社名欄には雇用契約を結んだ会社を書く
判断基準はひとつです。雇用契約書や給与明細、源泉徴収票に記載されている会社名を社名欄に書いてください。ホテル名やブランド名は、その下に「勤務先」として補足します。
社名欄と、応募先が入社後に確認する書類の会社名が食い違うと、経歴の確認で手間がかかります。採用担当者に余計な疑問を持たせないためにも、書類上の雇用主に合わせるのが確実です。
運営形態別の書き方
日本のホテルは建物の所有者がそのまま運営する「直営」が多い一方で、所有と運営を別会社が担う形態もあります。自分の勤務先がどれに当たるかで、事業内容の書き方が少し変わります。
| 運営形態 | どんな状態か | 事業内容の書き方例 |
|---|---|---|
| 直営 | 所有する会社がそのまま運営している | ホテルの経営 |
| 運営受託(マネジメント・コントラクト) | オーナー会社から運営を任されている | ホテルの運営受託 |
| フランチャイズ | ブランドの使用契約を結び、自社で運営している | 〇〇ブランドのフランチャイズによるホテル運営 |
| 賃貸借(リース) | 建物を借りて自社で運営している | ホテルの運営 |
運営形態が分からない場合は、表の分類まで書かなくても構いません。「ホテルの運営」と書き、勤務先のホテル名を補足すれば十分に伝わります。
良い書き方(運営会社とホテル名が違う場合)
20××年4月〜現在 株式会社〇〇ホテルオペレーションズ
事業内容:ホテルの運営受託(全国〇施設)
勤務先:〇〇ホテル大阪(客室数〇〇〇室)
NG例
20××年4月〜現在 〇〇ホテル大阪 入社
ホテル名は会社名ではありません。運営会社名が抜けているため、入社後の書類確認で「経歴と違う」と受け取られるおそれがあります。
複数のホテルに異動した場合
同じ会社の中でホテル間を異動した場合、会社名と事業内容は1回だけ書き、その下に勤務したホテルを時系列で並べます。異動のたびに会社情報を繰り返すと、職務経歴書が長くなり読みにくくなります。
良い書き方(異動がある場合)
株式会社〇〇ホテルズ(20××年4月〜現在)
事業内容:ビジネスホテルチェーンの運営(全国〇〇施設)
20××年4月〜20××年3月 〇〇ホテル札幌(客室数〇〇〇室)フロント
20××年4月〜現在 〇〇ホテル名古屋(客室数〇〇〇室)フロント主任
異動が多くて1枚に収まらない場合は、ホテルごとの職務内容を表にまとめると行数を抑えられます。

採用担当者がホテルの事業内容で見ているポイント
事業内容の欄は数行ですが、採用担当者はここを読んでから職務内容に目を移します。最初の数行で「どんな現場にいた人か」がつかめないと、その先の実績も評価しにくくなります。
同業と異業種で見られ方が違う
| 応募先 | 採用担当者が知りたいこと | 事業内容で補うと良い情報 |
|---|---|---|
| 同業(ホテル・旅館) | 自社と近い業態・規模・客層か | 業態、客室数、価格帯、客層 |
| 異業種(営業・事務・販売など) | どんな顧客に、どんな価値を提供していた会社か | 顧客層、提供サービス、会社規模 |
同業への転職なら、業界用語のままでも通じます。一方、異業種の採用担当者は「シティホテル」と「ビジネスホテル」の違いを知らない場合もあるため、言葉を少し補う必要があります。
異業種へ転職するときの事業内容の書き方
異業種に応募するときは、「誰に・何を提供していた会社か」を一文で添えると、接客経験が応募先の仕事にどうつながるかが伝わりやすくなります。営業職なら営業の職務経歴書テンプレートの構成に合わせると、実績の並べ方も迷いません。
良い書き方(異業種へ応募する場合)
株式会社〇〇ホテル
事業内容:シティホテルの経営(客室数〇〇〇室)。国内外の個人客に加え、企業の会議・研修・懇親会の利用が売上の柱となっている
このように法人利用の比重を書いておくと、職務内容で「法人宴会の打ち合わせを担当」と書いたときに、営業経験としての説得力が増します。事務職を希望する場合は、事務の職務経歴書テンプレートを使い、予約管理や請求書作成といった事務寄りの業務を職務内容で前に出してください。
ホテルの事業内容がわからないときの調べ方と注意点
調べる順番
現場で働いていると、自社の資本金や従業員数を意識する機会はほとんどありません。次の順番で確認すると、短時間で必要な情報がそろいます。
- 雇用契約書・給与明細:正式な会社名を確認する
- 会社の公式サイトの「会社概要」:事業内容・資本金・従業員数を確認する
- ホテル公式サイトの「施設概要」「館内案内」:客室数・宴会場・レストランの数を確認する
- 採用ページ・決算公告:会社概要に載っていない数字を補う
運営会社の公式サイトが見つからない場合は、ホテル公式サイトの最下部にある「運営会社」「会社情報」のリンクをたどると見つかることが多いです。
非公開の数字は書かない
ホテル勤務の人が特に気をつけたいのが、社内でしか共有されていない数字の扱いです。稼働率や客室単価、個別の売上などは、現場で毎日見ている数字だけに、つい書きたくなります。
採用担当者はここを見ている
- 会社が公表していない稼働率や売上を書くと、「入社後に自社の情報も外へ出すのでは」と情報管理の意識を疑われる
- 数字を使いたいときは「前年比〇%改善」など、自分の成果を比率で示すほうが評価されやすい
- 公表されている数字は、いつ時点の数字かを「(20××年3月期)」のように添えてあると正確な人という印象になる
| NG例 | 正しい書き方 | 理由 |
|---|---|---|
| 〇〇ホテル 入社 | 株式会社〇〇(勤務先:〇〇ホテル) | ホテル名は会社名ではない |
| 事業内容:ホテル業 | 事業内容:シティホテルの経営(客室数〇〇〇室) | 業態と規模が伝わらない |
| 年間稼働率85% | 客室数〇〇〇室 | 非公開の社内数値は書かない |
| 売上高〇〇億円(時点なし) | 売上高〇〇億円(20××年3月期) | 時点がないと数字の正確さが伝わらない |
事業内容の次に書く職務内容へのつなげ方
事業内容は「会社が何をしているか」、職務内容は「その中で自分が何を担当したか」です。事業内容で業態と規模を示しておくと、職務内容は担当業務と実績だけに絞って書けます。
良い書き方(事業内容から職務内容への流れ)
株式会社〇〇ホテル
事業内容:シティホテルの経営(客室数〇〇〇室、宴会場〇室)
【職務内容】宿泊部 フロント課(20××年4月〜現在)
・チェックイン/アウト対応(1日平均〇〇〇件)
・予約管理システムを使った予約受付と変更対応
・新人スタッフ〇名の教育を担当し、対応マニュアルを改訂
アルバイトやパートでホテルに勤めていた場合も、事業内容の書き方は正社員と同じです。雇用形態は社名の横に「(アルバイト)」と添え、パート用の職務経歴書テンプレートに沿って担当業務を整理すると書きやすくなります。
職務経歴書とあわせて履歴書も提出する場合は、転職用の履歴書テンプレートを使い、職歴欄の会社名を職務経歴書と同じ表記にそろえてください。

まとめ
- 基本形:「ホテル・旅館事業」に業態と客室数を添えて1〜2行で書く
- 業態別:シティホテルは宴会場・料飲施設、チェーンは施設数と勤務店舗の客室数を添える
- 社名:雇用契約書・給与明細の会社名を書き、ホテル名やブランド名は「勤務先」として補足する
- 異業種:「誰に・何を提供していた会社か」を一文で補う
- 数字:公表されている数字だけを時点つきで書き、稼働率などの社内数値は書かない
事業内容の数行が整うと、その下に書く接客経験や実績が読み手に正しく伝わります。会社名と客室数の確認から始めてください。

職務経歴書のホテルの事業内容に関するよくある質問
- ホテルの事業内容は「宿泊業」と書いてもいいですか?
-
間違いではありませんが、「宿泊業」だけでは業態や規模が伝わりません。「シティホテルの経営(客室数〇〇〇室)」のように、業態と客室数を添えて書くと採用担当者が経験の中身をイメージしやすくなります。
- ホテル名と運営会社の名前が違う場合、どちらを書けばいいですか?
-
社名欄には、雇用契約書や給与明細に記載されている会社名を書いてください。ホテル名やブランド名は、その下に「勤務先:〇〇ホテル」と補足すれば、どちらの情報も正確に伝わります。
- 資本金や売上高が分からない場合は空欄でもいいですか?
-
公表されていない場合は、項目ごと省略して問題ありません。その代わりに客室数や施設数、従業員数など、ホテルの規模が分かる情報を入れておくと、会社の規模感は十分に伝わります。
- 旅館で働いていた場合も同じ書き方でいいですか?
-
基本は同じです。事業内容を「温泉旅館の経営」とし、客室数や宴会・日帰り入浴などの提供サービスを添えてください。旅館は一人が担う業務の幅が広い傾向があるため、その点を職務内容で具体的に書くと強みになります。

