職務経歴書の事業内容欄は、市役所の場合「地方自治体として住民向けの行政サービスを提供」と1行で書けば十分です。資本金や売上高のように市役所にはない項目は、職員数や予算規模で置き換えます。この記事では、会社概要欄の記載例、部署別に民間へ伝わる言い換え、会計年度任用職員や出向経験の書き方まで、採用担当者の視点でまとめました。
市役所の事業内容の書き方と記載例【職務経歴書】
結論:事業内容は「行政サービスの提供」+担当分野を1〜2行で書く
職務経歴書の「事業内容」は、勤めていた組織が何をしているかを採用担当者に一目で伝えるための欄です。市役所であれば、組織全体の役割を1行、自分が所属した分野を1行で書けば足ります。
地方自治法第1条の2では、地方公共団体の役割を「住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する」と定めています。事業内容欄では、この役割を民間の人にも伝わる言葉に置き換えて書きます。
- 1行目(組織全体):地方自治体として、住民サービス・福祉・税務・まちづくり等の行政サービスを提供
- 2行目(担当分野):所属部署が担う事業を「誰に・何を」の形で一言添える
市役所の会社概要欄の記載例
民間企業の職務経歴書では、勤務先名の下に「事業内容・資本金・従業員数」を並べるのが一般的です。市役所の場合は次のように書きます。
良い書き方(市役所の会社概要欄)
■〇〇市役所(20〇〇年4月〜現在)
事業内容:地方自治体として、人口約〇万人の市民に向けた行政サービス(住民窓口・福祉・税務・都市整備等)を提供
職員数:約〇〇〇名(正規職員)/一般会計予算:約〇〇〇億円(令和〇年度)
雇用形態:正職員(一般行政職)
NG例
■〇〇市役所
事業内容:行政
資本金:なし 従業員数:不明
「行政」の一言では規模も担当分野も伝わりません。「なし」「不明」が並ぶと、自分の勤務先を調べていない印象になります。
人口・職員数・予算は、市の公式サイトで確認できます。職員数は、地方公務員法第58条の2に基づいて各自治体が毎年公表している「人事行政の運営等の状況」に部局別の人数が載っていることが多く、予算は「当初予算の概要」などのページにまとまっています。
資本金・売上高・従業員数の欄はどう埋める?
市役所は株式会社ではないため、資本金も売上高もありません。職務経歴書は自由形式の書類なので、市役所に存在しない項目は欄ごと削除し、規模が伝わる別の数字に置き換えるのが正解です。
| 民間企業の項目 | 市役所での書き方 |
|---|---|
| 事業内容 | 行政サービスの提供+担当分野(例:住民窓口・福祉・税務) |
| 資本金 | 欄ごと削除する(「なし」と書かない) |
| 売上高 | 一般会計予算の規模に置き換える(例:一般会計予算 約〇〇〇億円) |
| 従業員数 | 職員数を書く(正規職員のみか、会計年度任用職員を含むかを明記) |
| 上場区分 | 不要 |
| (市役所ならではの追加項目) | 人口・世帯数など「サービスの相手の規模」 |
ハローワークで配布されている職務経歴書の様式にも「事業概要・従業員数・資本金」の欄があります。この様式を使う場合も同じ考え方で、資本金欄には何も書かず、事業概要欄に予算規模を添えれば十分です。様式そのものはハローワーク用の職務経歴書テンプレートから入手できます。
部署別|所属課の事業内容を民間に伝わる言葉で書く例
市役所全体の事業内容は1行で済みますが、評価を分けるのは「所属していた課が何をしていたか」の書き方です。民間の採用担当者には、課の名前だけでは仕事の中身が想像できません。課の名前を、民間企業の部門名や業務名に置き換えて書くと伝わり方が変わります。
| 所属部署 | 民間に伝わる事業内容の書き方 | 近い民間の職種 |
|---|---|---|
| 市民課・戸籍住民課 | 住民票・戸籍・マイナンバー関連の窓口対応、申請審査 | 窓口業務、カスタマーサポート |
| 税務課・収納課 | 市税の課税計算、納付案内、滞納債権の回収 | 経理、債権管理 |
| 福祉課・介護保険課 | 生活支援・介護保険の申請受付と給付審査、関係機関との調整 | 相談員、審査業務 |
| 財政課 | 市全体の予算編成、各部署の予算要求の査定 | 経営企画、予算管理 |
| 企画課・広報課 | 施策の企画立案、広報紙・ウェブサイトの企画編集 | 企画、広報・PR |
| 土木課・建築課 | 道路・公共施設の工事発注、設計内容の確認、施工監理 | 施工管理、発注者側の技術職 |
| 商工観光課 | 地元企業向け補助金の運用、イベント運営、特産品の販路開拓 | 法人営業、イベント企画 |
| 情報政策課 | 庁内システムの調達・運用、ネットワーク管理 | 社内SE、情報システム |
窓口部署(市民課・税務課など)の記載例
窓口部署の経験は「対応件数」と「正確さが求められた業務」をセットで書くと、事務職や接客職への応募で評価されやすくなります。
良い書き方(市民課の場合)
20〇〇年4月〜20〇〇年3月 市民課(課員〇名)
事業内容:住民票・戸籍・転入転出の届出受付と証明書発行
業務内容:
・窓口での申請受付・審査(1日平均〇〇件)
・繁忙期(3〜4月)の待ち時間短縮のため、受付票の記入例を作り直し、平均待ち時間を約〇分短縮
・新任職員〇名への業務指導
事務職への応募を考えている場合は、事務職向けの職務経歴書テンプレートに上の内容を当てはめると、項目の並びを一から考えずに済みます。
技術部署(土木課・建築課など)の記載例
技術職の場合は、担当した工事の種類・件数・金額規模を書きます。発注者側の立場で工事に関わった経験は、建設会社やコンサルタント会社で即戦力として見られる材料です。
良い書き方(土木課の場合)
20〇〇年4月〜20〇〇年3月 建設部 土木課(課員〇名)
事業内容:市道・橋りょう・公園など公共施設の整備と維持管理
業務内容:
・道路改良工事の発注・監督(年間〇件、1件あたり〇〇〇万〜〇億円規模)
・設計図書の確認、施工業者との工程・品質の協議
・工事に関する住民説明会の運営(年〇回)
建設業界へ転職する場合は、建設業界向けの職務経歴書テンプレートのように工事実績を一覧で示せる形式が向いています。
部署名だけを書くのはNG
NG例
20〇〇年4月 〇〇部〇〇課に配属
20〇〇年4月 〇〇部〇〇課に異動
所管事務の処理に従事
課の名前と「所管事務」だけでは、何をしていた人なのか採用担当者には読み取れません。
採用担当者はここを見ている
- 市役所の組織図を知っている採用担当者はほとんどいない。課の名前より「誰に何を提供していたか」で判断している
- 表の右列のように民間の職種名に近づけて書いてあると、自社のどの部署で活躍できるかを想像しやすい
公務員の立場別|職務経歴書の事業内容の書き方
同じ市役所勤務でも、異動の回数や雇用形態によって書き方の工夫が変わります。自分に当てはまるケースを確認してください。
異動が多い正規職員の場合
市役所の正規職員は3〜5年程度で異動することが多く、職歴を時系列で並べると部署がいくつも続きます。市役所全体の事業内容は冒頭に1回だけ書き、部署ごとに「事業内容」を1行ずつ添える形にすると、読みやすさが保てます。
良い書き方(異動が3回ある場合)
■〇〇市役所(20〇〇年4月〜現在)
事業内容:地方自治体として人口約〇万人の市民に行政サービスを提供
職員数:約〇〇〇名/一般会計予算:約〇〇〇億円
①20〇〇年4月〜 税務課:市税の課税計算・納付案内
②20〇〇年4月〜 福祉課:生活支援の申請審査・関係機関との調整
③20〇〇年4月〜現在 財政課:市全体の予算編成(各部署の予算要求の査定・ヒアリング)
部署が多くて1枚に収まらない場合は、応募先の仕事に近い部署を詳しく、遠い部署は1行で済ませて構いません。全部署を同じ分量で書く必要はありません。
会計年度任用職員・臨時職員の場合
会計年度任用職員も、事業内容の書き方は正規職員と同じです。違いは雇用形態と任用期間を明記する点です。会計年度任用職員は1会計年度ごとの任用のため、更新して働いた場合はその旨を書くと、継続して評価されていたことが伝わります。
良い書き方(会計年度任用職員の場合)
■〇〇市役所(20〇〇年4月〜20〇〇年3月)
事業内容:地方自治体として市民向けの行政サービスを提供
雇用形態:会計年度任用職員(パートタイム・週〇日勤務)※任用を〇回更新
所属:子育て支援課
業務内容:児童手当の申請書類の確認・データ入力(月平均〇〇件)、窓口・電話での問い合わせ対応

外郭団体・他自治体へ出向した場合
出向先が観光協会や社会福祉協議会などの外郭団体の場合は、出向先の事業内容も別に書きます。所属はあくまで市役所なので、市役所の経歴の中に出向期間を入れ子にして書くと混乱しません。
良い書き方(出向経験がある場合)
20〇〇年4月〜20〇〇年3月 一般社団法人〇〇市観光協会へ出向
事業内容(出向先):観光プロモーション、観光案内所の運営、地域イベントの企画
業務内容:観光イベントの企画・協賛企業との調整(年〇件、来場者数 前年比〇%増)
採用担当者が市役所出身者の職務経歴書で見ているポイント
市役所出身者の職務経歴書について、民間の採用担当者からは「何をしていたのかイメージしにくい」という声がよく聞かれます。事業内容欄は、その不安を最初に取り除くための欄だと考えてください。
採用担当者はここを見ている
- 仕事の相手の規模:何人の住民・何社の事業者を相手にしていたか
- 自社の業務との共通点:予算管理・債権回収・発注管理など、民間でも同じ名前で呼ばれる仕事があるか
- 言葉選び:「起案」「決裁」「所管」などの庁内用語を、そのまま使わずに言い換えられているか
「何をしている組織か」より「どれくらいの規模の相手と仕事をしたか」
市役所が行政サービスを提供していることは、採用担当者も知っています。知らないのは「あなたがどの規模で、誰を相手に働いていたか」です。
そのため、事業内容欄には人口・予算・対応件数のどれか1つでも数字を入れることを優先してください。「人口約〇万人の市」と書くだけで、担当していた業務量のイメージが一気に具体的になります。
数字が書けない業務は「変化・評価・継続」で書く
市役所の仕事は利益や売上で測れないものが大半で、「書ける実績がない」と手が止まる人が多い部分です。数字がなくても、次の3つの切り口なら成果として書けます。
| 切り口 | 書き方の例 |
|---|---|
| 変化 | 申請書の様式を見直し、記入ミスによる差し戻しを減らした |
| 評価 | 作成したマニュアルが他の課でも使われるようになった |
| 継続 | 〇年間、窓口の責任者として繁忙期の受付を担当した |

職務経歴書の事業内容でやりがちなNG例
市役所出身者の事業内容欄で、特に多い間違いをまとめました。提出前のチェックに使ってください。
| NG例 | 正しい書き方 | 理由 |
|---|---|---|
| 事業内容:行政 | 行政サービスの提供+担当分野と人口規模 | 一言では規模も分野も伝わらない |
| 資本金:なし | 資本金の欄ごと削除する | 「なし」は確認不足に見える |
| 「起案・決裁・所管」などの庁内用語 | 「企画書の作成」「承認」「担当」に言い換える | 民間の採用担当者には意味が通じにくい |
| 未公表の事業内容や住民の個人情報に触れる | 公表済みの情報だけで書く | 地方公務員法の守秘義務は退職後も続く |
| 部署名を正式名称で書かない(「市民課」を「窓口」とだけ書く) | 正式な部署名+民間に伝わる説明 | 経歴の正確さを疑われる |
4つ目の守秘義務には特に注意が必要です。地方公務員法第34条では、職務上知り得た秘密を漏らしてはならず、その職を退いた後も同様とされています。事業内容や実績は、市の公式サイトや広報紙ですでに公表されている範囲で書いてください。
職務経歴書と一緒に履歴書も用意する場合は、転職用の履歴書テンプレートを使うと、職歴欄の書き方を職務経歴書とそろえやすくなります。

まとめ
- 事業内容は1〜2行:「地方自治体として行政サービスを提供」+担当分野を書く
- 資本金・売上高は書かない:欄ごと削除し、職員数・予算規模・人口で規模を伝える
- 部署は民間の言葉に置き換える:課の名前だけでなく「誰に何を提供していたか」を添える
- 会計年度任用職員は雇用形態と更新回数を明記:継続して任用された事実も実績になる
- 公表済みの情報だけで書く:守秘義務は退職後も続く
事業内容欄が埋まれば、職務経歴書の残りは担当業務と実績を書くだけです。人口と予算の数字を市の公式サイトで調べるところから始めてください。
市役所の職務経歴書の事業内容に関するよくある質問
- 資本金の欄は空欄のまま提出してもいいですか?
-
空欄のまま残すより、資本金の欄そのものを削除するのがおすすめです。職務経歴書は決まった書式のない書類なので、市役所に存在しない項目を残す必要はありません。代わりに一般会計予算の規模や人口を書くと、組織の規模が伝わります。
- 職員数には会計年度任用職員も含めるべきですか?
-
どちらでも構いませんが、どの範囲の人数かを明記してください。「職員数:約〇〇〇名(正規職員)」のように括弧で補足すれば誤解を防げます。数字は市が公表している「人事行政の運営等の状況」などで確認できます。
- 事業内容は市役所全体と所属部署のどちらを書けばいいですか?
-
両方書きます。市役所全体の事業内容は勤務先名の下に1回だけ、部署の事業内容は各部署の経歴ごとに1行ずつ書くと、異動が多くても読みやすい職務経歴書になります。
- 区役所や町村役場に勤めていた場合も同じ書き方でいいですか?
-
同じ考え方で書けます。政令指定都市の区役所勤務なら「〇〇市役所(〇〇区役所 区民課)」のように市と区の両方を書き、町村役場なら「〇〇町役場」として町の人口・予算規模を添えてください。

