職務経歴書の会社概要は、社名だけで事業内容や規模が伝わらない限り、書くのが基本です。大手企業や応募先の同業他社に勤めていた場合は簡潔にしても構いませんが、空欄のまま出すのは避けてください。この記事では、書いたほうがいい人・省略してもいい人の見分け方、事業内容や従業員数の書き方と例文、数字がわからないときの調べ方を、採用担当者の視点から説明します。
職務経歴書の会社概要は必要か【結論】
結論:社名だけで伝わらないなら書くのが基本
会社概要は法律や公的な決まりで記載が義務づけられている項目ではありません。それでも多くの転職支援サービスが記載をすすめているのは、採用担当者が「どんな会社で、どの規模の仕事をしてきた人か」を判断する材料になるからです。
判断の基準はシンプルで、「社名を見ただけで、相手が事業内容と会社の大きさを思い浮かべられるか」です。思い浮かべられない可能性が少しでもあるなら、1〜3行の会社概要を添えてください。
書いたほうがいい人・省略してもいい人
自分がどちらに当てはまるかは、次の表で確認できます。
| 状況 | 会社概要 | 理由 |
|---|---|---|
| 中小企業・非上場企業に勤めていた | 書く | 社名だけでは事業内容や規模が伝わりにくい |
| 異業種へ転職する | 書く | 応募先の担当者が前職の業界に詳しいとは限らない |
| 社名から事業が想像しにくい(持株会社・カタカナ社名など) | 書く | 名前と実際の事業が結びつかない |
| 誰もが知る大手企業に勤めていた | 簡潔でよい | 事業内容は伝わるため、所属事業や部門の規模を補う程度で足りる |
| 応募先の同業他社・取引先に勤めていた | 簡潔でよい | 担当者が前職の会社をすでに知っている可能性が高い |
「簡潔でよい」は「書かなくてよい」という意味ではありません。大手出身でも、事業内容を1行、従業員数を1行入れておけば、ほかの会社の経歴と書式がそろい、読み手も迷いません。
職務経歴書の会社概要の記載例
会社概要は、各社の職務経歴の冒頭に「在籍期間と社名」の直下へ置くのが一般的です。
良い書き方(中小企業の場合)
2019年4月〜2024年3月 株式会社〇〇システム
事業内容:中小企業向け会計ソフトの開発・販売、導入サポート
資本金:5,000万円 売上高:32億円(2023年度) 従業員数:180名(2024年3月時点) 非上場
数字に時点を添えているため、在籍当時の規模であることが読み手にすぐ伝わります。
NG例
2019年4月〜2024年3月 (株)〇〇システム
事業内容:IT関連
「(株)」の略記と「IT関連」という大づかみな事業内容では、何を売っている会社なのかがわかりません。正式名称で書き、主力の商品・サービスまで具体的にしてください。
書式に迷う場合は、会社概要の欄があらかじめ用意されたハローワーク用の職務経歴書テンプレートなどを土台にすると、項目の抜け漏れを防げます。
採用担当者が職務経歴書の会社概要を見る理由
会社概要は、応募者本人の能力を直接示す欄ではありません。それでも採用担当者が目を通すのは、その下に書かれた職務内容や実績を正しく読むための「前提情報」になるからです。
実績の規模感を測る物差しになる
たとえば「売上を前年比120%に伸ばした」という実績も、従業員30名の会社と3,000名の会社では意味が変わります。前者なら事業全体を動かした経験として、後者なら大きな組織の中で成果を出した経験として読まれます。会社概要がないと、採用担当者は実績の重みを推測するしかありません。
自社との共通点を探している
採用担当者は、前職の顧客層・商材・ビジネスモデルが自社と近いかどうかも見ています。法人向けか個人向けか、自社製品か代理販売か。こうした違いは事業内容の1行で伝わり、「入社後すぐに活躍できそうか」の判断につながります。
小さい会社の出身でも不利にはならない
「従業員数が少ないと見劣りするのでは」と、会社概要を書くのをためらう方もいるようです。ただ、採用担当者が評価するのは会社の大きさではなく、その環境で応募者が何を担っていたかです。
- 少人数の会社:1人が担う業務の幅が広く、営業から請求管理まで一貫して経験していることが伝わりやすい
- 大きな会社:分業の中での専門性や、関係部署との調整経験が伝わりやすい
規模を隠すより、規模を示したうえで「その中で自分が担った範囲」を職務内容に書くほうが、評価につながります。
採用担当者はここを見ている
- 事業内容から、自社の顧客層や商材と近い経験かどうか
- 従業員数や売上高から、実績の規模感と担当範囲の広さ
- 社名の正式表記や数字の時点表記から、書類を正確に作れる人かどうか
職務経歴書の会社概要に書く項目と書き方
会社概要に書く項目に決まった形はありません。多くの書式では次の項目が使われています。すべてを埋める必要はなく、必須の3項目をそろえ、わかる範囲で任意項目を足す考え方で十分です。
| 項目 | 扱い | 書き方のポイント |
|---|---|---|
| 会社名・在籍期間 | 必須 | 「株式会社」を含む正式名称。在籍期間は年月まで書き、和暦・西暦は書類全体で統一 |
| 事業内容 | 必須 | 主力事業を具体的に。応募先に関係する事業を先に書く |
| 従業員数 | 必須 | 時点を添える。グループ全体か単体かを明記 |
| 資本金 | 任意 | 公開されていれば記載 |
| 売上高 | 任意 | 年度を添える。営業・企画職では実績の比較材料になる |
| 上場区分・設立年 | 任意 | アピールにつながる場合のみ |
事業内容の書き方
事業内容は「誰に・何を・どう提供しているか」が1〜2行でわかるように書きます。複数の事業がある会社は、すべてを並べず主力事業と、自分が所属していた事業を優先してください。
良い書き方(事業内容)
事業内容:首都圏の飲食店向け業務用食材の卸売(取引先約1,200店舗)、自社ブランド調味料の製造・販売
NG例(事業内容)
事業内容:食品の卸売、製造、小売、不動産賃貸、人材派遣、コンサルティング
登記簿の事業目的をそのまま写すと、主力事業がどれか伝わりません。実際に売上の柱となっている事業に絞ります。
従業員数・資本金・売上高の書き方
数字の項目でもっとも多い失敗は、時点を書かないことです。会社の規模は年ごとに変わるため、在籍当時の数字を書き、「(2023年度)」「(2024年3月時点)」のように時点を添えるのが基本です。当時の数字がわからない場合は、最新の数字に時点を明記して代用します。
- 従業員数:会社が公表している数字をそのまま使い、グループ全体の「連結」か、その会社単体かを書き添える
- 資本金:「5,000万円」「1億2,000万円」のように万単位で読みやすく
- 売上高:決算期の年度を明記する。単位(億円・百万円)は書類内で統一
売上高は、売上目標や予算を持つ職種で特に効きます。担当エリアの売上と会社全体の売上を並べると貢献度が見えるため、営業の職務経歴書テンプレートで実績欄とあわせて整えておくと書きやすくなります。

会社概要の数字がわからないときの調べ方
前職の資本金や売上高を覚えている人は多くありません。手が止まりやすい部分ですが、調べる場所を順番に当たれば、多くの場合は数分で見つかります。
調べる順番
- 会社の公式サイト:「会社概要」「企業情報」のページに、資本金・従業員数・設立年が載っていることが多い
- IR情報・有価証券報告書(上場企業):金融庁の電子開示システム「EDINET」で、過去の年度ごとの売上高や従業員数を確認できる
- 求人票・採用ページ:前職の求人情報に、従業員数や売上高が書かれている場合がある
- 企業データベース:帝国データバンクや東京商工リサーチの企業情報、会社四季報など(一部は有料)
上場企業は過去の年度の数字もさかのぼれるため、「在籍当時の数字」を正確に書ける点で、有価証券報告書がもっとも確実です。
調べてもわからない場合の書き方
非上場の中小企業では、売上高や資本金を公表していないことも珍しくありません。その場合は、わからない項目は書かず、わかる項目だけで会社概要をまとめれば問題ありません。推測で数字を書くと、面接で聞かれたときに説明できなくなります。
良い書き方(数字が非公開の場合)
2020年4月〜現在 有限会社〇〇工務店
事業内容:戸建て住宅のリフォーム・外壁塗装(地域密着型、年間施工数約150件)
従業員数:約25名(2025年4月時点)
資本金・売上高がわからなくても、施工件数のような実態がわかる数字を事業内容に入れると、規模感は十分伝わります。
NG例(数字が非公開の場合)
資本金:不明 売上高:不明 従業員数:不明
「不明」を並べると、調べずに出した印象を与えます。わからない項目は行ごと削除してください。

【ケース別】職務経歴書の会社概要の書き方
派遣社員の場合
派遣社員は、雇用契約を結んでいる派遣元と、実際に働いた派遣先を分けて書きます。会社概要は業務内容の理解に直結する派遣先を中心に書き、派遣元は社名と「登録」の記載で足ります。
良い書き方(派遣社員の場合)
2022年6月 株式会社△△スタッフに派遣登録
2022年7月〜2024年6月 派遣先:株式会社□□製薬 経理部
事業内容:一般用医薬品の製造・販売 従業員数:約800名(2024年時点)
守秘義務がある派遣先は、社名を出さず「大手製薬会社(従業員約800名)」のように業種と規模で表す方法もあります。
派遣先が複数ある場合の並べ方は、派遣の職務経歴書テンプレートの書式に沿うと整理しやすくなります。

転職回数が多い場合
在籍した会社が4社、5社と増えると、会社概要だけで紙面が埋まってしまいます。この場合は応募先に関係の深い会社の概要を厚めに、それ以外は事業内容と従業員数の1行だけにまとめてください。会社概要を削るのではなく、分量に強弱をつけるのがポイントです。
良い書き方(関連の薄い会社を1行にまとめる例)
2016年4月〜2018年3月 株式会社〇〇不動産(賃貸仲介・管理/従業員数約60名)
社名変更・合併があった場合
在籍中や退職後に社名が変わった会社は、現在の社名を書き、括弧で旧社名を添えると、採用担当者が企業情報を調べるときに迷いません。
良い書き方(社名変更の場合)
2017年4月〜2023年9月 株式会社〇〇ホールディングス(旧社名:株式会社〇〇商事)
在籍中の会社を書く場合
現職の会社概要も書き方は同じです。在籍期間は「2021年4月〜現在」とし、数字は最新の公表値に時点を添えます。社内の事務や管理部門で働いている方は、会社概要に続けて担当業務を書くことになるため、事務の職務経歴書テンプレートで全体の流れを確認しておくと書き進めやすくなります。
職務経歴書の会社概要でやりがちなNG例
会社概要は短い欄ですが、書類全体の正確さを見られる場所でもあります。提出前に次の表で見直してください。
| NG例 | 正しい書き方 | 理由 |
|---|---|---|
| (株)〇〇 | 株式会社〇〇 | 略記は正式名称ではない |
| 従業員数:300名 | 従業員数:300名(2024年3月時点) | 時点がないと在籍当時の数字か判断できない |
| 事業内容:サービス業 | 事業内容:法人向けオフィス清掃・設備管理 | 業種名だけでは仕事内容が想像できない |
| 資本金:不明 | 行ごと削除する | 「不明」は調べていない印象を与える |
| 推測で売上高を記入 | 確認できた数字だけを書く | 面接で質問されたときに説明できない |
| 会社概要が会社ごとに書式バラバラ | 項目の順番と単位を統一する | 読みにくく、比較もしづらい |
特に数字の時点漏れと「不明」の記載は、書類全体の正確さへの評価を下げます。気づいた時点で修正してください。
まとめ
- 会社概要は書くのが基本:社名だけで事業内容と規模が伝わらないなら必ず添える
- 大手・同業他社の出身なら簡潔でよい:事業内容と従業員数の1〜2行で足りる
- 必須は会社名・事業内容・従業員数:資本金・売上高はわかる範囲で
- 数字には時点を添える:在籍当時の数字が基本、わからなければ最新値に時点を明記
- わからない項目は削除:「不明」や推測の数字は書かない
会社概要が整うと、その下の職務内容や実績が正しい規模感で読まれます。会社概要で手が止まっているなら、事業内容の1行から書き始めてください。
職務経歴書の会社概要に関するよくある質問
- 職務経歴書の会社概要は書かないと不採用になりますか?
-
会社概要がないことだけを理由に不採用になるとは限りません。ただし、社名だけで事業内容や規模が伝わらない場合、採用担当者は実績の重みを判断しにくくなります。中小企業や異業種からの転職であれば、1〜3行でも書いておくほうが内容が正しく伝わります。
- 在籍当時と現在、どちらの数字を書けばいいですか?
-
在籍当時の数字を書くのが基本です。退職した会社であれば退職時点、現職であれば最新の数字を使います。当時の数字が見つからない場合は、最新の公表値に「(2025年3月時点)」のように時点を添えて記載してください。
- 資本金や売上高がどうしてもわからない場合は空欄でいいですか?
-
空欄や「不明」と書くより、その項目を行ごと削除するほうが自然です。事業内容と従業員数だけでも会社概要として成り立ちます。施工件数や取引先数など、規模がわかる別の数字を事業内容に入れる方法もあります。
- 会社概要は職務経歴書のどこに書けばいいですか?
-
職務経歴欄の各社の冒頭、「在籍期間と会社名」のすぐ下に書くのが一般的です。職務要約の前にまとめて書く必要はありません。複数社ある場合は、会社ごとに会社概要を添えてください。
- 従業員数にはアルバイトやパートも含めますか?
-
会社によって公表している数字の数え方が異なるため、自分で数え直すより、公式サイトや有価証券報告書に載っている数字をそのまま使うのが確実です。グループ全体の数字か単体の数字かがわかる場合は、「連結」「単体」と書き添えてください。

