保険会社の職務経歴書の事業内容は、「生命保険業(個人向け保険の引受・保全)」のように業種と主力領域を1行で書くのが基本です。ただし保険会社には「売上高」や「資本金」がそのまま当てはまらないケースがあり、一般企業向けの書き方を真似ると数字の欄で手が止まります。生命保険会社・損害保険会社・保険代理店それぞれの例文と、保険業界ならではの注意点をまとめました。
保険会社の職務経歴書の事業内容の書き方と例文
結論:業種・主力事業・規模を1〜2行で書く
事業内容欄は、会社名のすぐ下に置く「会社の自己紹介」です。採用担当者はここを数秒で読み、あなたがどんな環境で働いてきたのかを把握します。保険会社の場合は、次の3要素がそろっていれば十分です。
- 業種:生命保険業/損害保険業/保険代理業/少額短期保険業のどれか
- 主力事業:個人向けか法人向けか、主な商品(死亡保障・医療・自動車・火災など)、販売方法(営業職員・代理店・通販)
- 規模:保険料等収入(売上高に相当)、従業員数、上場区分など
「生命保険業」の一言だけでは、業界の外にいる採用担当者には会社の特徴が伝わりません。主力事業をカッコ書きで1つ添えるだけで、職務内容との結びつきが一気に読みやすくなります。
生命保険会社の事業内容の例文
生命保険会社は、死亡保障・医療保障・年金などの保険を引き受け、契約後の保全(住所変更や給付金請求の対応など)と資産運用を行う会社です。どのチャネルで販売している会社かを書き添えると、営業職・事務職どちらの経歴も伝わりやすくなります。
良い書き方(生命保険会社の場合)
〇〇生命保険株式会社(20XX年4月〜現在)
事業内容:生命保険業(個人向け死亡保障・医療保険の引受および保全、営業職員による対面販売が中心)
保険料等収入:〇〇億円(20XX年度) 従業員数:〇,〇〇〇名 上場区分:非上場
NG例
〇〇生命(20XX年4月〜現在)
事業内容:保険
社名が略称で、業種も「保険」だけ。生命保険か損害保険か、誰に何を売っている会社なのかが読み取れません。
損害保険会社の事業内容の例文
損害保険会社は、自動車保険・火災保険・賠償責任保険など「モノや責任」に備える保険を扱います。個人向けか企業向けかで仕事の中身が大きく変わるため、どちらが主力かを明記してください。
良い書き方(損害保険会社の場合)
〇〇損害保険株式会社(20XX年4月〜20XX年3月)
事業内容:損害保険業(自動車保険・火災保険を中心に、全国の代理店を通じて個人・中小企業向けに販売)
正味収入保険料:〇〇億円(20XX年度) 従業員数:〇,〇〇〇名
保険代理店の事業内容の例文
保険代理店は、保険会社から委託を受けて保険の販売や契約手続きを行う会社です。保険を引き受けるのは保険会社なので、代理店勤務の方が「生命保険業」と書くのは誤りです。複数社の商品を扱う「乗合代理店」か、1社の商品だけを扱う代理店かも書き分けます。
良い書き方(乗合代理店の場合)
株式会社〇〇(20XX年10月〜現在)
事業内容:保険代理業(生命保険会社〇社・損害保険会社〇社の商品を扱う乗合代理店。来店型ショップ〇店舗を運営し、個人向けに保険の比較・相談を提供)
売上高:〇億円 従業員数:〇〇名
NG例
〇〇生命保険株式会社(株式会社〇〇)
事業内容:生命保険業
雇用主は代理店なのに、取扱先の保険会社名を社名として書いている。経歴詐称を疑われる原因になります。社名欄には雇用契約を結んだ会社を書いてください。
少額短期保険業者・共済の場合
ペット保険や家財保険を扱う会社には、保険会社ではなく「少額短期保険業者」として登録している会社もあります。金融庁の制度では、保険期間は生命保険・医療保険が1年、損害保険が2年までと定められており、免許制の保険会社とは別の枠組みです。共済は保険業法ではなく、農業協同組合法や消費生活協同組合法などに基づく事業です。
| 勤務先の種類 | 事業内容の書き方例 |
|---|---|
| 生命保険会社 | 生命保険業(個人向け医療保険の引受・保全) |
| 損害保険会社 | 損害保険業(企業向け賠償責任保険・火災保険) |
| 保険代理店 | 保険代理業(生損保〇社の乗合代理店) |
| 少額短期保険業者 | 少額短期保険業(ペット保険の引受) |
| 共済団体 | 共済事業(組合員向け生命共済・火災共済) |
採用担当者はここを見ている
- どの立場で保険に関わっていたか:引受側(保険会社)か販売側(代理店)かで、身についているスキルの種類が違うと判断している
- 顧客が個人か法人か:法人営業の求人なら法人向け、接客や相談業務の求人なら個人向けの経験が評価されやすい
- 職務内容との整合:事業内容に「代理店販売中心」とあるのに職務内容が「個人宅への訪問営業」だと、どちらが正しいのか確認したくなる
保険会社の会社概要欄に書く項目と数字の調べ方
職務経歴書の会社概要には、事業内容と一緒に売上高・資本金・従業員数を並べるのが一般的です。ところが保険会社は決算の指標が一般企業と異なるため、「売上高」の欄を探しても見つからないことがよくあります。
一般企業と保険会社で書き方が変わる項目
| 項目 | 一般企業 | 保険会社での書き方 |
|---|---|---|
| 売上高 | 売上高 | 生命保険会社は「保険料等収入」、損害保険会社は「正味収入保険料」で示すのが一般的 |
| 資本金 | 資本金 | 相互会社の場合は資本金がなく、相当するのは「基金」。株式会社なら資本金をそのまま書く |
| 従業員数 | 退職時点の人数 | 営業職員(営業職)を含むかどうかで人数が大きく変わるため、「内勤職員〇名・営業職員〇名」と分けると正確 |
| 上場区分 | 上場・非上場 | 持株会社が上場し、保険会社本体は非上場という形もある。「〇〇ホールディングス(東証プライム上場)の子会社」と書くと誤解がない |
すべての項目を埋める必要はありません。確認できた数字だけを、年度を添えて書くのが安全です。数字を入れない場合でも、事業内容の1行は必ず書いてください。
数字はディスクロージャー誌・統合報告書で確認する
保険会社の多くは、公式サイトに会社概要のほか「ディスクロージャー誌」や統合報告書を掲載しています。決算の数字はここで確認できます。
- 公式サイトの「会社概要」で正式社名・設立年・従業員数・基金(資本金)を確認する
- 「決算情報」「ディスクロージャー誌」で保険料等収入(正味収入保険料)を確認する
- 上場会社やその子会社なら、持株会社の有価証券報告書で上場区分とグループ構成を確認する
- 代理店など情報が少ない会社は、自社の求人票や会社案内の記載に合わせる
社内向けの資料や朝礼で聞いた数字は、公開情報と一致しない場合があります。職務経歴書には、第三者が確認できる公開情報だけを使ってください。社名表記のルールは、事務職向けの職務経歴書テンプレートの会社概要欄を見ながら整えると迷いません。
採用担当者はここを見ている
- 年度の書かれていない数字は「いつの情報か」が分からず、信頼性が下がる
- グループ全体の数字を自社の数字のように書いていないか、面接で確認されることがある
保険業界の人が事業内容欄でつまずく4つのNG
保険業界は、社内でしか通じない言葉や業界独特の数字が多い職場です。長く勤めた人ほど、それが一般的な言葉だと思い込んだまま書いてしまいます。書類で損をしやすいのは、次の4パターンです。
| NGパターン | 何が問題か | 改善例 |
|---|---|---|
| 「生命保険業」だけで終わる | 主力商品も顧客層も伝わらない | 生命保険業(法人向け団体保険・福利厚生制度の提案) |
| 代理店勤務なのに保険会社名を書く | 雇用主の誤記として経歴詐称を疑われる | 社名は雇用主の代理店、取扱保険会社は事業内容に記載 |
| 社内用語をそのまま使う | 「職域」「保全」「募集」などが業界外の人に伝わらない | 「企業の職場での保険提案」「契約後の手続き対応」と言い換える |
| 数字が古い・出典があいまい | グループ全体と自社の数字の混同、年度不明 | 「保険料等収入〇〇億円(20XX年度)」と年度を明記 |
合併や社名変更があった会社は、入社時の社名に「(現・〇〇生命保険株式会社)」のように現在の社名を添えます。相互会社は「〇〇生命保険相互会社」が正式名称なので、「相互会社」の部分を省略しないでください。

NG例(社内用語のまま書いた場合)
事業内容:生命保険業(職域・リテールマーケットでの募集、保全業務)
保険業界以外の採用担当者には意味が伝わりません。「企業の職場や個人宅での保険提案、契約後の各種手続き対応」と書けば、業界外の人にも仕事の中身が伝わります。
応募先に合わせた事業内容の書き分け方
同じ会社の事業内容でも、応募先が保険業界の中か外かで、詳しく書くべき部分が変わります。事業内容欄は1〜2行しかないからこそ、相手が知りたい情報を優先して並べてください。
保険業界内で転職する場合
保険業界の採用担当者は、会社名を見ればおおよその規模は分かります。差がつくのは販売チャネル・主力商品・顧客層の細かさです。営業職員チャネルから代理店チャネルへ、生保から損保へといった移り方なら、その違いを意識した書き方をします。
良い書き方(同業へ転職する場合)
事業内容:生命保険業(中小企業経営者向けの事業保障・退職金準備保険が主力。税理士事務所・乗合代理店経由の販売が全体の約〇割)
保険営業の実績を職務内容でどう見せるかは、次の記事で例文付きでまとめています。

異業種へ転職する場合
異業種の採用担当者は、保険の仕組みに詳しくありません。商品名より「誰に・どんな価値を・どれくらいの規模で」提供している会社かが伝わる書き方に切り替えます。
良い書き方(異業種へ転職する場合)
事業内容:生命保険業(個人のお客さま約〇〇万人に、病気やけがに備える医療保険などを提供。全国〇〇拠点の営業職員による対面での提案・アフターフォローが中心)
思わず通過させたくなるポイント
- 応募先の顧客層に近い部分(法人・富裕層・シニアなど)を事業内容の中で先に書く
- 「対面」「コールセンター」「Web」など、応募先の仕事に近い接点の種類を入れる
- 求人票の「仕事内容」に出てくる言葉と同じ表現を、事実の範囲で使う
事業内容から職務内容・実績へつなげる書き方
事業内容は、それ単体では評価の対象になりません。採用担当者が見ているのは、会社の事業の中で、あなたがどの部分を担っていたかです。事業内容で示した顧客層やチャネルを、職務内容で受け止める形にすると、1枚の書類として筋が通ります。
良い書き方(事業内容と職務内容をつなげた例)
〇〇生命保険株式会社(20XX年4月〜現在)
事業内容:生命保険業(個人向け医療保険・死亡保障の引受、営業職員による対面販売が中心)
従業員数:〇,〇〇〇名(うち営業職員〇,〇〇〇名)
20XX年4月〜 〇〇支社 保険事務課
・支社の営業職員約〇〇名が扱う契約の申込書類の点検(月平均〇〇件)
・住所変更、名義変更、給付金請求など契約後の手続き対応
・書類不備の傾向をまとめたチェック表を作成し、差し戻し件数を前年比〇割削減
職種ごとの書き方の型は、テンプレートから入ると早く仕上がります。
- 営業職:営業職の職務経歴書テンプレートで、実績を数字で並べる形を確認できる
- 本社の管理部門:経理職向けのテンプレートが決算業務や資産運用関連の経歴整理に使える
- 営業職員の採用・育成:人事職の職務経歴書テンプレートの項目立てが参考になる
採用担当者はここを見ている
- 事業内容と職務内容で、顧客層や販売方法の説明が食い違っていないか
- 会社の規模の中で、担当した件数・人数・金額がどのくらいの割合を占めるか

まとめ
- 基本の形:「生命保険業(主力商品・顧客層・販売方法)」を1〜2行で書く
- 勤務先の種類で書き分ける:保険会社・代理店・少額短期保険業者・共済は業種名が異なる
- 保険会社特有の数字:売上高は保険料等収入(損保は正味収入保険料)、相互会社は資本金ではなく基金
- 社内用語は言い換える:「職域」「保全」「募集」は業界外の人に伝わる言葉にする
- 職務内容とつなげる:事業内容で示した顧客層・チャネルを、職務内容で具体的な担当業務として受け止める
事業内容の1行が整うと、その下の職務内容も書きやすくなります。まずは公式サイトの会社概要を開き、正式社名と数字の確認から始めてください。
保険会社の職務経歴書の事業内容に関するよくある質問
- 生命保険会社の事業内容は「生命保険業」だけでも大丈夫ですか?
-
間違いではありませんが、会社の特徴が伝わりません。「生命保険業(個人向け医療保険の引受・保全、営業職員による対面販売が中心)」のように、主力商品・顧客層・販売方法のいずれかをカッコ書きで添えると、職務内容とのつながりが分かりやすくなります。
- 保険会社の売上高が見つかりません。何を書けばいいですか?
-
生命保険会社では「保険料等収入」、損害保険会社では「正味収入保険料」が売上高に相当する指標として使われています。公式サイトの決算情報やディスクロージャー誌で確認し、「保険料等収入:〇〇億円(20XX年度)」と年度を添えて書いてください。確認できない場合は、数字の欄を省いて事業内容だけを書いても問題ありません。
- 勤務先が相互会社で、資本金の記載がありません。
-
相互会社には株式会社の資本金がなく、それに相当するのが「基金」です。資本金の欄は「基金:〇〇億円」と書き換えるか、項目ごと省略してください。社名も「〇〇生命保険相互会社」と正式名称で書きます。
- 保険代理店に勤めています。取り扱っている保険会社名は書いていいですか?
-
社名欄には雇用主である代理店の正式名称を書き、取扱保険会社は事業内容の中で「生命保険会社〇社・損害保険会社〇社の商品を扱う乗合代理店」のように補足します。個別の社名を出すかどうかは、勤務先の公式サイトで公開されている範囲にとどめてください。

