臨床心理士・カウンセラーの職務経歴書は、患者や利用者の個人情報を伏せたまま、対応件数や連携実績を数値で示すのが正解です。経歴要約・職務内容・自己PRのサンプルを勤務先の種類別に紹介し、公認心理師や産業カウンセラーとの資格名称の書き分けまで、採用担当者が実際に見ているポイントとあわせて解説します。
臨床心理士・カウンセラーの職務経歴書サンプル
結論|守秘義務を守りながら数値で実績を伝えるのが基本
臨床心理士やカウンセラーの職務経歴書で採用担当者に伝わるのは、患者や利用者を特定できる情報ではなく、対応した年代・症状の傾向・件数・連携先といった匿名化された実績です。個人情報保護法や職業倫理綱領で定められた守秘義務を守りながら、経験の幅と専門性を数字で示すことが、書類選考を通過する職務経歴書の共通点です。
経歴要約のサンプル
経歴要約は3〜5行で、勤務先の種類・対象者層・担当業務の概要をまとめます。以下は精神科クリニックに勤務した場合のサンプルです。
良い例文(経歴要約)
大学院修了後、精神科クリニックにて臨床心理士として6年間勤務。思春期から成人まで幅広い年代の来談者を対象に、心理検査の実施と個別カウンセリングを担当。医師・精神保健福祉士との多職種連携のもと、年間150件以上の面接を継続的に実施してきました。
NG例
心理カウンセラーとして勤務し、相談業務を担当していました。多くの方の悩みに向き合い、日々成長してきました。担当した年代・件数・連携先が一切書かれていないため、採用担当者は業務の規模や専門領域を判断できません。
採用担当者はここを見ている
- 担当した年代・症状の傾向が明記されているか
- 面接件数や継続期間など、業務の規模がわかる数字があるか
- 医師・スクールカウンセラー・人事担当者など多職種との連携経験が読み取れるか
職務内容のサンプル
職務内容は勤務先ごとに、担当業務と実績を分けて書きます。スクールカウンセラーの場合のサンプルです。
良い例文(職務内容・スクールカウンセラー)
- 週2日勤務、生徒・保護者・教員を対象とした個別相談を月間20〜25件担当
- 不登校傾向のある生徒について、担任・養護教諭とのケース会議に月1回参加
- 教職員向けのメンタルヘルス研修を年2回企画・実施
NG例
スクールカウンセラーとして生徒や保護者からの相談に対応していました。頻度・件数・連携先が書かれておらず、常勤なのか週数日の勤務なのかも読み取れません。
自己PRのサンプル
自己PRはテーマを1〜2個に絞り、現場で培った力を応募先でどう活かせるかまで書きます。
良い例文(自己PR)
初回面接では主訴の整理と信頼関係の構築を最優先し、来談者が安心して話せる場をつくることを意識してきました。前職では、他機関からの紹介ケースについて申し送り情報を的確に読み取り、初回面接内で方針を共有する対応を継続し、関係機関からの再紹介につながった実績があります。この経験を、貴院での多職種連携にも活かしたいと考えています。
NG例
私は傾聴力とコミュニケーション能力に自信があります。人の話をしっかり聞き、丁寧に対応することを心がけてきました。具体的な場面や実績が伴わない抽象的な自己PRは、他の応募者との差別化になりません。
職務経歴書の基本構成と書く順番
臨床心理士・カウンセラーの職務経歴書は、以下の順番で構成すると採用担当者が読みやすくなります。
| 順番 | 項目 | 内容 |
|---|---|---|
| 1 | タイトル・日付・氏名 | 「職務経歴書」の表題、提出日、氏名を明記 |
| 2 | 経歴要約 | 勤務先の種類・対象者層・担当業務を3〜5行で要約 |
| 3 | 職務経歴詳細 | 勤務先ごとの業務内容・実績を具体的に記載 |
| 4 | 資格・免許 | 臨床心理士・公認心理師など正式名称で記載 |
| 5 | 自己PR | 専門性と再現性のあるスキルを1〜2テーマに絞って記載 |
フォーマットに迷う場合は、医療業界向けの職務経歴書テンプレートやハローワーク用の職務経歴書テンプレートを土台にすると、項目の抜け漏れを防げます。手書きかパソコンかで迷う場合は、指定がなければパソコン作成が基本です。

採用担当者が臨床心理士・カウンセラーの職務経歴書で見ているポイント
臨床心理士・カウンセラーの採用担当者は、資格の有無だけでなく、現場で培った力が応募先でも再現できるかを見ています。傾聴力やアセスメント力といった抽象的な言葉は、次のように具体的な場面へ翻訳すると伝わりやすくなります。
| 抽象的な力 | 職務経歴書での翻訳例 |
|---|---|
| 傾聴力 | 初回面接で主訴を整理し、来談者が安心して話せる場をつくる対応 |
| アセスメント力 | 心理検査の実施・所見作成を年間〇件担当 |
| 多職種連携 | 医師・教員・人事担当者との情報共有、ケース会議への参加実績 |
| 継続学習 | スーパービジョンや事例検討会への参加頻度 |
採用担当者はここを見ている
- 対応してきた症例・年代の幅が、応募先の対象者層と重なるか
- 一人で抱え込まず、多職種と連携できる姿勢があるか
- 研修や学会参加など、専門性を更新し続ける習慣があるか
守秘義務を守りながら実績を数字で示す方法
「守秘義務があるから具体的に書けない」という悩みは、臨床心理士・カウンセラーの職務経歴書で特に多い相談です。個人が特定される情報と、業務の規模を示す数字は別物だと整理すると書きやすくなります。
| 書いてはいけない情報 | 書いてよい情報 |
|---|---|
| 来談者の氏名・生年月日・具体的な生活状況 | 「思春期の来談者」「抑うつ傾向のある社会人」など属性での表現 |
| 診断名や病歴の詳細な記述 | 「気分障害領域」「発達に関する相談」など分野レベルの表現 |
| 特定の事例の詳細な経緯 | 面接件数・継続率・研修受講数などの数値 |
勤務先や制度の名称(スクールカウンセラー配置事業、EAPプログラムなど)は書いても差し支えありませんが、個人が特定されうる詳細とセットで記載しないよう注意してください。
勤務先の形態別|病院・スクール・企業EAPで書き方はどう変わるか
臨床心理士・カウンセラーの勤務先は多岐にわたるため、対象者層とアピールすべき実績も変わります。
| 勤務先 | 主な対象者 | アピールすべき実績 |
|---|---|---|
| 病院・クリニック | 患者、家族 | 心理検査の実施件数、医師との連携、治療方針への貢献 |
| スクールカウンセラー | 児童・生徒、保護者、教員 | 相談件数、ケース会議への参加、教職員研修の実施 |
| 企業EAP・産業カウンセラー | 従業員、人事担当者 | ストレスチェック後の面談件数、休職者の復職支援実績 |
非常勤やパートなど複数の勤務先を掛け持ちしている場合は、福祉業界の職務経歴書テンプレートや派遣の職務経歴書テンプレートのように、勤務先ごとに枠を分けて時系列で整理する書式が参考になります。
公認心理師・臨床心理士・産業カウンセラーなど資格名称の正しい書き方
資格・免許欄は略称や通称ではなく、登録証や合格証書に記載された正式名称で書きます。臨床心理士は「臨床心理士資格認定協会」認定資格、公認心理師は国家資格であり、両方を保有している場合はそれぞれ別項目として記載します。
NG例
心理カウンセラーの資格を保有。「臨床心理士」と「公認心理師」を同じ資格として混同して記載したり、産業カウンセラーを「産業カウンセラー協会認定」のように独自の略称で書いたりすると、資格の実態が正しく伝わりません。
公認心理師の履歴書における正式名称の書き方は、以下の記事でも詳しく解説しています。


まとめ
- 経歴要約・職務内容・自己PRは、匿名化した年代・件数・連携先で実績を示す
- 守秘義務の対象は個人が特定される詳細であり、業務規模を示す数字とは分けて考える
- 病院・スクール・企業EAPなど勤務先ごとにアピールすべき実績が異なる
- 臨床心理士・公認心理師・産業カウンセラーは正式名称で書き分ける
自分の経験を数値と役割で言語化できれば、守秘義務を守ったままでも十分に専門性は伝わります。今回のサンプルを土台に、勤務先ごとの経験を当てはめて仕上げてください。
臨床心理士・カウンセラーの職務経歴書に関するよくある質問
- 臨床心理士とカウンセラーで職務経歴書の書き方に違いはありますか?
-
基本の構成は同じですが、臨床心理士は心理検査や医師との連携を、産業カウンセラーやスクールカウンセラーは相談件数や関係者との調整実績を中心に書くと、それぞれの現場に即した内容になります。
- 個人が特定される情報はどこまで書いてはいけませんか?
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氏名・生年月日・具体的な生活状況、特定できる事例の経緯は避けてください。年代や症状の傾向、相談分野といった属性レベルの表現であれば、守秘義務に触れずに実績を伝えられます。
- 経験年数が浅い場合、自己PRで何を書けばいいですか?
-
件数などの実績が少ない段階では、大学院での研究テーマや実習先での経験、受講したスーパービジョンの内容など、専門性を積み上げてきた過程を具体的に書くと説得力が出ます。
- 非常勤やパートで複数の勤務先がある場合はどうまとめますか?
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勤務先ごとに「勤務日数」「担当業務」「実績」の枠を分けて時系列で並べると整理しやすくなります。掛け持ちであることを隠さず、幅広い現場経験として前向きに伝えましょう。

