会計事務所・税理士事務所の事業内容は、「税務代理・税務書類の作成・税務相談」などの業務に加えて、従業員数と顧問先数、顧問先の業種まで書くのが基本です。事務所名と「税理士業務」の一言だけでは、採用担当者に事務所の規模も仕事の中身も伝わりません。この記事では、個人事務所・税理士法人別の記載例とNG例、事業内容の下に続ける職務内容の書き方まで紹介します。
会計事務所・税理士事務所の事業内容の書き方と記載例
結論:業務・規模・顧問先の3点を書く
職務経歴書の事業内容欄は、勤務先がどんな組織かを2〜4行で伝える場所です。会計事務所の場合は、次の3点がそろっていれば採用担当者が事務所の姿をイメージできます。
| 書く要素 | 内容 | 書き方の例 |
|---|---|---|
| 業務 | 事務所が提供しているサービス | 税務代理、税務書類の作成、記帳代行、決算・申告業務 |
| 規模 | 在籍人数と職種の内訳 | 従業員12名(税理士3名、補助者7名、事務2名) |
| 顧問先 | 顧問先の数・個人/法人の比率・主な業種 | 法人約150社、個人約80名(建設業・飲食業・不動産業が中心) |
一般企業の会社概要では資本金や売上高を書きますが、個人の税理士事務所には資本金がなく、売上高も公表していないことがほとんどです。その代わりに「人数」と「顧問先」の数字を置くと、規模感が伝わります。
個人の税理士事務所の記載例
所長税理士1名の事務所でも、書き方の型は同じです。小規模であることを隠す必要はなく、むしろ「少人数で入力から申告まで担当していた」という職務内容の説得力につながります。
良い書き方(個人の税理士事務所)
〇〇税理士事務所(20XX年4月〜現在)
事業内容:法人・個人事業主向けの税務代理、税務書類の作成、税務相談、記帳代行
従業員数:6名(税理士1名、補助者4名、一般事務1名)
顧問先:法人約60社、個人事業主約40名(小売業・飲食業・医療機関が中心)
NG例
〇〇税理士事務所
事業内容:税理士業務
「税理士業務」だけでは、記帳中心なのか、相続や資産税まで扱うのか判断できません。人数と顧問先の情報もないため、職務内容の重みが伝わりにくくなります。
税理士法人・規模の大きい会計事務所の記載例
税理士法人や複数拠点の事務所では、全体の規模に加えて「自分がどの部門にいたか」を一行添えると、職務内容との対応がはっきりします。法人の場合は資本金(出資金)や売上高を公開していることもあるため、公式サイトで確認できれば記載してかまいません。
良い書き方(税理士法人)
税理士法人〇〇(20XX年4月〜20XX年3月)
事業内容:法人税・消費税申告、相続税申告、事業承継支援、組織再編に関する税務コンサルティング
拠点:東京本部ほか3拠点
従業員数:約120名(うち税理士25名)
顧問先:法人約1,200社(中小企業から上場企業の子会社まで)
所属:法人税務部 第2課(顧問先の決算・申告を担当)
給与計算や経営支援も手がける事務所の記載例
給与計算、社会保険手続き、資金調達の支援、会社設立などを行う事務所は、それも事業内容に含めます。応募先が一般企業の経理や総務なら、ここが評価につながりやすい部分です。
良い書き方(周辺業務がある会計事務所)
〇〇会計事務所(20XX年10月〜現在)
事業内容:中小企業向けの税務申告・記帳代行に加え、給与計算・年末調整代行、月次決算に基づく経営支援、融資申請書類の作成支援
従業員数:15名(税理士2名、社会保険労務士1名、スタッフ12名)
顧問先:法人約180社(創業5年以内の企業が約3割)
採用担当者はここを見ている
- 事務所の得意分野:法人中心か個人中心か、資産税(相続・贈与)を扱うかで、身についている実務が違うと判断している
- 人数と担当範囲の関係:少人数の事務所なら1人で入力から申告まで回していた可能性が高い、と職務内容とあわせて読んでいる
- 顧問先の業種:応募先の顧問先や自社と業種が近いと、入社後すぐに戦力になるイメージを持ちやすい
職務経歴書の事業内容に書く項目と調べ方
書くべき項目と書き方の一覧
事業内容欄に並べる項目は次のとおりです。必須の項目と、わかる範囲で書けばよい項目に分けています。
| 項目 | 扱い | 書き方のポイント |
|---|---|---|
| 事務所名 | 必須 | 看板の通称ではなく正式名称。税理士法人は「税理士法人〇〇」と書く |
| 在籍期間 | 必須 | 年月まで。和暦・西暦は書類全体で統一 |
| 事業内容 | 必須 | 主なサービスを3〜5個。専門用語は一般企業の人事にも通じる言葉に |
| 従業員数 | 必須 | 税理士・補助者・事務の内訳があると規模が伝わる |
| 顧問先数・業種 | 推奨 | 法人/個人の別と、多い業種を2〜3個 |
| 拠点・所属部門 | 該当時 | 複数拠点・部門制の事務所のみ |
| 資本金・売上高 | 任意 | 税理士法人で公開されている場合のみ。個人事務所は書かなくてよい |
書式に迷う場合は、経理の職務経歴書テンプレートの会社概要欄に、上の項目を当てはめると形が整います。
従業員数や顧問先数がわからないときの調べ方
小さな事務所ほど、正確な顧問先数を把握していないことがあります。在職中であれば、次の順で確認すると所長に直接聞かずに済む場合が多いです。
- 事務所の公式サイト:「事務所概要」「スタッフ紹介」に人数や顧問先数が載っていることがある
- 自分が応募したときの求人票:従業員数・顧問先の構成が書かれていることが多い
- 会計ソフト・顧客管理表の件数:担当者別の顧問先一覧から全体数を概算できる
それでも正確な数字が出ない場合は、「約〇社」「〇名程度」と概数で書けば問題ありません。面接で聞かれたときに根拠を説明できる範囲の数字にしておくことがポイントです。多めに盛った数字は、同業の事務所に応募する場合ほど見抜かれやすくなります。
「会計事務所」と「税理士事務所」どちらで書く?
答えは勤務先の正式名称どおりです。「〇〇会計事務所」が正式名称ならそのまま、「〇〇税理士事務所」ならそのまま書きます。普段は「〇〇会計」と呼んでいても、職務経歴書では登録上の名称を使ってください。
事業内容の書き方自体は、名称が会計事務所でも税理士事務所でも変わりません。ただし、公認会計士の監査業務を行っている事務所なら「会計監査」を、税務中心の事務所なら「税務代理・申告書作成」を先頭に置くなど、事務所の主力業務を最初に書くと特色が伝わります。
会計事務所の事業内容でよくあるNG例と改善例
会計事務所出身者の職務経歴書で多いのは、業界の中では通じる言葉で書いてしまうパターンです。読むのが一般企業の人事担当者だと、意味が伝わらないまま読み飛ばされることもあります。
| NG例 | 改善例 | 理由 |
|---|---|---|
| 事業内容:税理士業務 | 事業内容:法人・個人の税務申告、記帳代行、税務相談 | 具体的なサービスが見えない |
| 事業内容:巡回監査、TKC業務 | 事業内容:顧問先を毎月訪問し、帳簿のチェックと経営相談を行う | 業界用語は一般企業の人事に通じにくい |
| 主な顧問先:株式会社△△、□□商店 | 主な顧問先:建設業・飲食業の中小企業 | 顧問先の社名は守秘義務の観点から書かない |
| 従業員数:少人数 | 従業員数:5名(税理士1名、補助者4名) | 「少人数」では規模が判断できない |
| 事業内容欄に自分の担当業務を書く | 事業内容は事務所全体、担当業務は職務内容欄へ | 事務所の事業と個人の仕事が混ざると読みにくい |
採用担当者はここを見ている
- 顧問先の実名を書いていないか:会計事務所の採用担当者ほど、顧問先の情報を職務経歴書に書く応募者には情報管理の面で不安を持つ
- 読み手に合わせた言葉選びか:顧問先に税務をわかりやすく説明する力があるかを、書類の言葉づかいから推測している
事業内容の下に続ける職務内容の書き方と例文
担当件数・業種・業務範囲を数字で書く
事業内容で事務所の全体像を伝えたら、その下に自分の仕事を書きます。会計事務所の職務内容で評価が分かれるのは、「何社を」「どの工程まで」「1人で担当したのか補助なのか」が書かれているかどうかです。
良い書き方(事業内容から職務内容までの一例)
〇〇税理士事務所(20XX年4月〜現在)
事業内容:法人・個人事業主向けの税務代理、税務書類の作成、記帳代行、給与計算代行
従業員数:8名(税理士2名、補助者5名、事務1名)
顧問先:法人約90社、個人事業主約50名
【担当業務】税理士補助
・法人22社、個人事業主10名を主担当として、記帳から決算書・法人税申告書の作成まで担当(年商1,000万〜5億円規模)
・担当先の業種:建設業8社、飲食業6社、小売業5社ほか
・月次訪問による帳簿チェックと試算表の説明(月15件程度)
・年末調整・法定調書の作成(年間約40社分)
【実績】記帳の入力ルールを顧問先ごとに整理し、月次試算表の提出を翌月20日から翌月10日に短縮
NG例
【担当業務】
・記帳業務
・決算業務
・申告業務
件数も担当範囲も書かれていないため、補助として一部を手伝っただけなのか、1人で申告まで完結していたのか区別できません。
職務内容を一般企業向けの事務職に寄せる場合は、事務の職務経歴書テンプレートの構成も参考になります。

応募先が会計事務所か一般企業かで書き分ける
同じ経歴でも、読み手が変わると響くポイントが変わります。事業内容と職務内容は、応募先に合わせて順番と言葉を入れ替えてください。
| 応募先 | 前に出す情報 | 言葉の選び方 |
|---|---|---|
| 同業の会計事務所・税理士法人 | 担当件数、申告書の種類(法人税・所得税・消費税・相続税)、使用ソフト | 業界用語のままでよい |
| 一般企業の経理 | 月次・年次決算の経験、顧問先と同じ業種での実務、給与計算・年末調整 | 「月次決算の締め」「決算書の作成」など社内経理の言葉に置き換える |
| コンサル・FAS系 | 事業承継・組織再編・資金調達支援の経験、顧問先の規模 | 案件の規模と自分の役割を数字で示す |
一般企業の経理へ移る人に多いのが、「事務所での経験は企業の経理と違うから評価されないのでは」という不安です。実際には、複数業種の決算を見てきた経験は、1社の経理しか知らない人にはない強みです。事業内容欄で顧問先の業種の幅を示しておくと、この強みが職務内容とつながって伝わります。
税理士試験の科目合格・会計ソフトの書き方
会計事務所出身者が事業内容欄に混ぜてしまいがちなのが、資格や使用ソフトの情報です。これらは事業内容ではなく、職務経歴書の「資格」「PCスキル」欄に分けて書きます。
税理士試験は会計学2科目(簿記論・財務諸表論)と税法3科目の計5科目に合格する仕組みで、合格した科目は生涯有効です。そのため、科目合格の途中でも合格科目と合格年を書けば評価の対象になります。
良い書き方(資格・スキル欄)
【資格】
20XX年8月 税理士試験 簿記論 合格
20XX年8月 税理士試験 財務諸表論 合格
20XX年8月 税理士試験 法人税法 受験予定
20XX年6月 日商簿記検定1級 合格
【使用ソフト】
TKC(FX2・税務申告ソフト):実務4年、弥生会計・freee会計:顧問先対応で使用
使用ソフトは、応募先が使っているものが職務経歴書にあると即戦力として見てもらいやすくなります。求人票に使用ソフトが書かれていれば、その名前を一番上に置いてください。転職用の履歴書テンプレートの資格欄とも、合格年月の表記をそろえておきます。
ハローワーク経由で応募する場合は、ハローワーク用の職務経歴書テンプレートの形式に合わせて同じ内容を書き写すと手間が減ります。

まとめ
- 事業内容は3点セット:提供している業務、従業員数(内訳つき)、顧問先の数と業種を書く
- 個人事務所は資本金不要:人数と顧問先数で規模を示せば十分
- 名称は正式名称どおり:会計事務所か税理士事務所かは登録上の名前に合わせる
- 顧問先の社名は書かない:業種と規模で表現する
- 職務内容は件数と工程で:何社を、記帳から申告までのどこまで担当したかを書く
事業内容欄が具体的になると、その下の職務内容も一気に読みやすくなります。数字がそろったら、そのまま職務経歴書の作成に進んでください。

会計事務所の事業内容と職務経歴書に関するよくある質問
- 個人の税理士事務所で資本金や売上高がわからない場合はどうすればいいですか?
-
個人事務所には資本金がないため、資本金・売上高の項目は省いて問題ありません。代わりに従業員数(税理士・補助者・事務の内訳)と顧問先数を書けば、採用担当者は事務所の規模を把握できます。
- 税理士事務所の事業内容は「税理士業務」と書くだけではだめですか?
-
間違いではありませんが、情報が足りません。「法人・個人の税務申告、記帳代行、税務相談」のように主なサービスを3〜5個並べ、相続税申告や給与計算など事務所の特色になる業務があれば加えてください。
- 担当していた顧問先の会社名を書いてもいいですか?
-
書かないでください。顧問先の情報は守秘義務の対象であり、社名を書くと情報管理への意識を疑われます。「建設業の中小企業8社」のように業種・規模・件数で表現すれば、経験の中身は十分に伝わります。
- 同じ事務所で補助者から担当者に変わった場合はどう書きますか?
-
事業内容は事務所単位で1回だけ書き、その下の職務内容を期間で区切ります。「20XX年4月〜20XX年3月:入力・記帳補助」「20XX年4月〜現在:法人15社の主担当」のように分けると、任される範囲が広がった流れが伝わります。

