履歴書の様式自由とは「用紙の指定がない」という意味で、市販品・厚生労働省の様式例・自作のどれで出しても構いません。ただし自由だからこそ、項目の過不足やレイアウトの整い方がそのまま他の応募者と比べられます。この記事では、自作するときに必ず入れる項目と入れてはいけない欄、Word・Excelでの作り方、公募で見落としやすい指定まで、採用担当者の視点で紹介します。
履歴書の様式自由とは?使ってよい用紙と結論
結論:決まった用紙がないだけで、厚労省様式例で十分
求人票や公募要領に「履歴書(様式自由)」と書かれている場合、応募先は「自社指定の用紙ではなく、一般的な履歴書であれば何でもよい」と伝えています。オリジナルの書式を作らなければいけない、という意味ではありません。
使える選択肢は次の4つです。迷う時間がないなら、厚生労働省の様式例を選べば外すことはありません。
| 選択肢 | 向いている人 | 注意点 |
|---|---|---|
| 厚生労働省履歴書様式例 | どれを使うか迷っている人全員 | 志望動機・自己PRが1つの欄にまとまっている |
| 市販の履歴書 | 手書きで提出したい人 | 古い在庫だと性別の選択欄などが残っている場合がある |
| 自作(Word・Excel) | 職歴や資格の欄を広げたい人 | 項目の過不足・体裁の崩れがすべて自己責任になる |
| Web・スマホの作成ツール | パソコンが手元にない人、急ぎの人 | PDFで出力して体裁を確認してから提出する |
Word・Excel・PDFの形式ですぐ使いたい場合は、厚生労働省の規格に沿った履歴書テンプレートをダウンロードして使うのが最短です。
「様式自由」「任意様式」「指定様式」の違い
応募書類の案内では、似た言葉がいくつか使われます。「様式自由」と「任意様式」はほぼ同じ意味で、指定様式だけは扱いがまったく違います。
| 表記 | 意味 | 使う用紙 |
|---|---|---|
| 様式自由 | 応募先の指定用紙はない | 市販品・厚労省様式例・自作のいずれでも可 |
| 任意様式 | 様式自由とほぼ同じ | 同上 |
| 指定様式・所定様式・別紙様式 | 応募先が用意した用紙を使う | 応募先の配布ファイル・用紙のみ。市販品や自作は不可 |
「様式自由(A4)」「様式自由・写真貼付」のように、様式自由のあとに条件が添えられているときは、その条件だけは必ず守ります。用紙は自由でも、サイズや写真の有無は指定されている、という意味です。
迷ったら厚生労働省の様式例を土台にする理由
以前は、JIS規格の解説に載っていた履歴書の様式例が標準とされていました。しかし2020年7月に日本規格協会がこの様式例を削除し、厚生労働省が2021年4月に新しい「履歴書様式例」を公表しています。
- 性別欄:「男・女」の選択式から任意記載に変更(未記載も可)
- 削除された欄:「通勤時間」「扶養家族数」「配偶者」「配偶者の扶養義務」
- 位置づけ:公正な採用選考のための参考様式で、法的な拘束力はない
旧来の書式との違いはJIS規格に沿った履歴書テンプレートと見比べると、どの欄がなくなったのかがひと目でわかります。
採用担当者はここを見ている
- 厚労省様式例と同じ並びなら、どこに何が書いてあるかを探さずに読めるため、内容の評価に集中できる
- 「様式自由」を理由に珍しい書式を使っても加点にはならない。評価されるのは書式ではなく、書かれている中身
履歴書を自作するときの必須項目と作り方
職歴が多くて欄が足りない、資格を目立たせたいなど、既製の書式では収まらない場合は自作も選択肢になります。自作の履歴書で失敗する人の多くは、レイアウトよりも「項目の抜け」と「入れてはいけない欄」でつまずいています。
自作でも必ず入れる項目一覧
厚生労働省の様式例に入っている項目を基準にすると、抜け漏れを防げます。欄の大きさは変えても、項目そのものは削らないでください。
| 項目 | 書く内容 | 自作時の注意 |
|---|---|---|
| 日付 | 提出日(郵送なら投函日、持参なら持参日) | 作り置きした日付のまま出さない |
| 氏名・ふりがな | 戸籍上の氏名 | ふりがな欄を忘れない |
| 生年月日・満年齢 | 提出日時点の満年齢 | 和暦・西暦は書類全体で統一 |
| 性別 | 任意(空欄でも可) | 「男・女」の選択式にしない |
| 写真 | 3か月以内に撮影した証明写真 | 写真欄は縦36〜40mm×横24〜30mmが一般的 |
| 現住所・電話・連絡先 | 都道府県から省略せずに記入 | メールアドレスも併記すると連絡がスムーズ |
| 学歴・職歴 | 学歴と職歴を分けて時系列で | 最後に「以上」を右寄せで入れる |
| 免許・資格 | 正式名称と取得年月 | 応募職種に関係するものを優先 |
| 志望動機・自己PRなど | 応募先ごとの志望理由と強み | 自作するなら欄を分けて広げてもよい |
| 本人希望記入欄 | 職種・勤務地などの希望 | 特になければ「貴社の規定に従います」 |
自作で入れてはいけない欄・入れなくてよい欄
ネット上の古いひな形をもとに自作すると、今の様式例ではなくなった欄や、そもそも書く必要のない欄が残りがちです。厚生労働省は、本籍・出生地や家族に関することなど14の事項を「就職差別につながるおそれがある」として、採用選考で把握しないよう企業に求めています。
NG例(自作の履歴書に入れてしまいがちな欄)
- 本籍・出生地:応募者の適性や能力とは関係がない
- 家族構成・家族の職業:本人に責任のない事項で、採否の判断材料にすべきでないとされている
- 宗教・支持政党・尊敬する人物:本来自由であるべき思想・信条にあたる
- 「男・女」の選択式の性別欄:現在の様式例では任意記載に変わっている
自分から書く必要はなく、欄があると「情報が古い書式を使っている」と受け取られるおそれもあります。
通勤時間・扶養家族数・配偶者の有無も様式例からは外れています。入社手続きで必要になれば企業側から確認されるため、履歴書に欄を作らなくて問題ありません。
Word・Excelで履歴書を自作する作り方5ステップ
ゼロから罫線を引くより、既存のテンプレートを開いて欄の大きさを調整するほうが早く、崩れにくく仕上がります。
- 用紙をA4に設定する:ハローワークの資料でもA4が基本とされている。見開きにするならA3で作り、二つ折りにする
- 厚労省様式例の項目を順番どおりに配置する:上の項目一覧をそのまま見出しにする
- 広げたい欄だけ行数を増やす:職歴が多いなら職歴欄、資格が多いなら資格欄を広げ、使わない欄は小さくする
- フォントと文字サイズを統一する:本文は明朝体の10.5〜11pt前後にそろえ、見出しだけ太字にする
- PDFに書き出して確認する:2枚に分かれる場合は各ページの右下にページ番号と氏名を入れる
転職で職歴欄を広く取りたい人は、最初から職歴欄が大きく作られている転職用の履歴書テンプレートを土台にすると、手順3の調整がほとんど要りません。
アピールしたい内容に合わせたレイアウトの変え方
自作のメリットは「伝えたいことに紙面を多く割ける」点にあります。ただし変えてよいのは欄の大きさと配分までです。
良い書き方(転職回数が多い人の自作例)
1枚目:基本情報・学歴・職歴(職歴欄を通常の1.5倍に拡大)
2枚目:免許・資格/志望動機/自己PR/本人希望記入欄
項目の順番は様式例のまま、職歴欄の行数だけを増やしているため、採用担当者が迷わずに読めます。
NG例
1枚目の冒頭に大きな自己PR欄、学歴・職歴は2枚目の下段、写真は右下に配置
順番を入れ替えると、経歴を確認したい採用担当者が探す手間が増えます。アピールは欄を広げることで行い、配置は崩さないのが基本です。
様式自由の履歴書で採用担当者が見ているポイント
自由だからこそ「体裁の整い方」が比べられる
様式を指定した場合、応募者全員の書類は同じ見た目で届きます。様式自由にすると、書式の選び方や仕上げの差がそのまま並ぶことになります。「自由なのだから何でもいい」と考えて作った書類ほど、他の応募者との差が目立ちます。
採用担当者はここを見ている
- 現在の様式に沿っているか:性別の選択欄や家族欄が残っていると、情報収集の甘さが伝わる
- 書式がそろっているか:フォントや文字サイズが欄ごとにばらばらだと、仕事の書類も同じ仕上がりになると想像される
- 応募先に合わせているか:志望動機欄が小さく、どの会社にも出せる内容になっていないか
様式自由の履歴書でよくあるNG例
| NG例 | どう見えるか | 直し方 |
|---|---|---|
| 古い書式で性別を○で囲む欄がある | 最新の様式を確認していない | 厚労省様式例を土台に作り直す |
| 手書きの履歴書をコピーして提出 | 応募先ごとに作っていない | 原本を1社ずつ作成する |
| 2枚がクリップ留めもページ番号もなくバラバラ | 書類の扱いに配慮がない | 各ページに氏名とページ番号を入れる |
| 職歴欄が足りず「詳細は職務経歴書参照」だけ | 経歴を省略している | 会社名・入退社年月は履歴書にも必ず書く |
| デザインテンプレートで色や装飾を多用 | 書類の目的を理解していない | 白黒・明朝体のシンプルな書式にする |
Wordで自作した書類は、印刷やPDF化のときに行がずれて2枚目に1行だけはみ出すケースが多く見られます。崩れを防ぐ設定は次の記事で確認できます。

公募の「様式自由」で見落としやすい指定
自治体・大学・研究機関などの公募では、「履歴書(様式自由)」と書かれていても、募集要項の別の箇所に細かな条件が書かれていることがあります。実際の公募要領では、次のような指定が見られます。
- 写真:貼付必須、撮影から3か月以内、裏面に氏名を記入
- 年号:西暦で統一
- 連絡先:メールアドレスの記載
- 提出形式:PDFでの電子提出、写真は画像データを貼り付け(ファイル形式・容量の指定あり)
- 記載範囲:学歴は高校卒業から、研究歴や業績は別紙にまとめる
公募は書類の不備がそのまま選考対象外につながる場合があります。「様式自由」の一文だけで判断せず、募集要項の「提出書類」「注意事項」を最後まで読んでから作り始めてください。
【状況別】様式自由の履歴書はどれを選ぶべきか
同じ「様式自由」でも、応募者の経歴によって使いやすい書式は変わります。目安は次のとおりです。
| 状況 | おすすめの書式 | 理由 |
|---|---|---|
| 転職で職歴が多い | 職歴欄が広い書式・自作 | 経歴を省略せずに書き切れる |
| 新卒・第二新卒 | 自己PR・学生時代の欄が広い書式 | 職歴が少ない分、人柄や意欲で紙面を埋められる |
| アルバイト・パート | 厚労省様式例・市販品 | 勤務可能な曜日・時間を本人希望記入欄に書ければ十分 |
| 公募(自治体・大学など) | 厚労省様式例をもとに要項の指定を反映 | 指定条件の漏れが最も起きにくい |
転職で職歴が多い場合
3社以上の職歴があると、厚労省様式例の職歴欄では入りきらないことがあります。この場合は職歴欄を広げた書式に切り替え、履歴書には会社名・入退社年月・部署を、仕事内容の詳細は職務経歴書にと役割を分けると、両方の書類が読みやすくなります。
新卒・第二新卒の場合
職歴欄が空いたままの履歴書は、余白の多さが「書くことがない」印象につながります。新卒用の履歴書テンプレートのように、自己PRや学生時代に力を入れたことの欄が大きい書式を選ぶと、紙面のバランスが整います。
アルバイト・パートの場合
アルバイト・パートの採用では、志望動機の長さよりも「いつ・どれくらい働けるか」が重視されがちです。自作で凝るより、アルバイト用の履歴書テンプレートを使い、本人希望記入欄に勤務可能な曜日と時間帯を具体的に書くほうが採用につながります。
Excelで自作する場合は、セルの結合や印刷範囲の設定で体裁が崩れやすくなります。作業前に注意点を押さえておくと手戻りを減らせます。

様式自由の履歴書を提出する前の最終チェック
様式自由の履歴書は、書式を自分で選んだぶん確認すべき点も増えます。提出直前に次の項目を1つずつ確かめてください。
提出前チェックリスト
- 募集要項に「様式自由」以外の条件(サイズ・写真・西暦・提出形式)が書かれていないか
- 厚労省様式例の項目がすべて入っているか(志望動機・本人希望記入欄の抜けが多い)
- 本籍・家族構成・男女の選択欄など、不要な欄が残っていないか
- 日付が提出日になっているか、和暦・西暦が全体で統一されているか
- フォント・文字サイズがそろい、2枚目に1〜2行だけはみ出していないか
- メール提出ならPDFに変換し、ファイル名を「履歴書_氏名」などにしているか
どの書式を選べばいいか、市販品と自作で迷い続けている場合は、種類ごとの違いを比較した次の記事も判断材料になります。

まとめ
- 様式自由の意味:応募先の指定用紙がないだけで、市販品・厚労省様式例・自作のどれでも提出できる
- 迷ったら:2021年に公表された厚生労働省の履歴書様式例を使う
- 自作の作り方:様式例の項目と順番は残し、広げたい欄の行数だけを変える
- 入れない欄:本籍・家族構成・男女の選択式の性別欄・通勤時間など
- 公募の場合:写真・西暦・提出形式など、要項の別の箇所にある指定を必ず確認する
書式選びで手が止まっているなら、様式例の項目をそのまま埋めることから始めると、提出までの時間を大きく縮められます。
履歴書の様式自由に関するよくある質問
- 様式自由で市販の履歴書を使うと手抜きだと思われますか?
-
思われません。様式自由は「応募先の指定用紙がない」という意味で、市販品の使用を前提にしている案内も多くあります。評価に影響するのは用紙の種類ではなく、記載内容の正確さと応募先に合わせた志望動機です。
- 様式自由ならJIS規格の履歴書を使ってもいいですか?
-
使うこと自体は禁止されていません。ただしJIS規格の様式例は2020年7月に削除されており、性別の選択欄や通勤時間・扶養家族の欄が残っています。これから用意するなら、2021年に厚生労働省が公表した履歴書様式例を選ぶほうが無難です。
- 自作した履歴書が2枚になっても問題ありませんか?
-
問題ありません。A4で2枚、またはA3見開きで1枚にするのが一般的です。2枚に分ける場合は、各ページに氏名とページ番号を入れ、郵送や持参ならクリップでまとめて提出してください。
- 様式自由と書かれていれば写真は貼らなくてもいいですか?
-
様式自由は用紙についての指定で、写真の要否とは別の話です。特に「写真不要」と書かれていない限り、3か月以内に撮影した証明写真を貼ってください。公募では写真の撮影時期やデータの形式まで指定されていることがあります。
- 様式自由の履歴書は手書きとパソコンのどちらで作るべきですか?
-
「手書き」と指定されていなければ、パソコンやスマホで作成して構いません。メールやWebでの提出ならPDFで作るのが前提になります。手書きで出す場合は、修正液や修正テープを使わず、書き損じたら新しい用紙に書き直してください。

