保健師の職務経歴書は、看護師時代の経験をビジネス視点の言葉に翻訳して書くと通過率が上がります。この記事では、行政・産業・未経験タイプ別の例文と、採用担当者が実際に見ているチェックポイントを、書類選考で落ちやすいNGパターンとあわせて解説します。
保健師の職務経歴書の書き方と例文
結論:4つのブロックで組み立てる
保健師の職務経歴書に決まった書式はありませんが、採用担当者に伝わりやすい構成にはパターンがあります。次の4ブロックで組み立てれば、初めてでも迷わず書き進められます。
| ブロック | 内容 | 目安の分量 |
|---|---|---|
| 職務要約 | 経歴と強みの要約 | 200〜300文字 |
| 職務経歴 | 職場ごとの業務内容・実績 | 各職場150〜250文字 |
| スキル・資格 | 保有資格・PCスキル・システム経験 | 箇条書き8〜12項目 |
| 自己PR | 応募先に合わせたアピール | 200〜300文字 |
基本の型を先に確認しておきたい場合は、医療業界の職務経歴書テンプレートもあわせて参考にしてください。
職務要約の書き方と例文
職務要約は採用担当者が最初に読む部分です。ここで内容が薄いと、そのあとをどれだけ丁寧に書いても読まれません。盛り込む要素は次の4点です。
- 保健師としての年数と職場の種別(行政・産業・医療機関など)
- 主な業務領域(健康診断管理・個別保健指導・職場巡視など)
- 数値を1つ添えた強み
- 応募先でどう貢献できるか(1〜2文)
良い例文
保健師として6年のキャリアを持ち、うち4年は市の健康増進課で成人保健・母子保健を担当、直近2年は従業員450名規模のIT企業で産業保健師を務めています。特定保健指導の実施率を2年間で18ポイント引き上げた実績があります。予防と早期介入の視点を活かし、貴社の健康経営推進に貢献できると考えています。
NG例
保健師としてこれまで幅広い業務に携わってきました。地域住民や従業員の健康づくりに力を注ぎ、健康増進に貢献してきました。「幅広い」「力を注ぎ」「貢献」は誰にでも書ける言葉。職場名・年数・数値に置き換える。
履歴書とあわせて準備する場合は、転職用の履歴書テンプレートを使うと様式を統一しやすくなります。
職務経歴・自己PRの書き方(数値化のコツ)
「保健師の仕事は数値が出しにくい」と感じる方は少なくありません。ですが、対応した規模感を思い出せば、数値化できる業務は意外に多くあります。
数値化できる保健師業務の例
- 健康診断対応者数:「年間◯人分の結果通知・保健指導対象者の抽出を担当」
- 保健指導件数:「特定保健指導 積極的支援◯件・動機付け支援◯件/年」
- 相談対応件数:「月平均◯件の個別健康相談、うちメンタル不調者対応◯件」
- 教育・研修実績:「新入社員向け健康セミナーを年◯回企画・登壇(参加者◯名規模)」
- 改善実績:「特定保健指導の実施率を◯%から◯%へ改善」「高ストレス者の面談勧奨率◯%達成」
正確な数字を覚えていない場合は「約◯件」「◯〜◯件程度」でも構いません。大切なのは、どのくらいの規模の仕事をしていたかが伝わることです。資格・PCスキル欄は正式名称と取得年月、健康管理システムの使用経験を具体的に書くと評価されやすくなります。
資格欄の書き方で迷ったときは、資格の記載ルールも確認しておくと、履歴書と表記がずれるのを防げます。

看護師経験を保健師の職務経歴書でどう伝えるか
保健師の求人には、看護師からの転職者や、保健師資格はあっても看護師としての実務期間が長い方が数多く応募します。採用担当者が知りたいのは免許の有無ではなく、その経験が保健師の仕事でどう機能するかです。看護師時代の言葉をそのまま書くと、臨床の話で終わってしまい、保健師としての適性が伝わりにくくなります。
「看護師の言葉」を採用担当者に伝わる表現に変換する
同じ経験でも、保健師の仕事に必要な言葉で言い直すだけで伝わり方が変わります。代表的な変換の例を紹介します。
| 看護師時代の経験 | 保健師の職務経歴書での表現 |
|---|---|
| 退院調整 | 復職支援・多職種とのステークホルダー調整 |
| 療養指導・患者指導 | 行動変容を促す保健指導 |
| 病棟でのバイタル管理・急変対応 | リスクの早期発見と初期対応力 |
| 多職種カンファレンス参加 | 産業医・人事・管理部門との連携経験 |
| 患者・家族への説明業務 | 対象者の納得を引き出す説明力 |
これは事実を盛ることではなく、同じ経験を保健師の仕事に必要な言葉で言い直す作業です。応募先の求人票に出てくる言葉(多職種連携・行動変容・健康経営など)を意識して選ぶと、「この人はうちの仕事がわかっている」という印象につながります。
採用担当者はここを見ている
- 看護師時代の業務を保健師の言葉に翻訳できているか
- 「対応した」で終わらず、対応した結果どうなったかまで書かれているか
- 求人票のキーワードと職務経歴書の言葉が重なっているか
看護師の職務経歴書テンプレートをベースに、上記の変換表を当てはめると書き進めやすくなります。
【転職パターン別】保健師の職務経歴書の例文
転職は「どこから、どこへ」の組み合わせでアピールすべき点が変わります。自分に近いパターンを参考にしてください。
行政保健師から産業保健師へ転職する場合
行政から産業への転職は、保健師の転職では最も多いパターンです。採用担当者が気にするのは「公務員のペースで、民間企業のスピード感に対応できるか」という点です。業務実績を数値で示し、ビジネス視点の言葉に翻訳することで懸念を払拭できます。
良い例文
県型保健所に6年勤務し、母子保健と成人保健の両分野で個別支援・地域アセスメントを担当しました。特定保健指導では年間延べ900件の面談を実施し、継続率を前年比12ポイント改善しています。行政で培った地域全体を見る視点と個別支援の経験を活かし、従業員の健康リスクを早期に把握できる産業保健師を目指しています。
NG例
住民の健康を守るために日々尽力してきました。今後は民間企業で自分の力を試したいと考え応募しました。「尽力」「力を試したい」だけでは何をしてきた人か伝わらない。担当分野・件数・成果を書く。
産業保健師から別企業の産業保健師へ転職する場合
同じ産業保健師ポジションへの転職では、企業規模や保健スタッフ体制の違いをどう橋渡しするかがポイントです。「単独型」か「複数体制」かの違いは大きく、採用担当者は応募者が自社の体制に合うかを確認しています。
良い例文
従業員320名規模のメーカーで2年間、複数名体制の産業保健師チームの一員として勤務しました。定期健康診断のフォローと特定保健指導を担当し、月20件程度の個別面談に加え、安全衛生委員会への報告資料作成を経験しています。次は少人数体制でより裁量をもって健康施策の企画から担当したいと考えています。
看護師から保健師(未経験)へ転職する場合
保健師免許を持ちながら臨床看護師として長く勤め、保健師ポジションへ転職する場合、経験が浅いことを不安に感じる方が多くいます。採用担当者の多くは看護師経験をプラスに評価しますが、臨床経験をそのまま書いても保健師ポジションのアピールにはなりません。前章の変換表を使い、経験を言い直すことが重要です。
良い例文
急性期病棟で5年間、内科・外科の混合病棟に勤務しました。退院調整看護師と連携し、患者・家族への生活指導や社会資源の案内を数多く担当しています。この経験は、対象者の生活背景に踏み込んで支援する保健師の仕事に直結すると考え、保健師としてのキャリアに挑戦したいと考えています。
履歴書側の書き方もあわせて整えたい場合は、次の記事も参考になります。

採用担当者が書類選考で落とす職務経歴書の共通パターン
テンプレ通りの言い回しで終わっている
採用担当者が書類段階で落とすと判断する最大の理由は、実績の乏しさよりも「読みにくさ」と「的外れなアピール」です。業務を担当した事実だけを並べても、採用担当者の目には留まりません。
NG例
・健康相談対応を行いました
・健診結果の説明をしました
・安全衛生委員会に出席しました
「行いました」「しました」だけでは何も伝わらない。規模・件数・成果を添える。
良い例文
・従業員380名の健診結果説明会を年2回企画・実施(対象者の8割が参加)
・メンタル不調者への面談対応を月5〜8件担当し、産業医への橋渡しを一貫して実施
・安全衛生委員会で衛生管理の課題を月1回報告し、改善提案を3件採用
応募先ごとに内容を変えていない
産業保健師ポジションへの応募書類に、行政保健師時代の住民向け健康教育の詳細が延々と書かれていても響きません。採用担当者は「うちの仕事に合うか」という目線で書類を見ています。
- 変えるべき部分:職務要約・自己PR・強調する実績(応募先の業務と関連性が高いものを選ぶ)
- 変えなくていい部分:職務経歴の事実(在籍期間・職場名・基本業務内容)・保有資格
毎回ゼロから書き直すのは非効率です。基本版の職務経歴書を1本作り、応募ごとに職務要約と自己PRだけを書き換える方式が現実的です。
保健師の職務経歴書でよくある疑問と解決策
実績が少ない若手保健師の書き方
入職2〜3年で転職する場合、「実績が少なくて書くことがない」という悩みはよく聞かれます。焦点を成果から行動・取り組みにシフトさせれば、書ける内容は見つかります。採用担当者は実績の大きさよりも、自分で気づき動いた跡があるかを見ています。
若手でも書ける実績の例
- 参加した外部研修・勉強会の数と内容
- 担当した事業・プロジェクトの規模感(参加者数・対象者数・期間)
- 自ら提案・実施したこと(健康だよりの改訂、健診フォローの仕組み化など)
- 「◯◯の課題に気づき、改善を提案した」という行動ベースの記述
社会人経験が浅い場合の書き方は、職種を問わず共通する考え方があります。

何枚にまとめる?手書きとPCどちらがいい?
職務経歴書はA4用紙2〜3枚が標準です。経験が浅い場合は1枚にまとめても問題ありません。作成方法はPC作成(Word等)が一般的で、修正のしやすさと読みやすさの両面から推奨されます。
ハローワーク経由で応募する場合は、様式が指定されることがあります。ハローワーク用の職務経歴書テンプレートを使うと項目の抜けを防げます。
まとめ
- 保健師の職務経歴書で最重要なのは職務要約。最初の10秒で「読む価値がある」と思わせられるかが書類選考の分かれ目になる
- 看護師時代の経験は、保健師の仕事に必要な言葉に翻訳して書くと、採用担当者に伝わりやすくなる
- 行政・産業・未経験など転職パターンによってアピールすべき経験が異なる。応募先に合わせた最適化が通過率を左右する
応募先が保健師に求めるのは、業務経験の有無だけではありません。「この人が入社後に何をしてくれるか」をイメージさせられる書類が、採用担当者の記憶に残ります。
保健師の職務経歴書に関するよくある質問
- 職務経歴書は手書きとパソコンのどちらで作成すべきですか?
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パソコン作成(Word等)が一般的です。修正のしやすさと複数応募先への使い回しやすさから、パソコン作成が推奨されます。応募先から手書きを求められた場合は、丁寧な字で清書してください。
- 保健師免許と看護師免許は両方記載すべきですか?
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両方記載するのが基本です。保健師免許が主軸ですが、看護師免許は疾患知識の裏付けとして評価されます。資格欄には「保健師免許(取得年月日)」「看護師免許(取得年月日)」の順で記載してください。
- 実績が少ない場合、職務経歴書に何を書けばいいですか?
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成果の大きさではなく、行動や取り組みに焦点を移してください。参加した研修、担当した事業の規模感、自ら提案・実施したことは、いずれも職務経歴書に書ける内容です。
- 応募先ごとに内容を変える必要はありますか?
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職務要約と自己PRは応募先ごとに変えるべきです。一方で在籍期間・職場名・保有資格などの事実は変える必要がありません。基本版を1本作り、応募ごとに要点だけ書き換える方法が効率的です。

