退職願は「一身上の都合により、退職いたしたくお願い申し上げます」と伺いを立てる形で書くのが正解です。退職届と混同すると後戻りできない書類を出してしまうことになるため、まだ上司に一度も退職の話をしていない段階の方は特に注意が必要です。この記事では状況別の例文と、人事・総務担当者が実際の手続きで確認しているポイントまで解説します。
退職願の書き方と例文【結論】
結論
退職願は「退職させてください」とお願いする書類のため、文末は必ず「お願い申し上げます」のように伺いを立てる表現で締めます。退職理由は原則「一身上の都合により」と書き、細かい事情までは記載しません。会社の承諾を前提とした書類なので、承諾される前であれば撤回できる余地が残っている点が退職届との最大の違いです。
【状況別】退職願の例文
立場によって宛名や書式の細部は変わりますが、基本の構成は共通です。まずは正社員の場合の例文から確認してください。
良い例文(正社員の場合)
退職願
私事
この度、一身上の都合により、令和〇年〇月〇日をもって退職いたしたく、ここにお願い申し上げます。
令和〇年〇月〇日
〇〇部〇〇課 山田太郎
株式会社〇〇 代表取締役〇〇〇〇殿
NG例
退職願
私事、一身上の都合により、令和〇年〇月〇日をもって退職いたします。
「お願い申し上げます」ではなく言い切ってしまうのはNGです。これでは退職届と変わらず、会社が承諾する前に退職が確定したかのような印象を与えてしまいます。
パートやアルバイトの場合も、正社員と同じ書式・敬語を使うのが基本です。宛名は雇用契約書に記載された事業主名か、日頃やり取りしている店長・エリアマネージャーの名前にします。
良い例文(パート・アルバイトの場合)
退職願
私事
この度、一身上の都合により、令和〇年〇月〇日をもって退職いたしたく、ここにお願い申し上げます。
令和〇年〇月〇日
〇〇店 鈴木花子
株式会社〇〇 店長〇〇〇〇様
NG例
退職願
一身上の都合により退職します。いつでもいいので早めにお願いします。
退職日が具体的でなく、言い切り表現にもなっています。パート・アルバイトだからと書式を簡略化せず、正社員と同じ構成で作成してください。
人事・総務担当者はここを見ている
- 文末が「お願い申し上げます」など、伺いを立てる表現になっているか
- 退職日が確定した表現か、上司と相談中の段階かを言葉づかいから読み取っている
- 押印や日付など、書式として最低限整っているか
退職願と退職届・辞表の違い|迷ったら「撤回できるか」で選ぶ
退職願・退職届・辞表は似た言葉のため混同されがちですが、性質はまったく異なります。次の表で違いを確認してください。
| 項目 | 退職願 | 退職届 | 辞表 |
|---|---|---|---|
| 意味 | 退職を「お願い」する意思表示 | 退職を「通知」する確定書類 | 役員・公務員などが退職を表明する書類 |
| 撤回 | 会社が承諾する前なら可能な場合が多い | 提出後は原則不可 | 立場によって扱いが異なる |
| 提出時期 | 退職を伝える最初の段階 | 退職日・引き継ぎで合意した後 | 辞任を決めた段階 |
| 法的効力 | 労働契約はまだ終了しない | 提出から2週間で契約終了(民法627条) | 雇用契約でなく委任・任命関係に基づく |
| 対象者 | 一般の会社員・パート・アルバイト | 一般の会社員・パート・アルバイト | 取締役・執行役員・公務員など |
迷ったときは、以下の基準で選んでください。
- まだ上司に何も伝えていない:退職願を出し、口頭での相談から始める
- 強い引き止めが予想され、確実に辞めたい:退職願を省略し退職届で意思を確定させる
- 円満退職を優先したい:退職願で意向を伝え、合意を得てから退職届を提出する
- 会社が退職願の提出を求めない:就業規則を確認し、退職届のみで手続きを進める
退職後にすぐ次の転職活動を始める方は、転職用の履歴書テンプレートもあわせて準備しておくと、退職と応募のスケジュールが重なっても慌てずに済みます。
退職願はいつ・誰に出す?提出のタイミングと流れ
提出の一般的な流れ
退職願から退職届までの流れは、次の順番で進めるのが一般的です。
- 直属の上司に口頭で退職の意向を伝える
- 退職願を作成し、上司の都合の良いタイミングで手渡す
- 退職日・引き継ぎ方法について話し合う
- 合意ができたら、会社の運用に応じて退職届を提出する
上司にまだ何も伝えていない場合の切り出し方
書類を用意する前に、まず口頭で相談するのが円満退職への近道です。会議室や個室など人目のない場所で「少しお時間をいただけますか」と切り出し、書類はその場に持参するか、話がまとまった後日に渡します。
- 繁忙期やチームの重要な局面を避けたタイミングを選ぶ
- 退職理由を詰め込みすぎず、「一身上の都合」で伝えるにとどめる
- 希望退職日には幅を持たせ、引き継ぎの相談ができる余地を残す
パートや契約社員の場合も基本の流れは同じです。次の応募先を探しながら手続きを進める方は、パート用の履歴書テンプレートも並行して確認しておくと安心です。

退職願の封筒・便箋の書き方とマナー
退職願は白無地の便箋・封筒に手書きで作成するのが基本です。用意するものは以下のとおりです。
- 便箋:白無地(罫線なしが望ましい)
- 封筒:白無地の長形3号または長形4号
- 筆記具:黒の万年筆またはボールペン(消えるボールペンは不可)
- 印鑑:認印(シャチハタは避ける)
折り方・入れ方
便箋は三つ折りにし、書き出しが封筒の表側から見て右上にくるように入れます。封筒の表中央に「退職願」、裏の左下に所属部署とフルネームを記載してください。
渡し方
直属の上司へ、会議室など人目のない場所で手渡しするのが基本のマナーです。郵送は上司が長期不在などやむを得ない場合のみとし、その際は「親展」と明記して控えを手元に残しておきます。デスクに置いたり、同僚経由で渡したりするのは避けてください。
退職後、アルバイトとして新しい職場に応募する予定がある方は、アルバイト用の履歴書テンプレートもあわせて確認しておくと、応募までの動きがスムーズになります。

退職願を出すときに注意したいNGパターン
退職願は書式さえ守れば難しい書類ではありませんが、次のような対応は手続きが長引く原因になります。
拒否・引き止められた場合の対処法
退職願はあくまで「お願い」のため、上司に強く引き止められることがあります。無期雇用契約であれば、民法627条により退職の意思表示から2週間が経過すれば労働契約は終了するため、最終的には退職できます。話し合いが平行線をたどる場合は、退職願にこだわらず退職届に切り替えて意思を確定させるのも選択肢です。
撤回したくなった場合の対応
会社が正式に承諾する前であれば、撤回できる可能性があります。撤回を申し出るときは、口頭だけで済ませず直属の上司に改めて時間をとってもらい、書面を回収してもらったかどうかまで確認しておくと後のトラブルを防げます。
会社都合退職なのに「一身上の都合」と書いてしまうミス
リストラや退職勧奨など会社都合退職の場合に「一身上の都合により」と書いてしまうと、離職票の離職理由と食い違い、受け取れるはずの失業給付の条件に影響することがあります。会社都合退職かどうかに迷ったら、書類を作成する前に人事へ確認してください。
体裁を整える自信がない場合は、厚生労働省の規格に沿った履歴書テンプレートのような公的な様式を一度見ておくと、退職願の見た目のバランスも取りやすくなります。

まとめ
- 退職願は「お願い申し上げます」で締める、承諾前なら撤回できる書類
- まだ上司に相談していない段階は退職願、意思を確定させる段階は退職届を使う
- 白無地の便箋・封筒を使い、直属の上司へ手渡しするのが基本
- 会社都合退職の場合は「一身上の都合により」と書かない
書式と伝え方の順番を守れば、余計なやり取りなく退職の手続きを進められます。
退職願に関するよくある質問
- 退職願を出した後、やっぱり辞めるのをやめることはできますか?
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会社が正式に承諾する前であれば、撤回できる可能性があります。承諾後や退職届を提出した後は、原則として撤回は認められません。
- 退職願は手書きとパソコンのどちらで作成すべきですか?
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どちらで作成しても失礼にはあたりません。氏名欄だけ本人確認の意味を込めて手書きにし、押印すれば十分です。会社に指定の様式がある場合はそちらに従ってください。
- 退職願を出さずに退職届だけ提出しても問題ないですか?
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会社によっては退職願を省略し、退職届のみで手続きを進めるところもあります。就業規則や過去の慣例を確認したうえで、特に指定がなければ退職届のみでも問題ありません。
- パートやアルバイトでも退職願は必要ですか?
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法律上は口頭の申し出だけでも退職の意思表示は可能ですが、記録を残す意味で退職願を提出しておくと後々のトラブルを避けやすくなります。契約書に定めがある場合はその内容に従ってください。

