履歴書の職歴欄は「退職」のみでも誤りではありませんが、正社員の自己都合退職なら「一身上の都合により退職」と書くのが一般的です。一方で、会社都合や契約期間満了の退職を「退職」だけで済ませると、自分の意思で辞めたと受け取られて損をすることがあります。この記事では、退職理由別の記載例と「キャリアアップのため退職」した場合の書き方を、採用担当者の見方とあわせて紹介します。
履歴書の職歴欄は「退職」のみでいい?結論と記載例
結論:「退職」のみでも誤りではないが、正社員の自己都合は「一身上の都合により退職」が無難
履歴書に退職理由を書く義務はなく、職歴欄に「退職」とだけ書いても書類として不備にはなりません。ただ、正社員の転職では「一身上の都合により退職」と添える書き方が定着しており、採用担当者も見慣れています。
「一身上の都合」は、キャリアアップ・結婚・転居・家族の介護など、自分側の事情で辞めた場合をまとめて表す定型文です。理由の中身を明かす言葉ではないため、書いても不利になる要素はありません。迷ったら定型文を添える、が実務上の正解です。
退職理由別の記載例
職歴欄の退職行は、退職の種類によって使う定型文が決まっています。自分がどれに当てはまるかを先に確認してください。
| 退職の種類 | 職歴欄の書き方 | 「退職」のみでよいか |
|---|---|---|
| 自己都合(転職・キャリアアップ・結婚・転居など) | 一身上の都合により退職 | 可。ただし定型文を添えるのが一般的 |
| 会社都合(倒産・事業所閉鎖・人員整理など) | 会社都合により退職 | 避ける。自己都合と誤解される |
| 契約期間満了(契約社員・派遣社員) | 契約期間満了につき退職 | 避ける。途中で辞めたと誤解される |
| アルバイト・パート | 退職 | 可 |
| 在職中 | 現在に至る | 退職行はまだ書かない |
良い書き方(正社員・自己都合の場合)
令和3年 4月 株式会社〇〇 入社
営業部に配属 法人営業を担当
令和7年 3月 一身上の都合により退職
NG例
令和3年 4月 〇〇 入社
令和7年 3月 退社
会社名を「株式会社」から書いていない点と、「退社」を使っている点がNGです。「退社」はその日の業務を終えて帰る意味でも使われるため、職歴欄では「退職」と書きます。
「退職」のみで問題ないケース
次のような場合は、定型文を付けずに「退職」とだけ書いても違和感はありません。
- アルバイト・パートの職歴:雇用期間が短く入れ替わりも多いため、「入社/退職」だけの記載が一般的
- 職歴が多く行数が足りない:自己都合の退職が続く場合、2社目以降を「退職」のみにして行数を節約する方法もある
- 応募先の指定フォーマットに理由欄がない:企業独自の書式で退職年月だけを記入する形式の場合
アルバイト経験を職歴としてまとめたい場合は、アルバイト向けの履歴書テンプレートを使うと職歴欄の行数を確保しやすくなります。
採用担当者はここを見ている
- 「退職」のみか定型文付きかで合否が決まることはない。見ているのは退職の種類と書き方が全社で統一されているか
- 1社目は「一身上の都合により退職」、2社目は「退職」のみ、とばらつくと雑な印象につながる

履歴書を「退職」のみで書くと損をする3つのケース
「退職」のみの記載が問題になるのは、採用担当者が自己都合で辞めたと読み取ってしまうケースです。次の3つに当てはまる人は、理由を省かずに書いてください。
ケース1:会社都合で退職した(倒産・事業所閉鎖・人員整理)
勤務先の倒産や事業縮小で辞めた場合、「退職」のみでは本人の意思で辞めたのか会社の事情なのかが伝わりません。会社都合と明記すれば、退職そのものが本人の評価に結びつきにくくなります。
良い書き方(会社都合の場合)
令和6年 9月 会社都合により退職
令和6年 9月 事業所閉鎖のため会社都合により退職(経緯を補足したい場合)
ケース2:契約期間満了で退職した(契約社員・派遣社員)
契約社員や派遣社員の場合、「退職」のみだと契約途中で辞めたように見えることがあります。契約期間を最後まで勤めた事実は、責任感の裏付けになる情報です。省かずに書いたほうが得をします。
良い書き方(契約期間満了の場合)
令和5年 4月 株式会社〇〇 契約社員として入社
令和7年 3月 契約期間満了につき退職

ケース3:短期離職や空白期間が長い
在籍1年未満の退職や、退職から次の入社まで半年以上空いている場合、「退職」のみでは採用担当者が理由を推測するしかありません。推測はたいてい悪い方向に働きます。
この場合は、職歴欄に1行で事情を補足するのが有効です。病気療養・家族の介護・資格取得の勉強など、空白の理由と「現在は就業に支障がない」ことを短く添えると、面接に呼ぶかどうかの判断材料になります。
良い書き方(空白期間がある場合)
令和6年 3月 一身上の都合により退職
(家族の介護のため。現在は介護体制が整い、フルタイム勤務が可能)
採用担当者はここを見ている
- 入社から退職までの期間:短い場合は「うちでもすぐ辞めるのでは」と考える
- 退職から次の入社までの期間:空白が長いと、その間に何をしていたかを知りたくなる
- 退職の種類:会社都合・契約満了なのに「退職」のみだと、本人の情報整理力を疑われる場合もある
キャリアアップのため退職した場合の履歴書の書き方
職歴欄は「一身上の都合により退職」が基本
キャリアアップを理由にした退職は自己都合退職にあたります。そのため職歴欄は、ほかの自己都合退職と同じく「一身上の都合により退職」と書くのが基本です。
「キャリアアップ」は前向きな言葉なので書きたくなりますが、職歴欄は事実を並べる場所です。何をどう伸ばしたいのかまで書くスペースはなく、言葉だけが浮いてしまいます。キャリアアップの中身は、志望動機欄・職務経歴書・面接で伝えるほうが説得力が出ます。
「キャリアアップのため退職」と書くなら志望動機とセットで
「キャリアアップのため退職」と職歴欄に書くこと自体はマナー違反ではありません。ただし書いた場合、面接ではほぼ確実に次のような質問を受けます。
- 前の会社では、なぜそのキャリアアップができなかったのですか
- 具体的にどんなスキルや役割を身につけたいのですか
- 当社で働くと、それがどう実現できると考えていますか
この3つに答えられない状態で書くと、「キャリアアップ」が不満を言い換えただけの言葉に聞こえてしまいます。書くなら、志望動機欄の内容と一本の線でつながっているかを提出前に確認してください。
良い書き方(キャリアアップを補足する場合)
令和7年 3月 一身上の都合により退職
(法人営業から営業企画へのキャリアアップのため)
NG例
令和7年 3月 キャリアアップのため退職(前職では評価されず成長できる環境がなかったため)
前職への不満が透けて見え、長文で職歴欄のバランスも崩れています。不満を理由に書くと、入社後も同じ不満で辞めるのではと受け取られます。
志望動機でキャリアアップを伝える例文
職歴欄は定型文にとどめ、キャリアアップの中身は志望動機欄で具体的に書くのがおすすめです。「前職で得た経験」「次に伸ばしたいこと」「応募先でそれができる理由」の3点を入れると、退職理由と志望動機が自然につながります。
良い例文(志望動機欄)
前職では4年間、法人営業として中小企業向けの新規開拓を担当し、2年目以降は個人目標を毎期達成してきました。現場で顧客の声を集めるうちに、営業戦略や販促施策の立案に携わりたいと考えるようになりました。貴社は営業企画部門が現場営業と同じフロアで施策を検討しており、顧客接点の経験を企画に生かせると考え志望しました。
転職者向けの書式は職歴欄と志望動機欄が広めに取られているものが多いため、転職向けの履歴書テンプレートを選ぶと補足を書き込む余裕ができます。
採用担当者が履歴書の「退職」から読み取っていること
退職の書き方で見られる3つのポイント
採用担当者は退職行の文言そのものより、職歴欄全体の流れを見ています。「退職」のみにするか定型文を付けるかで悩むより、次の3点が整っているかを確認したほうが通過率に直結します。
採用担当者はここを見ている
- 表記の統一:全社で同じ定型文を使っているか。和暦・西暦が混ざっていないか
- 事実との一致:会社都合・契約満了を自己都合のように書いていないか。面接での説明と食い違わないか
- 次の行動とのつながり:退職から応募までの流れに説明がつくか。志望動機と矛盾しないか
「退社」ではなく「退職」と書く理由
「退社」には「会社を辞める」のほかに「その日の勤務を終えて帰る」という意味があります。また、病院・学校・官公庁など会社以外の勤務先には「退社」が合いません。勤務先の種類を問わず使える「退職」に統一しておけば、書き分けで迷うことがありません。
在職中は「現在に至る」、最後は「以上」
在職中に応募する場合は退職行を書かず、最後の職歴の次の行に「現在に至る」と書きます。退職日が決まっていれば「現在に至る(令和〇年〇月退職予定)」と添えると、入社可能時期が伝わります。職歴を書き終えたら、次の行の右端に「以上」と書いて締めます。
良い書き方(在職中・退職予定の場合)
令和3年 4月 株式会社〇〇 入社
現在に至る(令和7年12月退職予定)
以上
どの書式を使えばよいか迷う場合は、性別欄が任意記載になっている厚生労働省の様式例に沿った履歴書テンプレートを選んでおけば、多くの応募先でそのまま使えます。
履歴書の退職でよくあるNG例と正しい書き方
職歴欄の退職行で見落としやすい間違いをまとめました。提出前のチェックに使ってください。
| NG例 | 正しい書き方 | 理由 |
|---|---|---|
| 令和7年3月 退社 | 令和7年3月 一身上の都合により退職 | 「退社」は帰宅の意味でも使われる |
| 倒産したのに「退職」のみ | 会社都合により退職 | 自己都合で辞めたと誤解される |
| 契約満了なのに「一身上の都合により退職」 | 契約期間満了につき退職 | 途中で辞めたように見える |
| 人間関係が悪く退職 | 一身上の都合により退職 | 前職への不満は職歴欄に書かない |
| 会社ごとに「退職」と定型文が混在 | 同じ種類の退職は同じ文言に統一 | 雑な印象を与える |
| 在職中なのに退職予定日を書かず「退職」 | 現在に至る(令和〇年〇月退職予定) | 事実と異なる記載になる |
パート勤務の職歴が多い人は、パート向けの履歴書テンプレートを使うと「退職」のみの行を並べても見やすく収まります。

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まとめ
- 「退職」のみでも誤りではない:ただし正社員の自己都合は「一身上の都合により退職」を添えるのが一般的
- 会社都合・契約満了は理由を省かない:「退職」のみだと自己都合や途中退職と誤解される
- 短期離職・長い空白は1行で補足:理由と現在の就業状況を短く添える
- キャリアアップのため退職した場合:職歴欄は定型文にとどめ、中身は志望動機で具体的に書く
- 表記は全社で統一:「退社」ではなく「退職」、同じ種類の退職は同じ文言にそろえる
退職行の書き方に迷ったら、自分の退職がどの種類にあたるかを先に決めると、書く文言は自然に決まります。
履歴書の退職の書き方に関するよくある質問
- 履歴書の職歴欄に「退職」とだけ書いたら落とされますか?
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「退職」のみという理由だけで不採用になることは考えにくいです。ただし正社員の自己都合退職では「一身上の都合により退職」と書くのが一般的なので、これから書くなら定型文を添えておくと無難です。会社都合や契約期間満了の場合は、理由を省くと自己都合と受け取られるため書き分けてください。
- 「キャリアアップのため退職」と履歴書に書いてもいいですか?
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書いてもマナー違反ではありません。ただし面接で「前職ではなぜ実現できなかったのか」「何を伸ばしたいのか」を必ず聞かれるため、答えを用意したうえで書いてください。職歴欄は「一身上の都合により退職」にとどめ、キャリアアップの中身は志望動機欄で具体的に書く方法もおすすめです。
- アルバイトやパートの退職も「一身上の都合により退職」と書くべきですか?
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アルバイト・パートの職歴は「退職」のみで問題ありません。正社員の職歴と並べて書く場合は、正社員分だけ定型文を付けても違和感はありません。同じ雇用形態の中で表記がばらつかないようにそろえてください。
- すでに「退職」のみで提出してしまいました。訂正の連絡は必要ですか?
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自己都合退職を「退職」のみで書いた程度であれば、事実と異なるわけではないので訂正の連絡は不要です。会社都合や契約期間満了を「退職」のみにしていた場合は、面接で退職理由を聞かれたときに正確に説明すれば問題ありません。

